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長谷寺 (真言宗・奈良県桜井市)

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# by shinyokohama-fc | 2019-05-09 14:06

レビー小体型認知症の横綱症例

今回は、レビー小体型認知症(DLB)の横綱!カンぺオン症例をお示します。DLBという病気は非常にレンジが広く、重症度がピンからキリまで極端に違うので捉えどころがない病気です。

私が日常的に診ているのは横綱・大関・関脇・小結くらいのランクのDLB症例ですが、世間や学会で語られてるのは、幕下くらいのランクのDLBのようですので、まるで別の病気の病気の事のように思えます。

特に病状が悪いのが、パーキンソン病(PD)にDLBが併発してきて2~3年で歩行不可能になるタイプで、レボドパ高用量、ドパミンアゴニストなどの処方がされてしまい、取り返しがつかないほど悪化する、PD+DLBというタイプが最も重症です。

今回はPDに併発しない、純粋なDLBで横綱級の症例というのはどんなものかというのを紹介したいと思います。こういう症例を知ることによって、DLBという病気の本質が理解できるはずです。つまり、薬剤過敏性・自律神経不全が重症であるという事です。

現在72歳の男性。昨年8月から不定期で7回受診されています。
遠方からの不定期受診なので、こちらから処方はしていません。通常は訪問診療医が処方しているようです。

4年前に幻覚、誤認妄想で発症したそうです。地元の精神科でMIBG心筋シンチなど検査を経て、DLBと診断されたようです。

パーキンソニズムと覚醒レベル(認知機能)の日内変動も顕著で、重度の便秘症と起立性低血圧があります。
初診時)臥位118/69(54)→立位76/50(64)76/50(64)
再診時)臥位124/86(68)→立位67/50(135) 66/54(82)
今も立ち上がると目つきがおかしくなり、開眼できなくなるようです。

レボドパ有効時間は、動作緩慢ではあるが、歩行はある程度自分でできるようです。しかし視覚失認が重症のため、正しい方向に行けず、常時誘導が必要。イスがある位置が認識できず、自力でイスに座る事は不可能です。

筋強剛は体軸優位性で、頸部~体幹に強く、四肢は軽度のようです。開眼失行もあり、横綱DLBは臨床的にPSPに近いです。

ドネぺジルを2年、リバスチグミンを1年処方されていましたが、これらのコリンエステラーゼ阻害薬によって、首下がり、腰曲がりなどの姿勢異常がみるみる悪化していく(薬剤誘因性体幹ジストニア)ので奥様が危険を感じて中止。中止後は姿勢は元に戻ったようです。アセチルコリンを補充するCDPコリン(シチコリン・サプリメント)を試すとひどい精神錯乱状態となったようです。

レボドパ配合剤(ドパミン)は著効するが、2~3時間で効果が切れると流涎と無動になるそうです。しかしレボドパの1回が50mgを超えると血圧が下がりすぎて、ふらつきが強くなるそうなので、一時は1回は25mgしか服用できませんでした。

起立性低血圧にはドロキシドパは欠かせませんが、1回100mgを服用すると興奮して暴れるそうで、1回25mgしか服用できないそうです。

シロスタゾール(先発品)は強い頭痛が出現して、意識を何度も失ったそうです。やはりこの薬は血圧変動が大きくなって合わないようです。

試行錯誤の末に現在の服薬は
レボドパ/カルビドパ 25mg×3回
ドロキシドパ 25mg×3回
ラメルテオン 8mg(睡眠覚醒リズム維持目的)
半夏厚朴湯 2.5g(流涎軽減目的)
麻子仁丸 2.5g(便秘軽減目的)
その他にも様々なサプリメントを服用しているようです。

この症例を通じて学んだことは、横綱DLBというのは、世間で言われている(教科書などに書いてある)DLBに関する医学的常識はまったく通用しないという事です。薬剤過敏性は抗精神病薬に限られた話ではなく、全ての薬剤に過敏性、つまり不耐性だという事です。

この症例には統計処理された既報の臨床試験の常識などはまったく通用しません。通用するのは、幕下か前頭の下位くらいでしょう。
幕下・前頭の症例はDLB全体の70~80%をしめるかもしれませんが、同じ基準で、小結以上のDLBに処方すると大変な事になります。

同じ病名だからと言って、全部同じマニュアルの薬を使うというのが、いかにナンセンスであるというのが理解できると思います。
台風でも900hpの非常に強い台風もあれば、980hpの弱い台風もある。
病気も自然現象の一種ですので、多様性(個別差)があるのは当たり前でそれが自然科学の本質ではないでしょうか?


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# by shinyokohama-fc | 2019-04-04 10:51 | 治療

レビー小体型認知症 (E)自律神経不全

レビー小体型認知症(DLB)の自律神経障害のバロメーターは実は誰でも簡単に知ることができます。
臥位(横になっている時の血圧)と立位(立ち上がった時の血圧)を比較することです。血圧計さえあれば、誰でもできます。
20~30mmHg以上の起立性低血圧が確認できれば、MIBG心筋シンチグラフィーという検査可能な施設が限定の高額な検査は必要ありません。

レビー小体型認知症というと、幻覚(特に幻視)やパーキンソニズムが主症状ですので、精神科か神経内科の外来に通院します。
神経内科では多くの場合、パーキンソン病と診断されて、運動症状の治療薬が過剰に入れられてしまい、かえって不調になります。
しかし、これらの外来医が診察において、上記のような血圧変動について確認したり、測定したりすることはなく、関心すらないのではと思われます。

私の臨床経験では最も臨床的にレビー小体型認知症らしさが強い症例こそ、起立性・食事性の血圧低下が著しいのです。そういう症例は認知・覚醒レベルの変動も著しい。つまり脳幹網様体の障害も強いのです。

自律神経不全の重症度は
1)機会的、便秘・頻尿
2)連日性、便秘・頻尿
3)立ちくらみ・失神、血圧変動20~30
4)血圧変動40~50脈拍変動30以上
5)血圧変動60~70心停止リスク

特に要注意なのが、グレード3以上ですね。
なぜかというと、特に塩分と水分が同時に失われる夏場は立てなくなったり、意識を失ったりして救急搬送されるリスクが高くなるからです。

パーキンソン病の運動症状の治療薬はレボドパ配合剤を含めてこの起立性低血圧を悪化させる副作用がありますが、特にレボドパとセレギリンを併用している場合は薬剤起因性の血圧低下が起こるリスクが高いです。
一部で強く推奨されている、シロスタゾール(先発品)も特に高齢者のDLBの場合は血圧変動を大きくするため失神発作を誘発するようです。

自律神経不全の強いグレード3以上のDLB症例において、まず推奨されるのは先般ブログでも書いたようにドロキシドパ(ドプス🄬)です。
DLBの薬剤過敏性を考えると100mgだけではとても使いにくく、25mgや50mgという規格もほしい所。本来DLBには最も必要な薬だと考えます。

自律神経不全の強いグレード3以上のDLB症例においては、コリンエステラーゼ阻害薬は禁忌だと考えています。
もともとDLBという病気の一番の問題は自律神経不全であるにもかかわらず、DLBを診ている多くの臨床医はそのことを軽視(無視?)しています。
コリンエステラーゼ阻害薬である、ドネぺジルやリバスチグミンを自律神経不全の強いDLBに無神経にも使っているわけです。

血圧・脈拍の体位変動の評価は、DLBにおいて臨床上もっとも重要です。なぜなら、生命維持に直結するからに他ならないからです。
これを評価していなければ、本当の意味でDLBを診察していることにはならないと言っても過言ではないでしょう。
そのことを教えてくれるのが、DLBのカンペオン症例です。次回はこの症例を紹介したいと思います。



# by shinyokohama-fc | 2019-03-30 11:05 | 治療

パーキンソン病はまず運動

昨年2月に出版した書籍を読んで、受診される方がおられます。
もう1年以上経っているので、書店から撤去されたのか?と思いましたが、
書店によっては置いてあるようです。パーキンソン病というテーマで神経内科の専門医が執筆した書籍が非常に少ないからでしょうか?

受診される方の内訳は以下のどれかに分かれます。
1) 診断は合っているが、不適切な多剤処方によって、有害事象(幻覚、嗜眠、せん妄など)で苦しんでいる。
2) 不適切な多剤処方によって、効果減弱でオフ現象で苦しんでいる。
3) パーキンソン病ではないのに、不適切な多剤処方によって、有害事象に苦しんだ挙句、病気が悪化してしまった

拙著でパーキンソン病の多剤大量処方を問題だとしている理由はまさにこの
1)~3)があるからです。結局多剤大量処方というのは患者にとって何もメリットを生み出さない事がはっきりしているわけです。

最初から多剤処方や大量処方をしなければ、このような問題は起きにくいはずです。
背景としては
1)パーキンソン病の薬処方は無制限であること
2)10~20%に薬物依存性の強い体質の患者さんが存在すること
3)薬を使えば、病気が治るはずだと勘違いしていること
などです。
私が最初から診ている患者さんで、薬をほとんど増やさずに上手くいっているケースのほとんどは、自ら率先して運動している人です。つまり、まずは自ら身体を動かすことが何よりも大事なのです。

不適切な多剤大量処方を服薬している期間が長いと、修正は困難です。

通常のステレオタイプのパーキンソン病であれば、多剤大量処方というのは本来必要ないはずです。
通常の処方で効果がなければ、本当にパーキンソン病なのか?と疑う必要があります。これでもかこれでもかと薬を投入するのは病気を悪化させるだけです。
それについては、次回くわしく書こうと思います。



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# by shinyokohama-fc | 2019-03-15 12:34 | 治療

パーキンソン病認知症とレビー小体型認知症、3タイプ


高齢者、70代半ばからパーキンソン病の動作歩行障害が現れたケースは、パーキンソニズム優位型DLBである確率が高いようで、近年は高齢者増加に比例して増えています。

神経内科専門医、パーキンソン病で有名な医者などの外来を受診する事が多く、不幸なことに神経内科専門医の多くが、パーキンソニズム優位型DLBのことを知らない(かく言う私も数年前まではよくわからなかった)ので、
パーキンソン病だと診断して、ドパミン作動薬を増やされます。

ドパミン作動薬は、パーキンソン病と同じように著効することは少なくて、多くは副作用による嗜眠、幻覚、その他精神症状などが誘発されます。

多くの場合、ドパミン作動薬を増量されすぎて、アセチルコリン欠乏の症状が顕性化します。つまり認知機能の低下です。このタイミングで仮にコリンエステラーゼ阻害薬を処方したとしても、過剰なドパミン作動薬を減薬しないかぎり、有効に作用することは少なく、むしろ副交感神経系の消化器症状が強く出て服薬が困難になり、八方塞がりになるケースがほとんどでしょう。

これと混同されてしまうのが、いわゆるパーキンソン病進行期の認知機能低下です。こちらは発症して15~20年経って現れます。ドパミンニューロン(ドパミンを受け渡しする神経細胞)が枯渇してしまい、大脳皮質特に前頭葉への投射不全によって、認知機能が徐々に低下してくるパターンと、レビー小体型認知症(DLB)が併発してくるパターンがあります。

前者の認知機能低下は、パーキンソン病の経過の一部であるため、比較的緩徐で、家族からみても少し判断力や注意力がなんとなく落ちてきたかなという程度で、仮に認知機能検査を実施しても、多くの場合は軽度認知障害のレベルです。

後者の場合は、顕著な幻覚などの精神症状を伴うだけでなく、睡眠・覚醒レベルの変動、顕著な視空間失認、構成障害などが見られます。一番特徴的なのはイスに正しい位置に座ったりできなくなる事です。つまり視空間認知の問題が日常生活動作に影響を与えるほどのレベルだという事です。仮に認知機能検査をしても、覚醒レベルが変動するので、点数の変動が大きいです。パーキンソン病にDLBが追加されてくるパターンの場合、多くはラッシュ経過、急速進行性です。1~2年で歩行不可能になります。

1つ目のパーキンソニズム優位型DLB は最初から本質はDLBですが、4~5年で歩行不能に至ります。
2つ目のパーキンソン病の進行期の認知機能低下というのはPDの延長で、さほど重症ではないので、歩行能力は維持されます。
3つ目のPD+DLBというタイプは、急速に進行する。これが一番重症で、短期間、1~2年で歩行不能になります。

重症度は③PD+DLB>>①DLB(パーキンソニズム優位型)>>②PD
という事になります。学会などでPDDと呼ばれているのは、PD+DLBの事のようです。私が知るかぎりではこのタイプが一番薬物治療に反応がすこぶる悪く、対症療法が通用しません。

一般的にコリンエステラーゼ阻害薬で良くなると喧伝されているDLB(アルツハイマー優位型)と比べてその重症度・予後は雲泥の差と言えます。
つまり、胃がんや肺がんと同じで、同じ病名でも病気の予後は天地の差があるのです。



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# by shinyokohama-fc | 2019-03-11 18:23 | 治療
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