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ドパミン調節異常症/レボドパ含有製剤に基本的注意追記

厚労省は1月21日、レボドパ含有製剤の使用上の注意に対して、重要な基本的注意の項に「ドパミン調節障害症候群」の記載の追加を求める改訂指示を出し、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が改訂情報を伝えた。
レボドパとカルビドパ/ベンセラジド/エンタカポンの配合剤が対象。

報告例は1例とか2例らしいですが、まあ氷山の一角でしょう。報告してしまうと、薬を処方する方も、服用する方も不都合になってしまうからですね。

「ドパミン調節異常症」については拙著186ページに書いています。わかりやすく言うと「ドパミン依存症」のことです。

「薬をたくさん使わないと効果がでない」という思い込みから必要以上の服薬を求めて、場合によっては、他の医療機関に処方してもらおうとするケースもあります。本書では1.5%と書きましたが、程度問題であり、実際は10%以上は存在するでしょう。

この「ドパミン調節異常症」はもともとはドパミンアゴニストというドパミン受容体の刺激剤が登場したときに、注意喚起された有害事象ですが、少なからずレボドパ配合剤単独でも出現しうるという事でしょう。

私がこれまで診てきたケースでは、レボドパ配合剤とドパミンアゴニスト(多くはプラミペキソール)の高用量がすでに長年処方されているケースです。最大限まで増やされてしまい、その上で、セレギリン、ゾニサミドなどが続々とトッピングされて、精神疾患のようになってしまった症例をみたことがあります。中国地方のパーキンソン病で著名な医師から処方されていて、わざわざ受診したケースもあります。

対症療法とはいえ、パーキンソン病の方々にとってレボドパ配合剤、ドパミンが必要で有意義であることには異論はありませんが、その人にとって、本当に正しく使われているか?服用量はそれで適正なのか?を検証することは、実は容易ではないです。
私の印象では、オーバードース傾向になっているケースが圧倒的に多いのではないかと感じます。

昨年秋に四国から、一時的に横浜へ来られた80代女性のパーキンソン病の方がいました。前医ではレボドパ・カルビドパが350mg/日処方されており、同居者が、夜間の不穏や幻覚にかなり悩まされました。
パーキンソン病かわからないほど運動症状が軽微であったので、段階的にレボドパ・カルビドパを50mgずつ200mg/日まで減量して、最近はこの問題は落ち着いたようです。

「レボドパは安全性が高いから、動けるようになるのであればいくらでも増やせば良い」と断言する専門家もいるようですが、これまでセカンドオピニオンで受診された方々の多くはドパミン依存になっていました。おそらくレボドパ配合剤を含めたポリファーマシーが「ドパミン調節異常症」を助長するのだろうと思います。ドパミン作動薬の服用量と種類が増えれば増えるほどリスクが高くなるのは間違いないでしょう。

薬というのは意図した作用(中脳へのドパミン刺激)だけではなく、意図しない不都合な作用(側坐核や辺縁系へのドパミン刺激)も起こりうるものであるという事をもっと知るべきだと思います。


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by shinyokohama-fc | 2020-01-27 12:16 | 治療

前頭側頭葉変性症に対する投薬

かなり以前に、前頭側頭型変性症(以下FTD)についてこのブログに書いたことがありますが、諸事情があり、再び私見を書こうと思います。

2年前に患者会向けに講演いたしました。その直後に数名だけ遠方から受診されましたが、この1年はそれらしき新規の患者さんはいません。

3年前に、難病申請の対象になりましたので、当院でも約20名ほどは
FTDで臨床調査票を書きました。FTDで調査票を書いたケースのうち臨床病型は80%がSD(意味性認知症)でした。bv(行動異常型)FTDタイプは大半が臨床的にCBSに移行するので、FTDではなくCBDとして難病申請しました。

2年前の講演主旨は、FTDに抗精神病薬を使うことのデメリットについてです。開業当初は何もわからなかったので、先のブログに書いたクロルプロマジンやらクエチアピンやら使っていた時期がありましたが、半年くらいでほとんどこういう薬を処方するのをやめました。それはデメリット>>>メリットだからです。100人以上FTDを診てきた私見で言いますと、メリットはほとんどゼロに近いのではないかと思います。

抗精神病薬を避ける最大の理由は、FTD、特にbvFTDはCBSと臨床的に高い頻度でオーバーラップするからです。当院の外来受診者の臨床的FTDの中で比較的多かったのは、CBS(大脳皮質基底核変性症)タイプです。CBSは脱抑制的な症状が強く出現するからです。

前医(精神科か神経内科)で処方された抗精神病薬を数年継続して服用され続けて、当院に来られた時はすでに歩行不可能に至り車椅子という方を山ほど診てきましたので、抗精神病薬に対してはかなり警戒しています。

「不機嫌で家族やデイケアで暴れる=FTD」というのもよくある大きな誤解です。最近みた症例で、男性の方で、パーソナリティー問題によるギャンブル依存などが背景にあって暴れるATD(アルツハイマー)のケースがありました。抗精神病薬をいくつか試みましたが、一時的な効果はあるものの、やはり根本的な解決にはなりえませんでした。

ATDにしろFTDにしろDLBにしろ、暴れる人は暴れます。
暴れるという症状は即、行動異常型FTDの診断にはなりえません。

認知症の人が暴れるのは、それは生育歴、パーソナリティー、家族、生活環境、などの問題が背景にあるためで、家庭では暴れるけど、デイケアでは大人しい、またはその逆などもあります。環境変化というのは暴れる理由になりえます。またワンマン社長、独裁者タイプの男性も暴れる人になりやすいです。そもそも社長や教授やってた人にデイケアが合うわけないですし、男性は仕事をしてカネを稼いでいるという存在意義がなくなり、ただ認知機能が低下していく状態になれば不安になり暴れるでしょう。
長年のパーソナリティーの問題が、たかだか医者の処方した抗精神病薬ごときで収まると考えるべきではないでしょう。

抗精神病薬は期間限定にするようにとあります。なぜなのでしょうか?
それは病気が進行していくからです。病気が進行してしまえば、最初は抗精神病薬で上手くいったように見えても、半年後はドパミン遮断による様々な問題が発生します。80歳以上の人になると心臓が悪い人が多いですので、不整脈の問題があります。

抗精神病薬の代わりに何を処方するかというと、やはり現実的には抗てんかん薬かセロトニンを増やす薬(SSRIなど)になるのでしょうか?
しかし、旧来型のカルバマゼピンや、パロキセチン、フルボキサミンは副作用が多いことで有名ですので、使いつらい所です。












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by shinyokohama-fc | 2020-01-14 12:54 | 治療
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