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抗精神病薬の処方

抗精神病薬というジャンルの薬があります。

「統合失調症」の対症療法としては、非常に重要な薬であり、この薬のおかげで、病気の症状が寛解状態を維持できて、社会に適応できている人々が少なくないです。

通常は精神科でしか、処方されませんが、たまに精神科ではない、内科医が処方していることもまれにあるかもしれません。
患者さんの側(家族も含む)が「精神科」への受診を故意に避けたがるという問題もあります。

近年は、
①幻覚・妄想などの精神症状を主体とする、高齢者の認知機能低下症のケースが増えているようです。(レビー小体型認知症など)
②パーキンソン病の運動症状に対してレボドパ配合剤+ドパミンアゴニスト+その他という多剤併用のドパミン刺激剤を長年服用し続けて、高齢に至ってから、幻覚・妄想がなどの精神症状が現れてきたというケースもあります。

①の場合は、認知症専門外来で、②の場合は、パーキンソン専門外来で、それぞれ幻覚・妄想を抑える目的で、抗精神病薬という薬が処方されます

私はどちらも診ていますが、抗精神病薬はめったに処方することはありません。なぜなら幻覚・妄想は多くの場合、薬で誘発されているので、その原因薬を減量・中止することで軽減することがほとんどだからです。

原因薬は、パーキンソン病治療薬、特にドーパミンアゴニストや超短時間作用型のベンゾジアゼピン系睡眠薬、泌尿器科で処方される抗コリン薬、などです。

最近、紹介にて受診されたケースの場合は、薬が原因ではなくて、前頭葉の広範囲な脳梗塞が誘因でした。前頭葉の梗塞発症後から幻覚・妄想が誘発されたのです。

このケースを診察してみると、時計描画テスト、図形模写テストでも視覚・空間認知の問題があり、元々大脳皮質後方に問題があった可能性があります。潜在的に、レビー小体型認知症があったのかもしれません。

このケースでは、幻覚・妄想を誘発する薬は一切服用されておらず、前頭葉の脳梗塞後遺症は広範囲で不可逆的だと推定されたので、やむをえず、抗精神病薬を必要とするレアなケースと判断しました。

幻覚の起源としては、①大脳皮質後方(後頭葉・頭頂葉)の機能低下による視覚・空間認知機能の低下②脳幹上行網様体の機能低下による覚醒不良
妄想の起源としては、大脳皮質前方(前頭葉)の一部の機能低下と言われています。

抗精神病薬を認知症に使用するにあたっては、副作用に厳重な注意・監視が必要です。また2~3か月の期間限定的使用が推奨されています。

医療側からは、起こりうる危険事象/副作用に対する丁寧な説明とそれに対する患者側の同意確認が必要であるのは言うまでもないでしょう。

起こりうる危険事象/副作用を予測するためには、抗精神病薬の特性を知る必要があります(次のブログに続く)。


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# by shinyokohama-fc | 2019-12-23 12:30 | 治療

かぜ薬の危険性

薬物依存の原因薬物は、報告されている範囲内では総合感冒薬などの市販薬が約40%を占めるらしいです。大麻や覚醒剤よりもはるかに多いのが近年の特徴だそうです。 

総合感冒薬のうち、特に問題になるのは「せき止め(鎮咳薬)」と「鼻水止め(抗ヒスタミン薬)」ともに中枢神経(脳)に作用する薬です

「せき止め(鎮咳薬)」
麻薬性と非麻薬性のものがありますが、前者としてよく使われていて、市販薬にもよく入っているのがコデインです。脳に直接作用して強制的に咳を止める薬です。

コデインには呼吸抑制、過剰鎮静などの副作用が有名で、英国・米国では12歳以下の使用は禁忌になっていますが、高齢者と脳神経系疾患(喀痰の排泄する力が弱まる病気、PD,PSP,DLBなど)にも禁忌にしたほうがいいと思える薬です。

かぜやインフルエンザなどのウイルス感染症だけではなく、百日咳やマイコプラズマなどの細菌感染症に対して咳を止めると、体内からウイルスや細菌の排泄を止めてしまうので、感染症からの回復が遅れてしまいます。

また若年~青年期ではコデインの大量服用によって依存性に至ってしまう人も少なくないようです。依存から離脱できず、中年期になっても薬局からせき止めを大量購入してしまう人もいるようです。

「鼻水止め(抗ヒスタミン薬)」
この薬はせき止め以上に汎用されています。特に第一世代の抗ヒスタミン薬は、ヒスタミン(神経伝達物質の1つ)を妨害する作用が強いので、若年者で短期間だけ使うにはいい薬ですが、高齢者、特に脳神経変性疾患などには原則的に使うべきではない薬でしょう。

第二世代の抗ヒスタミン薬は脳神経への影響はかなり軽減されているとはいえ、やはりこれを服用すると眠くなったりする人は少なくないです。
高齢者、脳神経変性疾患(アルツハイマー、パーキンソン)には使用を控えたほうがいいでしょう。

臨床現場では特にプロメタジン(かぜ薬としてよく処方されていたPLに配合されている抗ヒスタミン薬は、鎮静作用が強く制吐作用、ふるえを軽減する作用などもあるため、依存性が強いようです。かぜをひいたとウソを言って、毎月のようにPLをもらいに来る人がいるようです。

私は、高齢者の神経変性疾患を数多く診る仕事ですので、当然ながら、コデインもプロメタジンも処方しません。

また薬物治療の最新エビデンスによると、コデインも抗ヒスタミン薬も有効性はいずれも否定的な見解です。
そういう薬でわざわざ脳神経副作用や依存のリスクを負うというのは、あまりにもデメリットが大きすぎるような気がします。
特に、レビーやパーキンソン長期罹患者には危険、禁忌にすべき薬です。


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# by shinyokohama-fc | 2019-12-20 11:20 | 治療

高齢者 高リスク薬多用

朝日新聞、昨日(12月8日)一面記事
「高齢者 高リスク薬多用 睡眠・抗不安 処方80代ピーク」
「転倒・認知障害の恐れ」
「複数の不調で受診・重複も」

記事によると、ベンゾジアゼピン系睡眠薬・抗不安薬の処方数は、75歳以上の特に女性で年齢とともに増加、80~89歳がピーク、90歳以上でもかなりの処方数のようです。

これまでも私が当ブログ、地域の講演会、認知症なんでもTVなどで何度もしつこく取り上げているテーマです。

筋弛緩作用による転倒~外傷、呼吸状態の悪化、健忘症~認知機能の低下など、すべて直接的な健康被害に通じる有害事象が多いのが、このベンゾジアゼピン系です。
そういう薬が高齢者にこれだけ処方されているというのは驚かされます。

おそらく、ベンゾジアゼピン系の服用者が今よりもっと少なければ、医療費コストが大幅に減るのは間違いないでしょう。特に高齢者の救急外来の受診者数は大幅に減るのは間違いないでしょう。

一度、ベンゾジアゼピン系を服用開始して、半年以上服用してしまうと強い依存性のため、離脱するのがかなり困難になります。

私はベンゾジアゼピン系以外の薬に変更して上手くいったケースもありますが、上手くいかないケースもあります。

特に依存の強いのは、超短時間タイプ・短時間タイプの薬です。
効果が発現する時間が短く、短時間で効果が切れるタイプです。
夜間せん妄、異常行動、健忘症なども多いという報告があります。
長時間タイプに比べて、持ち越しが少なくて安全だと喧伝されてきたのですが、中途覚醒が多くて、異常行動、幻覚、転倒事故などがかなり多いという報告があります。
特にアルツハイマー、レビー、パーキンソンなどの神経変性疾患の方にはかなり高率で上記のイベントが現れる可能性が高いので、できればベンゾジアゼピン系は避けたほうがいいでしょう。

<超短時間タイプ>
トリアゾラム(ハルシオン)半減期1.2時間
ゾルピデム(マイスリー)半減期1~2時間
ゾピクロン(アモバン)半減期0.8時間
エスゾピクロン(ルネスタ)半減期0.8~1.5時間
<短時間タイプ>
エチゾラム(デパス)半減期3.3時間
ブロチゾラム(レンドルミン)半減期1.5時間

現在行われている30日の日数制限だけでは抑止にはつながらないので、精神疾患・精神科以外は高齢者への新規処方を原則禁止する。精神科以外の診療科から処方する場合は、理由を明記するという保険診療上のルールを作るべきだと思います。

レビーやパーキンソンと診断された高齢者はさらに、ドーパミンアゴニストなど神経系に作用する薬が何種類も併用されていることが多く、それがせん妄(一過性の意識レベル低下による異常な言動(幻覚・妄想など)・行動)を誘発していると推定されます。
神経系作用薬のポリファーマシーは特に有害性が大きいので要注意です


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# by shinyokohama-fc | 2019-12-09 12:23 | 治療

高齢ドライバーの実車試験に賛否

昨日(12月6日)の東京新聞の記事にて、
「高齢ドライバー「実車試験」に賛否」 
「安全運転判定 警察庁が導入議論」
「有効な対策「生活の足を奪う」
「認知機能検査 5回目で合格の人も」 

高齢者ドライバーによる交通事故は急増しています。池袋でおきた悲劇のように、何らかの脳疾患によって明らかに運転機能の低いであろう高齢者の運転を放置することは、社会的なリスクになると思います。

近年は、75歳以上の認知機能検査が、免許更新時と交通違反者に義務つけられており、その診断書目的の外来受診もあるようです。

神経内科専門医としての、臨床経験の見地からの意見ですが、
そもそも長谷川式とかミニメンタルステートテストとかたかだか1~2種類の認知機能検査により、認知機能低下症か否かは全く判別できません。

これらのテストの点数はもともとの教育・職歴などその人の環境に大きく左右される傾向があります。読書する人しない人でもかなり違うはずです
テストが15~20点でも認知機能低下症ではない人もいれば、30点でも認知機能低下症の人もいます。

そんなテストよりも感度が高いのが、時計描画テストです。
いわゆるレビー型の認知機能低下症の方は、真面目で、勉強熱心で、インテリジェンスの高い方が多く、上記テストが28~30点の方はザラにいます。そういう人でも時計描画テストをすれば、数字に目盛りを入れたり、数字を円の外側に書いたり、数字が円から離れて内側にクロージングしたりします。これだけでも認知機能低下症の重要な証拠になります。

ミニメンタルステートテストによる重複五角形模写テストや、立方体模写テストも構成能力をみる上で重要なテストです。
時計、図形、立方体模写を最重要視しています。記憶障害などよりも、視覚認知障害や計算障害があるほうが交通事故のリスクは高いのはいうまでもありません。目で受け取った情報を正しく大脳皮質の後方で情報処理できないので、制限速度などが正しく認識できなかったり、交通標識を正しく認識できなかったりします。
そういうわけで、交通事故リスクが高い高齢者は、レビー型の方々です。
そのうち変形視や幻視が運転中に出現してしまったらどうなるか?

大脳皮質後方の症状である、視覚認知・計算(数字)は後頭葉から頭頂葉の機能障害ですが、海馬・側頭葉・前頭葉の萎縮がはっきりしない事が多いので、たかだかMRIなどの画像診断だけで「大脳皮質は萎縮していないので、認知機能低下症は大したことない」と専門医に言われてしまうケースも結構あるようです。

レビー型の場合は70~80%にパーキンソン病と同じく、動作歩行障害があり、その多くはパーキンソン病に比べて薬が効きにくく、かつ短期間で病状が進行する(四肢・体幹の運動能力が著しく低下する)わけです。
最も顕著なのは頸部~体幹が前後に動きにくいことです。

レビー型では思考判断の遅延・停止が顕著にみられます。それは上記のテストの返答が明らかに遅くなります。しばらく考えが止まるという感じになります。

視覚認知障害+動作歩行障害+思考遅延となれば、自動車の運転はとても危険すぎてさせられないという事になります。
たとえ長谷川式の点数が28~30点で、海馬と大脳皮質がまったく萎縮していなかったとしても、とても危険なのです。

自動車運転の可否に関しては、コース立方体組み合わせテストやパレイドリアテストなどの導入も必要ではないかと思います。
そのうえで実車試験が総合的な運転機能の判断には必須だと思います。
医者の実施する抜け穴の多い曖昧なテストや診断だけで運転の可否を判定するのは、あまりにもお粗末ではないでしょうか?


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# by shinyokohama-fc | 2019-12-07 12:45 | 健康

鎌倉大仏・長谷寺(神奈川県・鎌倉市)

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               高徳院・大仏

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        高徳院の山門
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               長谷寺・経蔵
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               長谷寺・弁天窟入口
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               長谷寺・大黒堂

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               長谷寺・見晴台からの眺め
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               長谷寺・本堂(観音堂)
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               長谷寺・山門
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# by shinyokohama-fc | 2019-11-21 18:37
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新横浜フォレストクリニック(横浜市港北区・新横浜駅)の院長が日々綴る様々な情報を発信するブログです


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