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薬で悪化する体幹の異常姿勢(ジストニア)に要注意!

先日、ジストニアで著名な先生の講演を拝聴しました。
「ジストニアは運動異常か姿勢異常かどちらなのか?」専門家の間でも意見が分かれていて、論議の的だったようです。

「ジストニア」というと何か遺伝性の特別な病気DYTなどが想像されると思います。私も以前DYTで、機能外科手術を受けた後の患者さんを診ていたことがあります。こちらは全身性で、身体がねじれてくる(捻転性)「運動異常」と呼ぶに相応しい症状で非常に重篤であり、日常生活動作が困難になるレベルです。

我々普通の診療所で、実地医家としてよく見かけるのは、高齢者における「姿勢異常」のほうです。近年はこれがジストニアだと呼ばれるようです。

もちろん、神経変性疾患によって起こりうる症状ではありますが、神経系に作用する薬物によって助長・強調されるケースが頻繁にみられます。
原因となる代表的な薬物があり、1つはドパミンアゴニスト(非麦角系)、もう1つはコリンエステラーゼ阻害薬(ドネぺジルとリバスチグミン)

特にレビー小体型認知症(DLB)の症例で、どちらかが高用量で使用されていたケース、どちらも使用されていたケースでは高率に「体幹ジストニア/姿勢異常」が起こるようです。

体幹ジストニアは、主に①首下がり②腰曲がり③体幹傾斜(ピサ徴候)の3種類のパターンがあります。
この5年間において、ドパミンアゴニストかコリンエステラーゼ阻害薬によってこのいずれかが見られた症例を数多く拝見してきました。

65歳以上で運動症状が出現して、「パーキンソン病」と診断されて、非麦角系のドパミンアゴニスト(プラミペキソール、ロピニロール、ロチゴチン)を処方開始されてから、数か月単位でみるみるうちに首が下がってきた、腰が曲がってきたというパターンが非常に多いようです。

MDS(国際的パーキンソン病学会)が規定した、診断基準によると
・発症3年以内に姿勢が悪くなり、転倒を繰り返す
・発症10年以内に首が前後に動かなくなる

これらはパーキンソン病を否定するための根拠になりうる「除外診断基準」
つまりこの現象があれば、パーキンソン病以外の病気であるという証拠になりうるということです。
もしこれらの症状が出現してパーキンソン病が否定的であれば、ドパミンアゴニストは即座に減量・中止すべきでしょう。
しかし、多くの場合はそうではなくて、ドパミンアゴニストの副作用・有害事象として、首下がり、腰曲がり、ピサ徴候が現れるわけです。

最も多いのは、レビー小体型認知症(DLB)をパーキンソン病(PD)だと誤診されているケースです。
パーキンソニズム優位型のDLBに対してドパミンアゴニストを増量して使うと、体幹ジストニアはほぼ必発だと言えます。私が5年間で診てきた20前後の症例では程度の差はあれどすべての症例でジストニアが現れてます。

一般的にPDの場合は四肢の末端の筋強剛が最も強く、具体的には手首・足首が固く関節が動かしにくくなります。
それに対してDLBの場合は四肢の末端よりも頸部~脊柱(体幹)の筋強剛が主体になります。この特徴はPDよりもPSPに似ています。

すでにDLBだと診断を下した症例において、ドネぺジル、リバスチグミンを増量した場合、体幹ジストニアは起こります。進行した重症ステージの症例ほど起こりやすくなります。
こちらは私自身が今から3~4年前に自身がこれらの薬を処方した症例において数多く体験しました。

頸部~体幹の筋強剛、首下がり、腰曲がりは転倒リスクが高まるだけではなく、嚥下が困難になり、誤嚥のリスクが高まります。

ドパミンアゴニスト、コリンエステラーゼ阻害薬の増量服用によって、このような深刻な問題が起きているという事実を多くの臨床医はわかっていないようです。

DLBとPDの区別もしないといけないのですが、患者をさわらない、核医学検査(DAT-SCAN,MIBG心筋シンチグラフィー)の結果をモニターで確認するだけの診療・診断ではとうてい区別はできません。検査のみに頼る診療・診断は医療とは言えません。

ドパミンアゴニストとコリンエステラーゼ阻害薬の不適切使用が、多くの症例をジストニアに陥れていると言っても過言ではないでしょう。両方とも使われている症例は言うまでもなく、ハイリスキーです。


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by shinyokohama-fc | 2019-09-30 13:33 | 治療

睡眠導入薬に警告

米国食品医薬品安全局(FDA)は、ゾルピデム(マイスリー🄬)、エスゾピクロン(ルネスタ🄬)、ザレプロンについて、服用後の異常行動による危険性を指摘。
新たに警告を追加しました。

66例の重篤なレベルの睡眠時行動異常が確認されたということです。
そのうち20例は異常行動で死亡
死因は一酸化炭素中毒、溺死、転倒、低体温、自動車事故、自殺
そのうち46例は過量服薬、転倒、火傷、溺水、自殺企図(銃殺)など重篤な
危険障害が報告
されています。

これらの睡眠導入薬で、異常行動を来たした既往歴のある患者については、使用禁忌を求めています。
服用後に半覚醒下での異常行動、服薬中の行動を覚えていないなどの場合は直ちに中止して、処方した医者に相談せよと警告しています。

私が主に診察している、パーキンソン病、レビー小体型認知症の患者さんは
70%くらいは、レム睡眠行動異常があります。
つまり、上記のリスクが通常よりも高い患者群と言えます。

ゾルピデムでの異常行動は自験例でも多数診ていて、数年前からは高齢者を含めて、自ら処方することはなくなりました。
他医で処方されているケースで異常行動や幻覚を誘発されているケースも多く、ゾルピデムを中止するように指示しています。
今後はエスゾピクロン、ゾピクロンなどでも気をつけるべきだと考えます。
エスゾピクロンでの異常行動の自験例がまだないのは、原則1mg処方にしているからなのかもしれません。

これらの薬はベンゾジアゼピン受容体作動薬です。以前は「非ベンゾジアゼピン」だと喧伝されて、使用量が米国でも日本でも飛躍的に増えましたが、
その分だけ、上記のような深刻な事例の報告も増えたようです。
一度服用を開始してしまうと、身体依存・精神依存が非常に強いので、なかなか中止できない状況になってしまう点が非常に厄介だと言えます。



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by shinyokohama-fc | 2019-09-03 18:37 | 治療
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