65歳以上で幻覚、ドパミン・アゴニストを少しずつ減薬を!


本日「医薬品安全対策情報」2018.4(No.268)が届きました。
薬剤が発売されてから、20年近く経過しても、新たな添付文書の改訂が行われるのが、普通です。

5ページ目に、プラミペキソールに関する内容が記載されていました。
注目すべきは「悪性症候群」「幻覚などの精神症状」

「悪性症候群」
本剤の急激な減薬または中止により、悪性症候群があらわれる」拙著 193~194ページ参照。
これがあるから、拙著タイトルは「少しずつ減薬すれば」になっています。

「幻覚などの精神症状」拙著 202~206ページ参照。
65歳以上の高齢者で、非高齢者に比べて、幻覚などの精神症状の高い傾向が認められているので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。幻覚などの精神症状が現れた場合には、減量または投与中止するとともに、必要に応じて抗精神病薬を使用すること」
拙著の症例5(127ページ)、症例10(225ページ)では、プラミペキソールによる深刻な精神症状の事例を掲載しています。
ドパミン・アゴニストが精神症状の副作用が多いというのは実地臨床ではもはや常識ですが、特にプラミペキソールは増量すると大脳辺縁系のドパミン受容体(D2/D3)に選択的にダイレクトに作用してしまうからという

何度も言いますが、こういう深刻な有害事象から最初に気がつくのは家族です。つまり救えるのは家族しかいない訳です。
ですから、「医薬品安全対策情報」というのは、薬を服用している患者側に対して、薬局から直接提供されるべき情報ではないのか?と思います。
実際は、患者側は幻覚の副作用の事など全然知らないで服用を続けている、問診もロクに取る時間がない外来医は外来で気がつかないから、そのまま継続処方しているという事が多いのではないか。

2月16日に発売された、拙著を購読されたのを契機に、初診で来院された高齢者のうち、ドパミン・アゴニスト服用していた方は5名、そのうち2名がプラミペキソールを服用していました。内訳は以下のとおり。

①)67歳男性 発症16年目 PDDと診断
精神運動興奮を伴わない程度の幻視があったが、減薬により軽減
ロチゴチン 18mg/日
レボドパ/カルビドパ550mg、エンタカポン400mg、
ゾニサミド50mgを併用

②)66歳女性 発症15年目
幻覚などの精神症状なし
プラミペキソール徐放剤 3.75mg/日
レボドパ/ベンセラシド600mg、エンタカポン300mg、
アマンタジン200mg

③)70歳女性 発症12年目
幻覚は1年前にあり、現在はなし
プラミペキソール徐放剤0.375mg/日
レボドパ/カルビドパ550mg、セレギリン5mg
ゾニサミド25mg、イストラデフィリン40mg

④) 76歳女性 発症7年 PDDと診断
レボドパなどわずかな薬の増量でも幻覚が出る状態
レボドパ/カルビドパ 400mg(600mgから少しずつ減量)
ロピニロール8~14mg、アマンタジン200mg(過去に服用していた)

⑤)70歳男性 発症16年
幻視・幻聴・誤認妄想と顕著な精神症状出現
ロチゴチン23.5mg/日、ペルゴリド 1250μg/日
レボドパ/カルビドパ 400mg、エンタカポン300mg
ゾニサミド25~50mg (中止にて精神症状は消失)

レボドパ配合剤+ドパミン・アゴニスト+ゾニサミドという組み合わせが、症例⑤と同じような幻覚などの精神症状が、最も高い確率で出現しやすい事がいくつかの症例でわかりました。
このような場合にまず行うべき対策としては、
A)ゾニサミドの中止
B) ドパミン・アゴニスト徐放剤から速放剤への変更
C) ドパミン・アゴニスト速放剤を少しずつ減量
D) レボドパの1回投与量減量・服薬回数の増加

A~Dを実践することによって、ほとんどの症例で幻覚などの精神症状は軽減する事が、経験的にわかりました。
症例⑤)のように①だけでも軽減する方もいました。

もちろん運動症状が悪化しないように配慮していますが、これまでの経験では、少しずつ慎重に薬を変更すれば、運動症状の悪化はみられていませんでした。それはレボドパの1日量だけは減量していないからです。
プラミペキソールだけではなく、ドパミン・アゴニスト(受容体作動薬)の増量には、65歳以上の高齢者では、精神症状が出現しやすいので、かなり慎重になるべきでしょう。


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# by shinyokohama-fc | 2018-04-12 18:06 | 治療

薬の多さを疑い、奈良から来られたパーキンソン病の方

先日、拙著を読んで奈良市からご主人と同伴で来られた方がいました。

70歳の女性で、私が見た印象としては「神経症的気質」で、女性のパーキンソン病の方には多いタイプだと思われました。

ご主人の書かれた経過を読ませていただきましたが、A4プリント3枚で非常にくわしく書かれており、よくわかりました。
以下、その要点だけ示します。

昨年5月、血圧が高いという事で、バルサルタン80mgを服用していたが、血圧の上下が著しく、アルファ遮断剤のドキサゾシン(朝2mg夕2mg)に変更となり、血圧の上下は消えたが、倦怠感がひどく動けなくなったので
1か月もたたずに自己中止し、倦怠感はなくなりました。


この当時、午前中作業をすると背中が凝る、指先が動かしにくく、細かい作業がしにくい、食欲がない、便秘傾向、体重が減った、話していると声が小さくなる、ろれつが回らない時もあるとの事でした。

昨年6月、地元の総合病院で内視鏡、超音波などを含めて全身の精密検査を受けたが、内臓には特別な異常は確認されませんでした。
神経内科による諸検査では、MRI検査は異常なく、ドパミントランスポーターシンチグラフィー(DATスキャン)を受け、線条体のドパミン集積が正常より大幅に低下していると指摘されました。

昨年8月、大阪市内の総合病院へ検査入院したそうです。
MIBG心筋シンチグラフィーで心筋の集積が低下している、レボドパ配合剤に対する反応(効果)が鈍い。嗅覚検査で異常なし、立っていると血圧が徐々に下がってくる(起立性低血圧)が確認されました。

結論として「パーキンソン病かそれ以外の病気かの判定ができない」
レボドパ/カルビドパ配合剤150mg×3回(毎食前)服用、血圧に対してはアムロジピン2.5mg1回を服用するように指示されました。
その病院の関連クリニックを紹介されたそうです。

レボドパ配合剤を開始して、背中の凝り、手指の動かしにくさ、話しにくさは改善したとの事です。その一方で
食欲がない、多く食べられない、薬を服用すると30分くらい気分が悪くなる。トイレが近くなった。

今回、当院まで来られた理由としては、以下のとおりです。
1) 薬の量が多すぎるのではないか?減らしたい、できればやめさせたい。
2) 本当にパーキンソン病かどうか疑問

レボドパ配合剤150mg×3回(1日450mg)も服用していることもあり
診察では、運動症状はほとんど確認できず。四肢の筋強剛は全くなしで
ベッドへ寝るなどの動作、歩行の速度はまったく正常に見えました。
手指の指タップで、左手がわずかに右手よりも落ちるくらいでした。
つまり、診察ではパーキンソン病らしさは皆無でした。
しかし、血圧測定では、やはり臥位から立位で30mmHgの持続性の血圧低下がみられ、立位での血圧は収縮期110前後でした。

拙著にも書きましたが、パーキンソン治療薬の最大の特徴というのは
「運動症状を改善する薬によって非運動症状が悪化する」という事です。
特に、自律神経が不調なタイプの方はその傾向が強いです
ほとんどの薬は自律神経に何らかの作用をして影響を与えるから当然です。

この方は、明らかにMIBG心筋シンチグラフィーでも心筋の交感神経集積が低下している、起立性低血圧などが確認されます。
当然、消化管(胃腸)の運動機能不全も推定されますので、
最初から1回150mgというレボドパ配合剤の服用がこの方にとって、多すぎるのは自明の理であり、消化器症状が出るのは当然と言えます。
私としては、運動症状の重症度がそれほどでもないにもかかわらず、レボドパ配合剤が多すぎるので、少しずつ減薬の方向で
とりあえず、レボドパ・カルビドパは100mg×3回としました。
常識的に考えれば、レボドパ配合剤はできるだけ減量して、他のドパミン作動薬を補助的に使うべきでしょう。教科書にはそう書いてあるはずです。

このケースで私が感心したのは、ご主人が「薬(降圧剤やレボドパ配合剤)が多すぎるんじゃないか」と感覚的に理解していた事です。
患者の事を一番よくわかっているのは、1~2か月に1回(大病院なら3か月に1回)、2~3分しか診ない医者などではなくて、ずっとそばで診ている
配偶者・同居者のはずです。「配偶者が事実上の主治医」と拙著に書いたのはそういう意味です。

今回は、苦労して本を書いたかいがあったと思いました。その一方で
1) 最初からこんな大量のレボドパを処方する理由が全く理解できない
2) 減薬したい、薬が多すぎるという要望を訊ける医者はいないのか?
という事を感じました。

6月17日(日曜日)にAP品川という会議室で、パーキンソン病とそれに関連した認知症をテーマにした講演会を行います。
この2か月で来られた症例も紹介します。
テーマはおそらく「パーキンソン病、増薬すれば悪くなる」になるでしょう。
今回、奈良から来たこの方のように、不要な増薬から守る事ができるのは、
配偶者など家族しかいません。

だから拙著は、医学書ではなく、一般書にしたのです。



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# by shinyokohama-fc | 2018-04-10 11:58 | 治療

パーキンソン病・25年目の奇跡 (2) 考察

パーキンソン病、25年目の奇跡。
今回の奇跡を成し得た、アストロサイト(グリア)とアデノシンについて考察してみたいと思います。
考察ですので、医学を知る方々以外にはやや難しい内容かもしれません。

脳を構成している細胞は2つ
ニューロン(神経細胞)とグリア(神経膠細胞)です。
ニューロンはわずか10%でグリアが90%。つまりほとんどグリアです。

ニューロンは情報処理や興奮伝達に特化した細胞で、巨大な情報ネットワークを構築しています。
グリアはニューロンを支える補助的な役割と言われていました。
しかし、今回のパーキンソン病25年目の症例はグリアの働きを証明したのではないかと思います。

運動指令の伝達に主要な役目を果たしている、ドパミンの受け渡しをするドパミン・ニューロンは、パーキンソン病の運動症状が発症した時点ですでに正常の50%以下になっています。

症例によって多様性がありますが、通常は発症して10~15年経つと、ドパミン・ニューロンは20%以下まで落ちると言われています。
レボドパ配合剤を初期(発症後7年以内)から多量(600mg以上)服用していた症例では、ドパミン・ニューロンはそれ以上(10%以下)まで落ちると推定されます。

そのようなドパミン・ニューロンが稼働不能状態に至った症例では、セロトニン・ニューロンがその役目を代替えすると言われています。
しかし、そのセロトニン・ニューロンも長年経つと変性が進んでしまうので
発症後20年経つとやはり稼働不能状態
になってしまいます。

グリアが主としてドパミンの受け渡しを行うようになります。グリアから放出されたドパミンがどのように受容体に作用するのかは詳細は不明です。

グリア(神経膠細胞)というのは、接着剤という意味で、ニューロンとニューロンの間を埋めるように存在しています。脳を空間的に支えたり、栄養を補充するなど、情報ネットワークの稼働を助ける存在と言われています。

アストロサイトというのは最も多いグリアで、ニューロンの立体構造を支えています。アストロサイトの細胞膜にも様々な神経伝達物質(ドパミン、アセチルコリン、セロトニン、ノルアドレナリン、アデノシンなど)に対する受容体(アストロサイト受容体)が存在しているようです。

アストロサイトではグルタミン酸がシナプスから放出されて、アストロサイト受容体と結合してニューロンと同様の興奮が起こり、アストロサイトはアデノシン三リン酸(ATP)を放出して、また別のアストロサイトを興奮させるという流れが起こると言われています。

ニューロンの変性が進行して、正常に稼働するニューロンが枯渇してしまった、長期罹患パーキンソン病においては、グリア、特にアストロサイトが神経情報伝達の主役になります。

アストロサイトの受容体においても、ニューロンと同様にドパミンとアデノシンは競合しているのではないかと推定されます。

アデノシンが神経情報伝達の主役になるらしいので、ニューロン以上にドパミンがアストロサイト受容体に受け取られるのをブロックされてしまうのではないかと思われます。

そこにアデノシンをブロックする、イストラデフィリンを加えることによって、競合していたドパミンがアストロサイト受容体にスムーズに受け入れられて、効果を発揮するのではないかと思います。

レボドパ配合剤が20年以上の長期罹患症例に効果を発揮するケースは、アルツハイマー、グレイン、ピック病理など異なる病理が存在しない、純度の高いパーキンソン病では多く見られます。胃ろうから持続的にレボドパ注入する治療が奏功している事例が存在するのはそのためだと思います。

おそらくニューロンの代わりにアストロサイト(グリア)が神経情報伝達の主役になっているのでしょう。

重度まで進行した意味性認知症と思われる症例にも、グルタミン酸に作用する薬剤が奏功するのも、そのためではないかと思われます。

アストロサイト(グリア)に関する研究は現在進められており、今後その成果が期待されるでしょう。



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# by shinyokohama-fc | 2018-03-20 12:12 | 治療

パーキンソン病・25年目の奇跡 (1) 実録


今回は発症して25年目のパーキンソン病の症例を紹介します。この方は50歳で発症して現在は75歳です。
25年というと、ちょうど小生がこの仕事をやっている年数そのものです。
つまりこの仕事を始めたときに、この方は発症したのです。


「パーキンソン病、少しずつ減薬すれば良くなる!」2月16日出版
今回の書籍を書く動機になった症例でした。書籍の帯で紹介されている(本文では7ページ4~7行目) 文章はこの患者さんご家族からの手紙です。
様々な医療機関を転々として、平成27年8月。当院の受診へ至りました。


「これまでは、外来で神経内科医に不調を相談すると、すぐに薬が追加されていたが、それらの薬にはほとんど効果が感じられず、副作用ばかり増える気がしていた。長年飲んでいる薬の影響で生活の質(QOL)もかなり低い状態になっていた。こちらでは無駄な薬の排除をしてくださるので、大変ありがたい

この方は、症例2(拙著84~90ページ)に紹介しています。
著名な元大学教授の先生の外来へ通院していました。
長くなるので、くわしくは拙著をよく読んでほしいと思います。


初診時は、ほとんど動けず、立位保持も歩行もできない状態でした
診察すると把握反応が著明(左>右)で、開眼失行が目立ち、言葉が話せず、
強い前頭葉機能障害が示唆されました。意識も朦朧としているように見えました。まるで進行性核上性麻痺の進行期と同じような臨床像でした。

ドパミン作動薬を複数服用していても、全然効いていなくて一日中ほとんど動けない、歩けないという厳しい状態でした。
前医では、「発症して20年以上経っていて、認知症もかなり進んでいるので、かなり深刻な状況だ。何をしてもよくなるはずがない。」と言われ

前医で処方されていた、治療薬は
① レボドパ・カルビドパ 200mg×3
② ロピニロール 4mg
③ ロチゴチン 9mg
④ ゾニサミド 25mg
⑤ エンタカポン 100mg×3
⑥ ドネぺジル 3mg
⑦ ドンペリドン 10mg×3
⑧ 酸化マグネシウム 330mg×4


実は小生も前医と同じように「病気が進行していて深刻な状況だ」と認識していて、どう考えてもこの方が良くなるとは思いませんでした。
正直に言うと「エライ患者が来てしまったな」と感じていたほどです。


しかし、そういう状況であれば、なおさら無駄な薬はいらんだろうと思い、ドパミン・アゴニストである②と③の併用。④のゾニサミドの使用、⑥のドネぺジルの使用、⑦のドンペリドンの使用は意味がないと考えましたので、
ドパミン・アゴニストは③に統一して、②④⑥⑦を順次中止しました。
特に⑥⑦はドパミン阻害に作用、②④はせん妄を誘発していると考えました
さらに①レボドパ配合剤200mg×3回を水に溶かして100mg×6回に変更しました。レボドパ吸収を阻害している可能性が考えられた、⑧の酸化マグネシウムをレボドパから2時間ずらして1日2回の服用に変更しました。

日中の意識は覚醒して、自宅内も手すりを使って移動できるようになり、オンの時間帯には日常生活動作もほとんど自分でできるようになりました。
この経過でやはりこの方はパーキンソン病だったのだと確信しました。

運動症状が良くなってから、認知症の簡易評価スケールであるMMSE、HDSRを実施しましたが、それぞれ28点、29点であり、26点以上でしたので、認知症(PDD)には該当しませんでした。
前医の「認知症もかなり進んでいる」という認識は間違いでした

よくパーキンソン病の専門家の先生方が、年表で「発症して20年以上経てば、認知症が進行する」というステレオタイプ的な講演を聞きますが、
この方にとっては前医が処方していた薬で認知症みたいにされていたのであり、認知症には至っていない事がわかりました。


来院後1年の処方 (28年11月)
① レボドパ・カルビドパ 配合剤 600mg/日
6時150/9時100/12時100/15時150/18時100(600mg/日)
② エンタカポン 200mg/日
12時100 18時100
③ロチゴチン 13.5mg/日
④酸化マグネシウム 1000mg/日
14時 500mg 21時 500mg
②は一時期中止したのですが、やはりオフが出るという事で再開。
④も一時期中止して、漢方薬に変更したが合わずに、元に戻しました。

診察時にもオン時間帯には猛烈な上半身のジスキネジアが頻繁にみられ、オフ時間も以前よりはかなり減ったもののエンタカポンでは埋めきれない状況でした。しかしエンタカポンを増やすと、ジスキネジアがさらに悪化すると想定されたので増やす気はありませんでした。

前医の無駄な薬をすべて取っ払うと動ける時間が増える一方で、ウェアリングオフとジスキネジアが目立ち典型的な無動型のパーキンソン病の臨床像が明らかになってきました。
アマンタジン100mgを追加してジスキネジアはいくらか軽減したものの、オフ現象はそのままでした。

つまり残る問題である、ウェアリングオフとジスキネジアは未解決でした。
前回のブログでも示したように、最近
ロチゴチンとイストラデフィリンの併用により、オフ現象の制御に成功した症例がいくつかありましたので
思い切ってエンタカポン、アマンタジンを中止して、イストラデフィリンに変更しました。

最新処方(30年3月)
①レボドパ・カルビドパ配合剤 600mg 1日5回
②ロチゴチン13.5mg 1日1回
③イストラデフィリン 20mg 1日1回
④酸化マグネシウム 1000mg 1日2回
⑤ルビプロストン 24μg 1日1回 (※便秘薬)

ジスキネジアは大幅に減少して、ほとんど見られなくなりましたオフ現象も同居している家族が見ている範囲ではほとんどなくなりました。
現在、歩行器を使って歩行していますが、以前より早くなったという印象で
地面から足がしっかり上がっているという感じがしました。

25年目でも薬の効果があるのが、純粋型パーキンソン病なのです。

パーキンソン病の25年目としては上出来ではないかと思いました
パーキンソン病の20年目以上の方が全員認知症になるわけではなく、実際統計的には半数程度と言われています。

この方を現在のベストの状態に持っていくまで3年近くかかったのですが、
純粋型パーキンソン病は、進行がきわめて遅いために、試行錯誤する時間的猶予が与えられました。
何より前医(元大学教授)とは違って何の権威もない小生のような開業医を信用して、3年も根気強く通院し続けてくれた患者さんとご家族に感謝したいと思います。

この方には、実は薬以外にも、2~3種類のサプリメントを使っています。
そのサプリメントはこちらから提案して、同意のうえで服用しています。
サプリメントの併用がなければ、減薬は困難だったかもしれません。
サプリメントが効果があると言うと、やれ科学的根拠がないだのプラセボ効果だのと言われかねないので、情報は非公開にしています。

またこの症例と同じような方に、同じような事をしたとしても、全員上手くいくとは思いません。それは他の病気でも同じです。

それは「多様性」があるからです。同じ病気でも、それぞれが置かれている環境因子や遺伝的素因はすべて違います。
同じ方法を使ってすべて上手くいくほど実地臨床は甘くはないのです。
この症例はおそらく、認知症がない、アルツハイマー病理がない、など好条件がそろっていたので幸運にも上手くいったのだと思います。




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# by shinyokohama-fc | 2018-03-16 11:32 | 治療

鹿児島認知症ブログ・書評(4)価値観を大事にして「世間」で仕事をしない

(4) 価値観を大事にして、「世間」で仕事をしない

医者としては「患者に害を与えない」という価値観を大事にしている。
この価値観を医者を続けている間はすり減らさないようにしたいと思っているので

それが最も大事な価値観ではないでしょうか?そう思います。
神経に作用する薬を多種多量に処方するという事は、最も患者に害を与える可能性が高いというのは、誰が考えても自明の理であります。
パーキンソン病という多くは非常にゆっくりと進行する経過の長い病気において、初期からそういう処方をしてしまうというのは、そういう意識が全然ないのでしょうか。

医者同士の会合なり、懇親会なりの「付き合い」には極力顔を出さないようにしている。「時間がない」ということだけがその理由ではない。
付き合いという「世間」を重視しているうちに、自分が大事にしている価値観が薄められてしまうことを恐れるからである。

それはよくわかります。
小生も昨年は自分が出たいと思わない会合とか懇親会はよく欠席しました。
セミナーとか講演会だけ出席して、懇親会は出ない事も多いです。
講演会は、興味のあるテーマの場合はなるべく行くようにしています。
懇親会も、他の医者との歓談(対話)で有意義な情報が得られる事もありますし、仕事と全く関係のない雑談をする事もありますので。
昔から忘年会とか送別会とか、宴会系が大の苦手でした。不特定多数の人が同じテーブルに座ってランダムに会話するという形式が基本的にムリですね
気心が知れた人3~4人くらいまでであればいいのですが。

付き合い重視で空気を読みすぎ、大事な何かをすり減らし続けると、そのうち「世間」のために仕事をするようになるのではないか、という懸念を自分は持っている。

常に空気を読んで行動する常識人においてはそうなのでしょう。
私は空気など全然読まないので、すり減らす事はありません(苦笑)。
そもそも空気読んでたら、今回のようなタイトルと内容の書籍はたぶん出版していないと思います。

普通の医者の「世間」とは「EBM信奉、ガイドライン遵守」である
「抗パーキンソン薬や抗認知症薬は基本的に、規定量まで増量・維持」の世界である。

普通に臨床実地医家をやっていたら、特にパーキンソン病とか認知症とか脳内の神経伝達物質の状態がデータ表示できるわけでもないので、EBMとかガイドラインではとてもじゃないが、対応できない事がよくわかりますね。
例えば、レボドパの少量分割投与などはEBMは証明されていませんが、ウェアリングオフとかジスキネジア回避のために普通に行われてますね。
EBM絶対主義が叫ばれてから、医療がゆがんだ方向に行ってるような気がします。EBM 丸投げで自分の頭で悩んだり考えなくなったし、むしろ無責任な医療になったのではないかとすら感じます。
そもそもEBMのない漢方セミナーになぜあれだけの医者が集まるのか?

本書籍を読めば、小生が「世間」で仕事をしていない事が良く分かる。

空気の読めない、生来の天邪鬼気質というだけなのかもしれませんが。
自慢ではないが、人の言う事に素直に従ったことのない人間ですので。

パーキンソン病に関わる医療従事者は、自分の襟を正すために。そして
パーキンソン病患者さんとその家族は、知識を得てわが身を守るために、本書籍を一読する事をお勧めする。

むしろ後者の目的で書いたのですが、知人の神経内科医数名からの評判は悪くなかったようなので、ひとまずは安堵しています。
ここまで強力な言葉での推薦を著者としては本当に感謝したいと思います。



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# by shinyokohama-fc | 2018-03-12 12:07 | 治療
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