人気ブログランキング |

<   2019年 02月 ( 2 )   > この月の画像一覧


ベンゾジアゼピン系薬で肺炎リスク上昇

以前、当ブログでエチゾラムとゾルピデムの問題を以前取り上げました。

このたび中国の杭州の病院で多数の肺炎症例を統計解析した結果、ベンゾジアゼピン受容体関連薬(BZRD)が肺炎リスクを上昇させるという報告がされています。
杭州というと800万人近い人口をもつ巨大都市で、12万例の症例を解析したとのことです。

結果としては、ジアゼパム(セルシン🄬)、ロラゼパム(ワイパックス🄬)、テナゼパム、ゾピクロン(アモバン🄬)で有意に肺炎リスクが高まったそうです。
服薬患者数が多いため、臨床上大きなインパクトがあると警告しています。

ベンゾジアゼピン受容体関連薬(BZRD)に呼吸抑制作用があるというのは以前から言われていたことであり、BZRDの数ある副作用の中でこれが最も重大かつ深刻であり、高齢者の肺炎による入院など医療費を上げている要因であるのは間違いないでしょう。

自身の臨床経験においても、前医からされたフル二トラゼパム(サイレース🄬、ロヒプノール🄬)が中止できずに、誤嚥性肺炎を繰り返して衰弱してしまった神経難病の方や、前医から処方されたエチゾラム(デパス🄬)を服用継続して、誤嚥性肺炎を繰り返した脳梗塞後遺症の方がいました。

ベンゾジアゼピン受容体関連薬(BZRD)は特に75歳以上の高齢者、脳梗塞・脳外傷後遺症やパーキンソン病などの神経難病の方には危険な薬です。
ただでさえ、嚥下・呼吸機能が低下しているのですから当然ですが。

こういう患者には最初からBZRDを処方しない。継続服用している患者は少しずつ減薬して中止を試みる事が大事です。

小生も過去の反省を踏まえて、最近は高齢者に新規では極力BZRDは処方しないようにしています。どうしても必要な場合はラメルテオンを処方する事がほとんどです。

日本はBZRDが過剰に処方されすぎてるのではないでしょうか?世界ではベルギーに次いで2位、アジアでは1位だそうです。
国民皆保険制度の弊害なのか?気安く睡眠薬を処方しているのが現状です。

BZRDをやめる、減らすだけで、高齢者の誤嚥性肺炎・転倒による外傷の患者とそれにまつわる医療費は大幅に減るのではないかと思います。

薬がないと眠れないという意識というのは思い込みの要素が強いため、まずは偽薬を使うなど何らかの対策を講じる必要があるのではないでしょうか?



新横浜フォレストクリニック
内科・漢方内科・老年内科・神経内科

JR・新幹線・横浜市営地下鉄 
新横浜駅 篠原口より徒歩1分







by shinyokohama-fc | 2019-02-28 11:28 | 治療

多剤併用を推奨する専門医?

先日、パーキンソン病の新しい薬に関する講演会を案内されたので、聴講しました。新しい薬はまだ使用経験が少ないので、何か得るものがないかと。

新しい薬と言っても、日本以外の海外の国では何年も前から標準的に使われている薬ですので、世界的には決して新しくはないのですが。

ある演者の講演の最後に症例提示があったのですが、それを聴いて愕然とさせられました。
すでにパーキンソン治療薬を7種類処方されている患者に、新しい薬を追加したら良くなっただと?すでに7種類服用している例でもこの薬は効果がある?という内容でした。
誰がこの効果??がプラセボではないと証明できるのでしょうか?
私はこの話を聴いて、大きく嘆息し、とてつもない失望感を感じて会場を退席しました。

一般的に薬のRCTで効果と安全性が証明できるのは、2~3種類の併用までです。4種類以上は効果も安全性も証明されておらず、何が起こるか想定外の得体の知れない未知の領域です。

パーキンソン病の専門を謳う専門医というのはとかく多剤併用をしたがるようです。パーキンソン治療薬が10種類もあって、保険医療においていくら併用してもOKというおかしな事になっています。
足し算処方ばかりで引き算処方という考え方は全く知らないようです。
1年前にブックマン社から出版した拙著はそれを問題提起する目的で書きました。

厚労省(国)もこのたび「多剤併用」「ポリファーマシー」への注意を呼びかける指針を出しています。医療経済的な問題だけではなく、薬の影響で体調を崩している患者があまりにも多いからだと思われます。

「多剤併用」「ポリファーマシー」の患者の予後は悲惨の一言です。
1年前から、遠方から「セカンドオピニオン」で来られた患者さんの多くのケースはそうでした。常軌を逸した「多剤併用」を10年、15年続けたあげく、神経回路・伝達がズタズタにされていたのでしょう。こうなってしまうと取り返しがつかないのです。

脳内の神経伝達というのは非常に複雑です。主なものだけでもドパミン系の他にも、セロトニン、アセチルコリン、ノルアドレナリン、ギャバなどがあり、他にも何種類もあってそれが複雑に連動しているわけです。

脳神経に作用する薬が何種類も大量に服用を続けることは非常に危険な事です。ましてドパミンだけを多剤併用でこれでもかこれでもかと刺激すれば、他の神経伝達物質や自律神経系にも支障をきたすのは自明の理でしょう。

「多剤併用」「ポリファーマシー」が良くないので、薬を減らそうというのは欧米を中心にWHOでもかなり前から言われてきた事です。

「多剤併用・大量処方」が当たり前の我が国の処方スタイルというのは悲劇という他はないのではないでしょうか?

個人的にはパーキンソン病の治療薬の効果の半分以上はプラセボ効果ではないかと思っていますので、3種類以上追加する場合は健康保険の適応外にするかあるいは偽薬を試すのでいいのではないでしょうか?



新横浜フォレストクリニック
内科・漢方内科・老年内科・神経内科

JR・新幹線・横浜市営地下鉄 
新横浜駅 篠原口より徒歩1分







by shinyokohama-fc | 2019-02-26 18:20 | 治療
line

新横浜フォレストクリニック(横浜市港北区・新横浜駅)の院長が日々綴る様々な情報を発信するブログです


by shinyokohama-fc
line