鹿児島認知症ブログ・書評(1)神経変性疾患は個別対応こそが求められている

小生が欠かさず閲覧しているブログが、「鹿児島認知症ブログ」です。
http://www.ninchi-shou.com/

2018年2月26日のブログに、小生の新刊書籍に関する書評を書いていただきました。
この先生のブログの内容はいつも大変思慮深くて素晴らしく、実地臨床家にとって非常に考えさせられる、時には辛辣な批判もあります。
このブログにいつも感銘を受けるのは、ご自分の言葉で書いているのが伝わってくるからです。
「世間」「ガイドライン」を意識しすぎて、自分の意見が見えてこない内容の医学書を読むよりもずっとためになると思います。
今回の書評、この内容についての意見を、このブログで4回シリーズで書いていきたいと思います。

長年、パーキンソン病を診てきた、著者からの、診療現場への怒りをこめた「警世の書」

私が大好きなフットボールで言えば「イエローカード(警告)」、信号機で言うと色は「黄色」です。

書評(1)神経変性疾患は個別対応こそが求められている

「少しずつ減薬すれば良くなる」とはすなわち、「たっぷり盛られた薬を減らしたら良くなった」という意味である。

たっぷり薬を盛るのが好きな先生方に対する皮肉です。
患者側からしたら本当に冗談じゃない、笑えない事実です。

パーキンソン病といっても症状の個人差が大きいため、必然的に治療は個別対応にならざるを得ない。しかし、ガイドラインには個別対応の仕方は載っていない。初学者はまず治療ガイドラインに目を通すべきであるにしても、それはガイドラインを盲目的になぞる事と同義ではない。ガイドラインに相対しながらも距離感を持つことが重要であろう。

本書に掲載させていただいた症例の数々は、なぜ掲載したのか?というと処方内容と実際の患者さん達の病状の乖離が現れているからなのです。
「個別対応」「ガイドラインとの距離感」が考慮されなければ、処方薬の数は関係なく、患者にとってパニック(大迷惑)処方になりえます。

通常は常識的な感覚を持ちながら、臨床的な経験を積んでいけば、距離感も自然と身についていくと思われる。

それが多くの臨床経験を持つ専門医?おそらく私よりも何倍も患者数を診ているはずの臨床医達に身についているのか疑問。

世の中には「ガイドラインに載っていないことは認めない・存在してはならない」という。ガイドラインと一体化したような教条主義者がいる
そのような教条主義者はえてして高いポジションにいたりするのだが、「臨床リテラシーを磨く事と知力とは、別の問題だなぁ」と感じる


なぜわが国では「教条主義者」が生まれやすいのか?
それは自分の意見を言わない、主張しないのを美徳とする文化が、東アジア民族に根強く存在していて、一部の声の大きな権力者(教条主義者)の方向性に誘導されても、それに反論しにくい「世間」が存在するからでしょう。
また「教条主義者」にとって都合の悪い内容の意見は握りつぶされる傾向にあります。自分の意見を主張するのが当たり前の欧州などではありえない事かもしれません。

自分の経験を自分の言葉で語れずに、大規模臨床試験の結果しか語れないことが何を意味するかは明白で、それは「研究ばかりしていて、ろくに患者を診ていない」ということである。もしくは「患者を診てはいるが、臨床リテラシーがないので目の前の患者が見えていない」

患者さん達(ご家族)から聴取した情報によると、「外来診察で問診も診察もロクにされていない。何か言うと薬が追加処方されるだけ」という声が多数ありました。これが本当だとすれば、薬の効果と副作用が正しく評価ができるはずもないと思いました。
私の想像ではもう一つ要因があります。
それは、ブランド志向。がアダになっているのではないかと。
とにかく有名な先生に診てもらいたい。有名な病院で診てもらいたい
と特定の医者、医療機関に患者さん達が殺到しすぎるから、時間がとれないのかもしれませんね。
どんな名医でも1人の医者が診れる(必要最低限の問診と診察がなされているという意味)患者数は限られていますからね。
この点については、拙著のQ&Aのコーナーに書いてありますので、良ければ
一読してください。
今回はここまで。また次回をお楽しみに。


新横浜フォレストクリニック
内科・漢方内科・老年内科・神経内科

JR・新幹線・横浜市営地下鉄 
新横浜駅 篠原口より徒歩1分






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# by shinyokohama-fc | 2018-03-03 12:51 | 医療

前頭側頭葉変性症を学ぶセミナー

昨日、品川の会議室において、
「前頭側頭葉変性症 つくしの会(家族とその仲間の会)」の主催で、
「前頭側頭葉変性症をきたす様々な病気の特徴とその対症療法」というテーマで僭越ながら、小生が60分の講演をさせていただきました。
そのあと、60分は質疑応答に応じました。

たぶん「患者会」をメインにして講演をさせていただいたのは初めてではないかと思います。
やはり「患者会」は真剣度は医者とは全然違うと感じました。それは自分の家族だからでしょう。
前頭側頭型変性症(FTD)という病気は、国に難病指定されている病気ですので、有効な治療薬はありません。
いわゆる「ピック」と呼ばれる、行動異常型とか意味性認知症(そもそも認知症という言葉が不適切だが)症候群に関しては、発症年齢が60歳以下であり
中高年期の発症であるがゆえに、高齢者にくらべて病気の進行が速くて、より重いという印象があります。

小生の経験では、このような患者さん達には、いわゆる抗精神病薬(内容については以前のブログを参照ください)は通用しない事がほとんどです。
かつて小生のクリニックに訪れた、外来の初診患者でも、抗精神病薬を4種類か5種類以上とっかえひっかえ服用した結果として、深刻な不随意運動が現れたり、かえって易怒・興奮性が増強したりという症例が多かった気がします。

終了後にも介護者(家族)から相談を受けたのですが、
とにかく「抗精神病薬原理主義」みたいな担当医で、
「すでに認知機能がかなり落ちていて、日常生活動作にも困っているのに、なかなかクロールプロマジン(CP)を減らしてくれなかった
という不満を訊かされました。

今回の講演会の内容としては、前頭側頭型認知症にとっては抗精神病薬は極力使うべきではない(少なくとも外来という診療形態では)という話をさせていただきました。
それは、上の症例のように、抗精神病薬の長期服用によるデメリット、薬害の部分が大きくなるからです(詳しくは以前のブログ参照)。
病状が進行して1年以上もすれば、多くの場合は易怒・興奮の時期は過ぎ去り、無為の症状が目立ってきます進行したステージではむしろ脳の活動を抑えてしまう薬は良くないのは当然と言えます。

せめてゆっくりと少しずつ減量して経過を見るべきでしょう。
患者側がしつこく頼みこまなければ、減量もしてくれない?
まったくもっとおかしな話です。
患者の状態を一番よく診ているのは一体誰なのか?

しかし、一部には「前頭側頭型認知症=抗精神病薬」みたいなステレオタイプ的(自分の頭で何も考えていないのか?)で頑迷であり、患者家族にとって大迷惑な臨床医が少なからず存在するのも事実です。
そういう臨床医はこの病気の診療から手を引くべきではないかと思います。

私は少ないながらも、このタイプの患者さんを外来で診察してはいます。
80歳台半ばの患者さんは、クロールプロマジン(CP)12.5mgを2年以上内服していましたが、つい最近になって
「歩くと息切れがする」「疲れやすい」「自分から動かない」などが見られ
中止に踏み切りました。中止して以上の症状はすべて軽減しました。
思えばもう少し早期に中止すべきだったと後悔しています。
心不全で入院しなくて良かったと安堵しています。

最後に一言
「抗精神病薬で前頭側頭型変性症は治りません」


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# by shinyokohama-fc | 2018-02-26 16:58

北九州へ出張



先日、実に久しぶり、何年ぶりかに、北九州市を訪れました。
福岡県へ空路では福岡空港には2度行った事がありますが、北九州空港には初めて行きました。関西空港のように海上にある空港ですが、空港から新幹線駅のある小倉駅前まではやや距離がありましたが、高速道路を走るので、深夜だとシャトルバスで30分前後で到着しました。

北九州市小倉北区にて実地医家の先生方向けの講演会でした。参加者の先生方からも興味深い質問があり、有意義な時間だったと思います。
講演が終了した後に、会場から徒歩で、小倉城(写真)に行きました。
当日は強い寒波の影響で、外気温が2~3度くらいで強い寒風が吹いて、非常に寒い日でした。


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その後、観光目的でJR鹿児島本線の終着駅である、門司港駅に向かいました。写真のように、すごく古く懐かしいアイテムが残っている駅です。

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展望タワーの31階の展望台から、関門海峡が見渡せました。
当時は時々風雪が横向きに吹いており、いかにも真冬らしい気候でした。
日本海に面した北九州でも、雪が降るのは珍しいそうです。

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この後、小倉のホテルに帰ったのですが、深夜に猛烈な勢いで雪が降り、
2~3時間で10cm前後積もっていました。3時間前に小倉駅から歩いた時は全く降っていなかったので驚きました。

翌日の朝9時の飛行機で帰る予定だったので、これはまずいと思いました。幸いすぐに雪はやみ、それ以上の積雪はありませんでした。翌朝は予定よりも早い時間のシャトルバスに乗りましたが、バスも飛行機もやや遅延したものの、無事に運行されていて、一安心でした。

北陸や山陰地方では記録的な大雪で、交通機関が完全にマヒしている地域もあるようです。
北九州ではつい半年前に、連日性の記録的豪雨があったのが記憶に新しいですが、最近の天気災害は想定外レベルなので、本当に油断できないです。


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# by shinyokohama-fc | 2018-02-13 18:15

院内にて発売開始

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当クリニックにて、2月8日より先行発売を開始しました。

たぶん、この病気に関わっている人々にしか、関心が持たれない内容ですので、「認知症は...」に比べると一般受けはしないと思っています。
すでにこの書籍を読んでいただいた、実地医家、臨床医の方々には概ね好評のようです(たぶんお世辞かもしれませんが)。


このタイトルを見て、この病気に関わる多くの人々は驚くことでしょう。自分でもえらいタイトルをつけてしまったと感じています。

現行されている主流の治療スタイル「薬が足りないのは良くない!とにかくできるだけ薬を増やせ!たくさん使え!」に逆らうのですから。
小生は幼少の頃から、皆と反対方向へ歩いていくような子供でしたので、あれから45年たっても、本質は何も変わらないのかもしれません。

小生の生まれもっての性分といいますか、どうも、物事を斜に構えてみるというか、常に物事を疑ってみる、人の言う事は素直に聞けないという所があるようです。
正直に言いますと、すでに世に出ている、神経内科の分野における医療の通説や言説というのは、やや疑わしいものが多いようだと感じています。

本著にも書きましたが、
一番の問題は、
多様性がまったく考慮されていない。
治療薬の使い方が1つのガイドライン(ルール?)にどの症例にも適用されてしまっているという事です。
同じ病気だから、同じ病理だから、40歳でも90歳でも同じ薬を同じ量で使う??? 普通に考えれば、そんなバカな事があるわけないですね。
しかし、そんなバカな事が行われているのが現実なのです。

まあ、この本の内容は、問題提起にすぎません。実際は
それぞれの患者さんは置かれている状況も、病気の状態も大きく異なりますので、すべての患者さんが減薬すれば解決する。という事はありえません。

この本のタイトルに当てはまるケースの大前提として、

「すでに、病状に見合わないような過剰な多剤併用処方がなされて、副作用(多くは非運動症状の悪化)で、生活の質(QOL)が落ちている状態」
である事が条件です。

小生が定期で診ていて、初診から数か月以上経過している方々では、ほとんどこの条件には当てはまりませんので、実際は
あえて減薬を試みるというケースはほとんどありません。
これまでの処方薬が効果がない、もしくは副作用で忍容性がない、場合に一部中止、別の薬剤に変更。というパターンはあります。

実は、最近40代、50代という若年発症の、ウェアリング・オフが顕著なタイプのこの病気の患者さんにおいて、減薬(ドパミン・アゴニストだけを減量)してみるとウェアリングオフが悪化して、大きく後悔したパターンというのがありました。 つまり減薬の失敗例です。
これについては、次回のブログで詳細をお伝えすることにします。



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# by shinyokohama-fc | 2018-02-08 10:31

「パーキンソン病 少しずつ減薬すれば良くなる!」

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ついに、小生が初めて著作した書籍が出版されることになりました。
書き始めてから出版するまで1年半くらいかかり、かなり苦労しましたが、
ブックマン社、編集長、対談でご協力いただいた、長尾和宏先生には感謝しかありません。厚く御礼したいと思います。

タイトルは「パーキンソン病は少しずつ減薬すれば良くなる!」ですが、
これはあくまで逆説的で、アイロニックな表現のつもりです。
とにかくパーキンソン病の患者は薬を過剰・オーバーに服用している事が多いので、適正な用量と種類に修正すれば、副作用が消えて(薬によって悪化していた非運動症状や運動症状が軽減して)落ち着くという意味です。

それゆえ、もし薬がその人にとって適正用量であれば、減薬すれば見た目の運動症状は当然悪くなると推定されます。ただし薬による治療は、根本的治療ではなくて姑息的(卑怯という意味ではない)な治療なので、たとえ減薬して症状が強くなったとしても病気そのものが悪化するわけではありません

本当は「パーキンソン病は薬が多すぎる!増やせば悪くなる!」というタイトルにするつもりでしたが、ネガティブな印象を与えるとの事で、逆の内容のタイトルになってしまいました。

昨今の社会状況をみていると、有名人が少し異質な事を言ったり、ブログで書いたりしただけで、反対派の人々が過剰反応して袋叩きに合うような、異論を許容できる精神的余裕がない状況ですので、
おそらく書籍の内容を十分精読せずに、タイトルだけを切り取って、短絡的に過剰反応してクレームや嫌事を言ったり、ネットに書き込んだりする人々が一定数発生する事が推定されますが、そこはスルーしたいと思います。

昨日、日比谷コンベンションホールで、「抗認知症薬適量処方の会」の講演会があり、小生も講演しました。60分の予定でしたが、話しているうちに時間を超過してしまい、75分くらいになってしまいました。

主な内容は、パーキンソン病の治療薬も、抗認知症薬と同様に少量投与のほうが合う症例が多いのではないか?特に欧米人に比べて薬剤過敏性が強く、耐性が弱い日本人にとっては。そのため治療薬の過剰処方、多剤併用によって、薬剤せん妄とか精神症状が悪化してしまい、まるで「レビー小体型認知症」みたいになってしまっている患者が増えているのではないか?という提言でした。

特に高齢者の多剤併用(ポリファーマシー)、服用しきれず残薬多数、薬剤カスケードなどが、老年医学会などを中心に、深刻な社会問題として近年マスコミにも多く取り上げられている昨今の時勢の流れがありますが、

パーキンソン病の治療薬だけは、なぜか無制限に併用がOKなのか?

神経系薬剤の副作用リスクが高い75歳以上患者さんも増えているにもかかわらず、特に年齢による用量制限もないのはなぜなのか?

パーキンソン病治療薬だけで5~7種類という、安全性も有効性もまったく証明されていない過剰なポリファーマシーが行われているのはなぜなのか?

薬で病気の進行を抑えられない、進行性の病気に対して医療費(薬剤費)のバランスを考慮した処方がなされていないのはなぜなのか?

つまり、今回の書籍の内容はリトマス紙だと考えています。

一人の偏った価値観の開業医の個人的な意見にすぎないとしてスルーされてしまうのか?

あるいは、今回の小生の提言を契機に病気に関わっている医療者や患者が問題意識をもって議論のタネになるのか?

趨勢を見守りたいと思います。

最後に余談ですが、薬をテーマにした書籍にもかかわらず、薬品名や商品名の誤植が多くみられました。私としては3回読み直したつもりでしたが...
非常に残念です。
これについては深く反省したいと思います。


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# by shinyokohama-fc | 2018-01-29 11:33
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新横浜フォレストクリニック(横浜市港北区・新横浜駅)の院長が日々綴る様々な情報を発信するブログです


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