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ドパミン受容体作動薬(アゴニスト)とベンゾジアゼピン受容体作動薬は似ている

ドパミン受容体作動薬 (ドパミン・アゴニスト)とは、約20年前後にわたって、主に神経内科でパーキンソン病治療薬としてよく使われてきた薬です。

わが国で使用されている薬としては
①プラミペキソール、②ロピニロール、③ロチゴチン、④ブロモクリプチン、⑤カベルゴリン、⑥ぺルゴリド、⑦タリペキソール
現在主に使用されているのは、①~③
④~⑦はエルゴタミンが入っているため、長期服用にて心臓弁膜症、肺線維症、発がん性が問題視されているため、現在は条件付き限定的使用

ベンゾジアゼピン受容体作動薬とは、長年にわたって不安症状や不眠症状に対して、精神科のみならず、プライマリケア医によく使われてきた薬です。
よく使われている抗不安薬としては
①エチゾラム、②クロチアゼパム ③ロラゼパム ④アルプラゾラム ⑤ブロマゼパム ⑥ジアゼパム ⑦クロルジアゼポキシド ⑧オキサゾラム ⑨ロフラゼプ酸エチル
①~⑤が短時間~中時間型、⑥~⑨が長時間型です。
特に頻用されてるのが、①②④⑥⑨あたりではないでしょうか?
①については、特にパーキンソン病、レビー小体型認知症には使うべきではない薬であるという意見を書きました。以前のブログを参照ください。

よく使われてる睡眠導入薬としては
①ゾピクロン ②ゾルピデム ③トリアゾラム ④二トラゼパム ⑤フル二トラゼパム ⑥ブロチゾラム ⑦エスタゾラム ⑧エスゾピクロン
①②は一時期非ベンゾジアゼピン系だから安全だと喧伝されていた時期がありましたが、近年はベンゾジアゼピン受容体作動薬として包括されました。
①については、特にパーキンソン病、レビー小体型認知症には使うべきではない薬であるという意見を書きました。以前のブログを参照ください。
個人的印象では、⑧は①を安全に改良されたという印象はあり、実臨床ではあまり依存症やせん妄で問題になる事例は散見されないようです。

ベンゾジアゼピン受容体作動薬に関しては、ここで書くまでもなく、欧米などの先進国で、その使用がかなり問題になってます。
わが国ではその使用頻度が異常に多い事が、以前から問題視されており、
今年4月の診療報酬改定において
「ベンゾジアゼピン受容体作動薬を1年以上にわたって、同一成分を同一用量で連続して処方している場合を「向精神薬長期処方」として診療報酬を一律で減算する」という新しいルールが発表されました。

ベンゾジアゼピン受容体作動薬の一番の問題は、特に短時間型に顕著な「依存性」です。また、高齢者・脳神経変性疾患罹患者・脳卒中後遺症者に対しては特に、高い確率で「せん妄」を起こしやすい事で知られています。

ベンゾジアゼピン受容体作動薬の作用機序としては、GABA受容体の活性が高まり、GABAがGABA(A)受容体に結合して、クロールイオンが神経細胞に流入して過分極、鎮静・筋弛緩・不安抑制作用があります。

ベンゾジアゼピン受容体作動薬の依存形成に関しては
GABA(A)受容体を仲介して中脳・腹側被蓋野でドパミン神経細胞を活性化
中脳・腹側被蓋野と側坐核付近でドパミン放出を起こす薬は一般に嗜癖性(依存性)があります。

ドパミン受容体、特にD2受容体(側坐核付近)を刺激する薬もまた、嗜癖性(依存性)があります。「ドパミン調節依存症」というのは、言い換えれば「ドパミン依存症」の事であり、「薬をたくさん使わないと効果がでない」という思い込みを誘導してしまうようです。

一度始めると、やめられない薬
それが、ベンゾジアゼピン受容体作動薬であり、ドパミン受容体作動薬なのだと思います。もちろん嗜癖性に個人差が大きいのが現実ではありますが。
服用する場合はそれを覚悟しないといけないのでしょう。


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by shinyokohama-fc | 2018-09-21 12:34 | 治療

スタチン原理主義とその功罪

「スタチン」という薬。
循環器科医と糖尿病内科医はほぼ全員が絶賛する薬
であろうと思います。
その分野の権威的なDrだと「盲信的」と言っていいほどです。日本人が発明した薬だからというのがその理由の1つかもしれません。

しかし、薬というのは、常にパラドックス(矛盾)を抱えています。
薬である以上副作用のリスクがあるわけですが、スタチンの副作用についてそういう議論が臨床医でなされている事はほとんどないようです。

その理由は「心臓血管イベントを抑制する」からです。
心血管イベントというのは、わかりやすくいうと、心筋梗塞とか脳梗塞とか
動脈閉塞症など、動脈硬化による疾患群のことです。

たしかに、私がこの仕事を始めた頃に比べると、明らかに「多発性の微小脳梗塞」「脳血管性パーキンソニズム」「脳血管性認知症」「アテローム血栓性脳梗塞」はかなり減ったように思います。
これは降圧剤の普及による血圧コントロール、糖尿病治療薬の普及による糖尿病コントロール、禁煙の普及などがありますが、スタチンの寄与している所も大きいと思われます。

しかし神経内科医である私はこの薬を毛嫌いしていました。
「スタチン」による「横紋筋融解症」の重篤な劇症型症例を数例診ているからです。近年は劇症型ではない「横紋筋融解症」は増えていると推定されます。中高年者でも「スタチン」を開始してから筋肉痛が発症して、立てない
、腕が上がらないというケースはよく見られます。それが近年の高齢者の「フレイル」の増加の一因になっているのではないかと思われます。

また、中年高齢者に四肢、特に下肢の末端のしびれをきたす方々の多くが、スタチンを服用しているようです。「スタチン」は「末梢神経障害」も引き起こす薬だからです。

それに加えて「スタチン」にとってさらなる「不都合な現実」が存在する事が明らかになりました。
それは「認知機能の低下」つまり「認知症」を増やすという現実です。

神経細胞(ニューロン)はコレステロールから作られます。筋肉や末梢神経も同じくです。長年にわたってスタチンを服用する人が増えれば、認知症が増えるのは当然だと言えます。

8月19日に、市川フォレストクリニックの松野晋太郎先生が、興味深い報告をされていました。「認知症患者に処方されていたスタチンを中止すると、テストで3~4点も点数が上がる」
本来「スタチン」信仰の強い循環器科医がこのような報告をしている事が私にとっては衝撃的でした。

もっともテストで認知症の病態すべてが説明できるわけはないのですが、先日説明した、デール・ブレデセン先生の著書にも同じ事が書いてありました。他にも同じような報告がありますが、わが国では「スタチンが認知症を悪化させているか?」を検証する臨床試験が実施される事はおそらくないだろうと思います。

糖尿病患者が「糖毒性認知症」を発症するリスクが高いというのは今や常識になりつつありますが、糖尿病の糖毒は「末梢神経障害」「筋肉障害」を引き起こすのは古くから知られています。「自律神経」というのは目に見えない「末梢神経」で、糖尿病では「自律神経障害」もきたします。

糖尿病を長年患った高齢者がスタチンを服用し続けるとどうなるか?
「認知症」「末梢神経・自律神経障害」「筋肉障害」を続々と引き起こして
最終的には「フレイル」に至る要介護者が増える事が容易に想定できます。

心血管イベントが減少して長寿者が増えたのは喜ばしい事なのかもしれませんが、別の問題が起こっているという事実も無視できないでしょう。

また良質な脂質、例えば「リン脂質」は認知機能を改善させるという報告も増えていますので、長年にわたって脂質は悪者扱いされていましたが、脂質に対する見識を根本的に考え直すべき時期に来ているのかもしれません。


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by shinyokohama-fc | 2018-09-15 15:51 | 治療

ベンゾジアゼピン&オピオイドクライシス

今回は「日本医事新報 No.4920(2018.8.11)24~25ページ」の「不眠大国ニッポンにおける"ベンゾクライシス"」という記事

を元に小生の個人的意見を書きたいと思います。長尾和宏先生の「町医者で行こう!!」という連載シリーズで、今回が第88回目だということです。

米国ではオピオイド濫用による死亡者は2016年で42000人を超えており、昨年10月大統領が「公衆衛生の非常事態宣言」をしました。

日本ではどうでしょうか? 近年、トラマドールというオピオイドが整形外科領域でかなり頻用されているようです。依存性・精神作用が他のオピオイドよりも弱いとされていますが、80~90歳の代謝が低下し、認知機能が低下した超高齢者に対しても委細構わず濫用されているようです。

その結果として深刻な痙攣発作、せん妄など精神症状、意識障害などを引き起こしている事例を数多く診てきました。特に認知症、脳卒中後遺症など脳機能が低下している事例にはこの薬は禁忌にすべきでしょう。

脳機能低下のない30~50歳くらいの神経痛などに1~2か月の期間限定で使えば大変有用な薬だと思いますが、
90歳の認知症患者にも平気で処方されている現実をみますと「オピオイドクライシス」が高齢者・認知症者で今後頻発しそうな予感がします。

一方で、ベンゾジアゼピンは近年、依存症、認知症リスクがクローズアップされています。しかし、ベンゾジアゼピンを長期に服用している方々は、依存症の本態である脳内報酬系を断ち切ることは決して容易ではありません。
以前のブログでふれた、エチゾラムという薬は特に依存性が強く、内科医や神経内科医にも頻用されているので問題とされています。

ゾルピデムという薬は非ベンゾジアゼピン系として長年米国で濫用されてきましたが、今年の診療報酬改定では、同じベンゾジアゼピン受容体作動薬としてペナルティーの対象になっています。特に高齢者に対しては、以前のブログでも指摘したように、行動異常、せん妄、幻覚などの精神症状を頻発させる傾向があるので、認知症、脳卒中後遺症など脳機能が低下している事例にはやはり好ましくない薬と言えるでしょう。

睡眠導入薬、特にベンゾジアゼピン受容体作動薬を長年投与された結果、高齢になって認知機能が低下します。そこへ2種類の抗認知症薬が増量されてそれによって惹起された行動心理症状に対して抗精神病薬が複数上乗せされるケースも散見されるようです。まさに「薬剤カスケード」の極致であり、薬剤性の認知症に対してさらに薬剤で上塗りするという悪循環です。

ちなみにコリンエステラーゼ阻害薬は高率に睡眠障害を誘発します。コリンエステラーゼ阻害薬による薬剤性の不眠症に対して睡眠導入薬が処方されるというパターンも非常に多いようです。これも「薬剤カスケード」ですね。

多重受診、フリーアクセスを容認している現状では、多剤投与になることが多く、「多剤投与」の弊害を患者側に広く啓発しないかぎり前に進みまないでしょう。減薬を提案すると怒り出す患者さんは少なくないようです。

小生の場合は、睡眠導入薬のみならず、特に神経に作用する劇薬に関しては、必ずデメリット、副作用を強調し、それでも薬が飲みたいのか?と問うようにしています。それゆえ深刻な依存症になっている患者さんにはある意味過酷な指導かもしれません。薬依存症が最も深刻なのは他ならぬ「パーキンソン病」の患者さん達です。

長尾先生は「高齢者の尊厳を守るためにも、今後は国民啓発を優先すべきだと感じる」と書いておられます。まさにその通りだと小生も感じます。
忙しく限られた外来診察時間では上記の問題を説明して理解を得る時間もない、それゆえ医者は「薬剤カスケード」に走るのだと思います。
医者にペナルティーを与えるだけでは、患者の不信感を増幅させるだけではないでしょうか?


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by shinyokohama-fc | 2018-08-20 12:18 | 治療

認知症の薬は副作用、効果なしでアウト(フランス)

週刊誌でも大きく取り上げられている記事ですが、

フランスの厚生省は、8月1日からアルツハイマー型認知症の治療薬を医療保険の対象から外したそうです。ドネぺジル、リバスチグミン、ガランタミン、メマンチンの4つです。

決断した理由は「効果がほとんどない」と判断したのと、循環器系や消化器系の副作用・有害事象のリスクが勝ると判断したという事です。
健康保険の適応から外すということは、患者にとって意味のある効果が示せない薬には国のお金は出せないという事でしょうか。

小生は4年前から、このブログで認知症の治療薬、特にコリンエステラーゼ阻害薬による有害事象の問題を多く取り上げました。
我が国の認知症を専門とする学会は、コリンエステラーゼ阻害薬を積極的に使えと強力に推進してきました。

学会が強力に推奨することで、安全性・有効性が証明されていない、副作用リスクの非常に高い、85歳以上の老年認知症なのか?加齢性変化なのか判別困難な症例にも多くのコリンエステラーゼ阻害薬が処方されました。

その結果として、循環器系、消化器系、精神神経系の副作用・有害事象のケースが非常に増えてしまっているのが現状です。

2年前に、一般社団法人 「抗認知症薬の適量処方を実現する会」が発足して
昨年に少量投与を認める裁定がありました。

しかし、小生の経験では、高齢者には虚弱者、薬剤過敏者が非常に多くて、
リバスチグミンの初期量(4.5mg)ですら、有害事象が出現してしまうケースが多くみられます。

高齢者、特に75歳以上の後期高齢者においては、小生の使用経験におけるコリンエステラーゼ阻害薬の忍容性の低さの現状を見るかぎり、薬を服用するメリットよりもデメリットのほうが大きいのではないか?という印象をもちます。

学会は、パーキンソン病に伴う認知症 (PDD)に対しても、保険適応のないコリンエステラーゼ阻害薬を使うように、ガイドラインで推奨しています。
「PD、PDD、DLBは同じスペクトラムの病気」というのがその根拠であり、DLB に保険適応があるから使えと推奨しているようですが、これをフランス人の専門医が見たらどう思うのでしょうか?

ここ最近、認知症を伴うパーキンソン病 (PDD)の症例全例に対して、臥位から立位への血圧変動、起立性低血圧を評価するようにしていますが、9割以上の症例で収縮期血圧20~40mmHgの起立性低血圧を確認しました。

心臓の交感神経が機能低下していて、自律神経不全に陥っているケースに対して、強力に自律神経に影響を与える薬(コリンエステラーゼ阻害薬)を使う事が果たして正しいといえるのでしょうか?

たしかに、DLB(レビー小体型認知症)の初期から中期にみられる「覚醒レベルの変化に伴う認知機能の変動」に対しては、コリンエステラーゼ阻害薬は少量でも有効である事は明らかで、小生もすでに15年前にドネぺジルでそれは確認済みです。
しかし、それも病気の進行とともに効果が減弱して、薬剤性パーキンソニズムによる動作歩行の悪化が目立ってきます。これは決して「病気が悪化したからだ」ではなくて、薬剤によるドパミン阻害有害事象です。

しかし、PDとPDDには原則的に「覚醒レベルの変化を伴う認知機能の変動」は見られません。つまりDLBとはここが根本的に違います。
もし見られるとすれば、それはドパミンアゴニストなどドパミン作動薬、その他の神経系薬剤の多剤過剰処方による「薬剤せん妄」なのだと思います。

昨年あるパーキンソン病の研究会で、ドパミン阻害薬をてんこ盛り処方した症例で認知機能の変動が出現したケースで、リバスチグミンを処方して奏功したと自慢げに発表していた専門医がいました。

小生は自身の経験をもとに、DLB の中核症状と薬剤せん妄を混同してはいかんと、以前のブログでも書いています。

このように専門医が薬が正しく使うことができない現状であれば、いっそのこと、これらの薬は保険適用から外したほうが、いいのではないかと思う今日この頃です。

ちなみに小生は、この2~3年でコリンエステラーゼ阻害薬の処方数は激減しました。想定していた以上に、忍容性が低く脱落してしまうのと、認知機能低下に対しては有効性(メリット)が実感できる症例が、実際はきわめて少ないからです。

「コリンエステラーゼ阻害薬を服用しているが、どうも有効性が感じられないので中止したい」という要望には基本的に小生は賛成です。
無駄なコストを有効性がない薬に払う必要はないのですから。

「中止したら認知症が悪化するぞ」と恫喝するつもりは一切ありません。
もしそんな事言ったら、欧州、特にフランスの医者に笑われますからね。

コリンエステラーゼ阻害薬を服用しようがしまいが、アルツハイマー病(AD)やレビー小体型認知症(DLB)は進行します。

「症状の進行を抑える」という表現はきわめて誤解を招く表現ではないかと思います。多くの患者は「病気の進行を抑える」と誤解するからです。

しかし、同じAD、DLB、PDと言っても、多様性が非常に大きいというのが事実であり、軽症から重症、進行が遅いから速いまで様々です。
多様性が元来の病気の性格であって、これを薬で変える事は難しいです。
それは、同じ胃がん、肺がんでも良性~悪性まであるのと同じことではないでしょうか?

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by shinyokohama-fc | 2018-08-09 12:10 | 治療

パーキンソン病治療薬大量によるDLB診断病

まずは、今から15年前に同じ病院で勤務していた、神経内科医の同僚からの昨日のメール内容を紹介します。

おつかれさまです。今日も老人施設を訪問診療し、ポリファーマシー(多剤併用処方)のパーキンソン病患者を診察しました。かねてより、薬剤減量していましたが、日常生活動作に悪化傾向はみられません。

前医の総合病院の著名な神経内科医によるポリファーマシー、大量のパーキンソン病薬剤で幻覚症状が出ており、お約束のように「レビー小体型認知症」だという病名がつけられていました。

患者は84歳ですが、薬剤情報を完璧に理解しており、大量処方にクレームをつけていました。
私が減薬した薬剤についても理解・記憶しており、こちらの治療計画を尋ねてくるほどの人です。どこが認知症なのか???
パーキンソン病の治療方針、シンプルが一番良いです。

パーキンソン病の患者さんで、確かに認知機能低下症を伴うケースは現に存在しており、一般的にPDDと呼ばれています。

今回の症例は、84歳男性。平成15年からで発症15年
平成19年8月に「パーキンソン病」と診断
平成25年にジスキネジア、ウェアリングオフ
平成26年に幻視が出現したため、DLBと診断。
平成30年に歩行器歩行となり、病院への通院困難で在宅医へ紹介

前医(病院の神経内科専門医)からの処方
1) レボドパ・カルビドパ・エンタカポン配合剤 (100mg) 5錠
2) セレギリン (2.5mg) 2錠
3) イストラデフィリン(20mg) 2錠
4) マグネシウム(330mg)6錠
5) リバスチグミン9mg
6) メマンチン(5mg)2錠

在宅医は、4)は中止して他の薬剤へ変更。1)は100mg減量、2)は中止、
3)は20mgへ減量、5)6)もそれぞれ減量したそうです。
減量しても動作歩行レベルの低下はなかったようです。

厳密には、長期罹患・高齢発症のパーキンソン病では、中脳から前頭前野へのドパミン投射が減少しており、二次的に前頭葉機能障害がみられます。
そのため、軽度の注意障害や思考遅延傾向などが確認されます。

どこからどこまでを「認知症(認知機能低下症)」と呼ぶのか?という問題があります。また程度もピンキリです。

しかし、上記の84歳の症例の場合のように、他者からみて、自分の頭で正確に考えられ、物事を正しく理解・記憶している事例までも「認知症」扱いしてしまうのには疑義があるでしょう。

まして、ドパミン作動薬の過剰処方によって出現した薬剤性の幻覚とか認知の変動が出ているのを、DLBだと診断しているのは言語道断ではないかと思います。


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by shinyokohama-fc | 2018-07-27 12:05 | 治療

DLBにはまずドロキシドパから

レビー小体型認知症(DLB)。通称レビー。
以前から何度も言っているが、この病名には非常に違和感があります。
私はいまだによくわかりませんし、こんなに得体のしれない、つかみどころがない、臨床医にとってわかりにくい病気も他にはないでしょう


DLBは初期は記憶障害がほとんどないようですが、「記憶障害=認知症」「物忘れ外来=認知症を診てくれる外来」という価値概念が定着しているようですので、その範疇からは外れやすいので、見逃されやすいと啓蒙される傾向があります。

このDLBという病名の病気の臨床像ですが、
幻覚よりも誤認(実体意識性など)に伴う妄想が主症状のようです。パーキンソニズム(動作歩行障害)は半数程度にしか確認できず、動作歩行がやや遅い程度のケースがほとんどですので、老化現象と区別が難しいというレベルです。認知の変動?も外来では確認するのが難しく、介護者の主観に影響されます。初期には記憶は問題なく、簡易知能評価スケールでも高得点なので、「認知症」とはみなされず「軽度認知障害」「年齢相応」にされてしまうので、「誤認妄想症候群」という名前でいいのではないかと思います。

DLBの診断基準では重視されていないようですが、神経内科的観点から言うと、以下の2つの症状が重要ではないかと思います。

1) 血圧変動の大きさ (起立性低血圧・食事性低血圧、ときに臥位高血圧)
2) 姿勢保持の不安定さ (転倒しやすい)


現在、DLB (仮称)と推定される症例全例で、臥位~立位の血圧変動を記録していますが、だいたい30~50mmHgくらい下がり、立位の血圧は90mmHg以下の症例も多いです。

このような状況であれば、立ちくらみやふらつきは当然ありますし、最悪の場合は気を失います(失神)、座位や立位で慢性的に脳循環が悪いので、意識がぼーっとして、認知が変動しやすくなり、これを連日のように長期間繰り返していると、当然のごとく認知機能が低下していきます。

当然ながら、コリンエステラーゼ阻害薬や抗精神病薬はこのような問題(血圧変動)の解決には全くなりません。教科書に書いてあるから、認知症専門医がこの薬を使えと言うから使ってみたけど、実際は良くなる症例は少ないという印象です。これらの薬をいくら使っても上手くいかない症例の多くは起立性低血圧がひどい症例です。一体どうしたらいいのでしょうか?

まず弾性ストッキングを下腿に履かせることです。
血圧降下剤、特にアムロジピンを服用していれば中止することです。
血管拡張剤、特にシロスタゾールを服用していれば中止することです。
臥位の血圧が高くない場合は、ドロキシドパを服用することです。

2年前から通院している、72歳男性。
DLB(仮称)の診断基準は完全に満たしていて、DATスキャンでも線条体の高度集積低下が確認されている症例です。
7年前から夜間の異常行動があり、クロナゼパムを処方
2年前から幻覚、誤認、妄想がひどくなり
総合病院の精神科を紹介されて受診。パリペリドン(リスぺリドンの徐放型)、アリピプラゾールを処方されたが、全く精神症状がおさまらないという
事で受診されました。
「神経内科」ですので、この症状の方は受診する事は通常少ないです。

記憶は悪くないので、診察時にはその誤認による被害妄想、嫉妬妄想、作話の詳細を長々と語れる状況でした。
人、動物、虫の幻視、変形視なども顕著でした。
前傾姿勢で動作は遅く、パーキンソニズムヤール2~2.5相当でした。
リバスチグミンを試し、段階的に1か月ごとに18mgまで増量しましたが、精神症状はまったく改善せず、動作歩行状態が悪化したので中止。


ドネぺジル3mgから開始しましたが、最初の1~2か月だけ幻視と尿失禁が減少したが、すぐに効果は失われ、開始4~5か月後で動作歩行状態が悪化してきたので中止。中止すると状態がよくなったと言われました。
幻覚に対してブロナンセリンを少量だけ使用したが、やはり全く効果なし。
着衣の動作も非常に悪化していました。

血圧変動を測定してみると、ひどい起立性低血圧でした。
臥位 115/76(83)
~立位1分 67/50(97) 立位2分 81/58(100)

半年前にすでに低血圧があったため、アメニジウム(20mg)2錠を服用していましたが、全く効いていなかった事に愕然としました。
そこで起死回生を願ってドロキシドパ(100mg)6錠、1日600mgを開始しました。他の併用薬は、レム睡眠行動異常を抑えるためのクロナゼパム0.25mgとラメルテオン8mgだけです。

ドロキシドパ600mg/日を開始して、それまで何をやってもおさまらなかった幻覚、誤認などの精神症状が大幅に減少しました。
立位の血圧も、94/66(87)、88/63(88)とまだ低いですが、回復したようです。

ドロキシドパという薬は、ノルアドレナリンの前駆体で、当初はパーキンソン病の治療薬で、すくみ症状に効果があると言われ、20年前はよく処方していました。しかし、パーキンソン病のエキスパートと言われる先生方の著書では「運動症状には全く効果がない」と散々な評価であるのが現状です。

ノルアドレナリンという神経伝達物質は、脳幹の青斑核にたくさん存在すると言われていて、特に覚醒力が強く、気分を高揚させ、注意・不安にもかかわる、血圧を上昇させると書いてあります。

これはまさにDLBに最適ではないかと思います。
血圧を上昇させ、脳循環を改善させるだけではなく、覚醒作用、気分高揚作用、注意力向上作用、不安軽減作用があるとすれば
この薬はレボドパ配合剤、コリンエステラーゼ阻害薬、などよりもはるかに優れた薬ではないかと思います。

パーキンソン病、DLBらしき症例を見たら、まずは起立性低血圧を評価し、立位で100mmHg以下であれば、まずはドロキシドパを試すべきではないかと考えます。

起立性低血圧(自律神経不全)が重度の場合は、いくらコリンエステラーゼ阻害薬を使っても、まったく有効ではないという事が証明された事例であったと思われます。

コリンエステラーゼ阻害薬を増やせば、認知機能が改善するからそれで良しとする意見は、認知機能よりも重大な症状である自律神経不全症状を完全に無視している、実地臨床から大きく乖離したものではないでしょうか?


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by shinyokohama-fc | 2018-07-24 12:02 | 治療

セレギリンは心臓交感神経機能(立位の血圧)を低下させる

拙著79ページ。症例1の当時82歳のY さんが定期診察に来られました。
初診時は、セレギリン (2.5mg×2回)を服用していて、立ちくらみがひどく一時期外出できなくなっていた方です。
もうすぐ85歳になる高齢者ですが、湘南地域からこの猛暑の中で1人で受診できるほど元気な方です。
レボドパ・カルビドパは50mg×3回しか処方していません。
もともと毎日6000~10000歩精力的に歩く方で、この2年で見た目の症状はまったく進行していません。
先日の再診時に血圧変動を確認してみました。
臥位 130/70(57) 立位 141/77(70)、2分後142/77(70)

この年齢のパーキンソン病の症例としては異例中の異例でした。
最近はかかりつけのパーキンソン病の症例が増えましたので、全例で臥位から立位への血圧変動を確認していますが、ほぼ90%の症例で収縮期血圧10mmHg以上の血圧低下、70%の症例で20mmHg以上の血圧低下がみられ、これまで、パーキンソン病で立位で血圧が10mmHg以上上がる症例など見たことがなかったからです。

この症例では血圧に作用する薬はもちろん使っていません。
しかも2年前の初診時にはセレギリンの影響で、血圧が30mmHg以上低下していた (臥位150/76(74) 立位 120/78(86) )ので、同一人物の2年後とはとても思えませんでした。
人一倍歩くことで下腿の筋肉が維持されているので起立性低血圧を防いでいるのではないかと思われます。

「パーキンソン病 病理学、自律神経系研究の進歩 中外医学社 2004年所版」を気になって再読してみました。

第3章ー3「パーキンソン病におけるMIBGシンチグラフィー」の100~101ページに、セレギリンはH/M比を低下させると書いてありました。
拙著121ページにも書いているように、これは心臓の筋肉の交感神経を評価するための検査で、微量の放射性物質(I-MIBG)を注射で投与すると、通常は心臓の筋肉にMIBGが集まるのですが、パーキンソン病では心臓の交感神経が変性しているので、MIBGが集まらなくなるという事です。
2か月程度の短期間の投与であれば、元に戻り可逆性である。
長期間の二重盲検試験では有意に心臓交感神経機能を低下させるという、海外からの報告(Neulorogy 1997に掲載)も記載されていました。

最近、PDD(認知症を伴うパーキンソン病)やDLB(レビー小体型認知症)の症例・全例で血圧変動を確認していますが、起立性低血圧の程度と認知機能低下(注意障害・遂行機能障害・構成障害)は明らかに相関していることが実感されます。

しかし、パーキンソン病を診療し、薬を処方している多くの神経内科医がこのことを正しく認識しているとは思えません。
なぜなら、起立性低血圧の程度を確認もせず、10年以上の長期罹病者や75歳以上の高齢者にもセレギリンを含めた5~6種類のパーキンソン病治療薬を意味なく処方しているからです。
さらにアムロジピンが処方されていて、気を失ったり、下腿がむくんだりしている症例が散見されます。

起立性低血圧・血圧変動は、自律神経症状としてきわめて重要な症状です。立位で常に血圧が低ければ、慢性的な脳循環不全となり、認知機能低下を促進することはもはや自明の理でしょう。

起立性低血圧がないか?日常から確認することが大事で、これは医者でなくても介護者であれば誰でもできる事です。
もし起立性低血圧があれば薬の見直しがまず必要です。
特にレビー小体型認知症(DLB)には、薬剤性以外でも高頻度に見られます
。おそらくDLBに最適な薬剤は何か?を考えるヒントになるでしょう?

薬は症例によって適しているかどうかを慎重に見極めて処方してこそ有益なものだと考えますが、実際はそれが正しく評価されていないからこそ、拙著で挙げたような多くの不適切処方薬による薬害といえるケースが後をたたないのではないかと感じます。



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by shinyokohama-fc | 2018-07-23 11:39 | 治療

プラズマローゲン臨床医学研究会

7月15日(日曜日)に「プラズマローゲン臨床医学研究会」が東京コンファレンスセンター品川で開催されました。

小生も講演演者として登壇させていただきました。
「アパシーと抑うつ症状に対してプラズマローゲンが著効し、認知機能も維持している老年性認知症の1例」というタイトルです。

この症例に関しては、86歳から90歳まで診ていたのですが、パーキンソンの運動症状はなく、脱抑制症状もない症例で、初診時(86歳時)はHDSR(長谷川式簡易知能スケール)17点/30点でした。

前医でドネぺジルが処方されていましたが、効果が感じられないため、自己中止されていました。当方では初診時からガランタミン8+8mgで処方していましたが、1年後のHDSRも17点でした。

自宅からサービス付き高齢者住宅への転居に伴い抑うつ状態が目立ってきたので、ご家族への説明理解の元で、プラズマローゲンを服用開始していただきました。抑うつ症状に対してはすぐに効果がみられ、外来診察時も見違えるように明るく元気になったようで、大変驚かされました。

当初ガランタミンを服用していましたが、もともと心房細動のため循環器科から投薬されているという状況で、88歳時から労作時の息切れが現れたために、中止としました。

ガランタミンはコリンエステラーゼ阻害薬の中でも、アセチルコリン賦活作用は他の2種類の薬剤に比べてかなり微弱ですが、高齢者にとっては心臓への負担が想像以上に大きいようです。

ガランタミン中止後6か月経過し、プラズマローゲン服用のみで、HDSR再検査したところ、なんと25点もありました。

今回の小生が経験した症例と類似した、80歳以上の高齢者へのプラズマローゲン使用によるスーパーレスポンダーは、他の演者の先生の症例においても複数の症例で確認されています。

小生の経験症例では他4~5例がプラズマローゲン単独使用で、1年以上、認知機能を維持している症例がありますが、これでも十分レスポンダーではないかと思われますが、1年で単独使用で8点以上もHDSR が上がる症例など想定外だったので、今回発表させていただきました。

研究会終了後、プラズマローゲンの研究・臨床試験に携わったお二人の先生方とお話する機会に恵まれました。
私よりかなり年配の先生方ですが、非常に論文投稿などにも意欲的で、そのバイタリティーには驚かされます。

現代医療において、石油が主原料である化学物質である薬物(西洋薬)が脳の病気に対して、代謝能力の低い高齢者に過剰に投与されすぎている、ポリファーマシーによる健康被害という深刻な問題についても、お二人の先生方ともに理解が得られました。

脳の病気に対しては、対症療法という役割しか担わない薬物だけで改善させるのは到底不可能であることは自明の理です。
プラズマローゲンに限らず、ありとあらゆる薬以外の物質が脳の病気に応用されることが不可欠であると、小生は考えます。


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by shinyokohama-fc | 2018-07-19 12:32 | 治療

高齢者に純粋なアルツハイマーは少ない

先日、高田中央病院が主催している、「みんなの実践セミナー」という医療者向けのセミナーで、小生が講演をさせていただきました。
認知症治療薬の1つである、リバスチグミンの使用経験とそれに関連した知見について話をさせていただきました。
講演後の質疑応答の時間では、予想に反して6~7名程度の質問者から1人2~3もの質問があり、そちらの方が大変でした。
今回話した内容は「高齢者には純粋なアルツハイマーは少なく、多くは血管型、DLB、AGD、PSPなどの混合型であるので、リバスチグミンは用量を加減して使用せざるをえない」という内容でした。「まったく初めて初めて聞いた内容だ」という感想も多くいただきました。

認知症専門介護に携わる会社が定期的に実施している研修会(セミナー)の依頼があり、10月14日(日曜日)にも「認知症のさまざまな症状に対応した適切な薬の使い方」というテーマで川崎市産業振興会館で13時から講演をする予定です。もしご興味のある方はお越しください。
問い合わせ 0120-326-310 (デイサービス&ショートステイふるさと)

「認知症」をテーマにした医療者向けの通常の講演では、アルツハイマー認知症(純粋型)の事だけを対象にした内容しか話されません。
認知症の大多数は「アルツハイマー型認知症」である事が前提であり、中核症状と周辺症状があるとかいう判で押したような話です。

小生がこの4年間で外来で診てきた「変性型認知症」の症例のうち、純粋なアルツハイマー型認知症、あるいはその前段階の軽度認知障害(MCI)と推定される症例はおそらく20%くらいしかなく、非アルツハイマー(FTD (SDが多い)、DLB、PDD、PSPS、CBS、AGD)が80%でした。
その傾向は75歳以上の後期高齢者に強く、特異な精神症状や動作歩行障害を伴う症例が大多数でした。
11年前に発表された、ブレインバンクの高齢者・変性型認知症の連続剖検でも、すでにアルツハイマーは30%前後しかないようです。

それゆえ、非アルツハイマーについて猛勉強せざるを得なかったこの4年間でした。PSPSやCBSの異型病型もすべてのバージョンを診てきました。非アルツハイマーの多くは「認知症」というよりは「神経難病」であり、決まった治療法もない中で苦労の連続だったと思います。

そういう実地臨床をやってる者からすれば、アルツハイマー型認知症(純粋型)だけを前提にした講演というのは、あまりにも現実から乖離していると言わざるをえないからです。

特に高齢者は純粋型アルツハイマーはきわめて少ない(おそらく20%以下)状況で、アルツハイマーであっても混合型、むしろ非アルツハイマーの方が
多いのが現実です。

つまり、多くの非アルツハイマーの症例にリバスチグミンなどの認知症治療薬が処方されているというのが現実なのではないかと思います。


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by shinyokohama-fc | 2018-06-30 12:35 | 治療

4種類以上の多剤併用処方に科学的根拠なし

昨日(6月17日)は、AP品川で13時から、講演会を行いました。
「パーキンソン病と認知症 その多様性と薬の使い方の違い」
事前申し込み制でしたが、130名前後の方々に来ていただきました。
来場していただいた皆様、本当にありがとうございました。

今回の講演では、総括的な話として
「パーキンソン病に対する4種類以上の多剤併用にはRCT(ランダム化比較試験)は実施されておらず、エビデンス(科学的根拠)はない」
「多種類の薬剤服用によって、副作用の危険率は指数関数的に増える」
という話もしました。

6月18日の、長尾和宏先生の、Dr和の町医者日記には
「なぜ、薬漬け医療がいっこうに治らないのか。だから賢い患者さんになるしかない」と書いてありました。
私もそういう目的で、今回の書籍を執筆し講演会もしています。
パーキンソン病の薬漬け医療を止めるためには、賢い患者さん側になってもらうしかないからです。

パーキンソン病診療ガイドラインが今年改定されました。
「治療ガイドライン」ではなく「診療ガイドライン」に変わっています。

ガイドライン作成している、キー・オピニオン・リーダー(KOL)の先生の1人は、こう述べています。
「患者背景は1人1人異なりますので、一律にこれに従って治療方針を決定することはできません。ガイドラインは、最適な治療を選択する際の手がかりの1つであり、妄信的に従うことは避けていただきたい」
「パーキンソン病患者の多くは70歳以上の高齢者であり、今後もその数は増加すると予想されますので、高齢者のエビデンスを蓄積し、高齢者に焦点を当てたガイドラインを作成していく必要がある」

つまり、「今のガイドラインは高齢者に焦点を当てたガイドラインではないので、特に高齢者の場合は個別化対応を意識せずに、妄信的に従うとかえって混乱を招く」ということでしょうか。

例を挙げると75歳以上の後期高齢者に徐放剤ドーパミンアゴニストを高用量で処方されているというケースがあります。多くの症例ではレボドパ、ドパミンアゴニストだけではなく、ゾニサミド、セレギリン、その他もろもろの薬が追加されています。

今から15~20年前にドーパミンアゴニストが学会を挙げて強力に推進されていた時代がありました。徐放剤(1日1回タイプ)が出た時は大物KOLの先生方がこぞって徐放剤を推奨していたのを覚えています。
しかし、小生のかかりつけのパーキンソン病患者を速放剤から徐放剤へ一斉に変更した結果、ほぼ全員に奇異反応(症状が悪化してしまう)や副作用が出てしまい、患者さんには「元の速放剤に戻してくれ」と言われました。
小生はこの時から、学会KOLの言う事を妄信するのをやめました。

一番問題なのは、科学的根拠のない4種類・5種類・6種類・7種類というパーキンソン病治療薬を同時に使うことを規制する保険医療におけるルールが何もないという事ではないかと思います。

薬の種類が多いという事は決して歓迎すべき事ではなく、不適切な処方が行われる確率が上がるという事だと思います。



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by shinyokohama-fc | 2018-06-18 12:51 | 治療
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