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抗精神病薬の特性

現在使用されている、抗精神病薬は第1世代(17種類)と第2世代(10種類)があります。

中でも最も危険な副作用は以下の1)2)であり、やはり従来使われていた第1世代では非常に多かったと思います。
1)心電図でのQT時間の延長
不整脈による心臓突然死を誘発する危険性が高まる
2)悪性症候群
40℃前後の高熱、意識障害、全身の筋肉硬直

私は「神経内科」ということで、総合病院勤務時代はイヤというほど、精神科処方の抗精神病薬による悪性症候群のケースを受け持ちました。
このような臨床経験がなければ、悪性症候群の本当の恐ろしさはわからないと思います。

これらを軽減すべく、この20~30年で第2世代が続々と製品化されました。長年服用しなければならない統合失調症の患者さんにとっては喜ばしい事でした。

ただ、ここ数年の高齢者の増加に比例して、認知症に伴う精神症状のケースが増えたこともあり、この第2世代が使われることが増えたようです。
特に施設などでおとなしくするために漫然と服用させられるケースがあり、しばしば動けなくなった、ジスキネジアが出たと言って、神経内科の外来を受診されます。

認知症によく使われている第2世代をピックアップします。

SDA(第2世代)
リスペリドン(リスパダール®)力価100倍/半減期21時間
D2(3+)D3(+)D4(+)D1(+)
α1(2+)5HT1(4+)H1(2+)
無動が問題、作用がかなり強すぎる

MARTA(第2世代)
オランザピン(ジプレキサ®)力価40倍/半減期28時間
D2(2+)D3(2+)D4(2+)D1(+)D5(+)
α1(2+)Ach(2+)5HT1(4+)H1(3+)
眠気、認知機能低下、血圧低下、無動、不随意運動が問題
作用が強すぎる

クエチアピン(セロクエル®)力価1.5倍/半減期3~6時間
D2(2+)D3(2+)D4(+)
α1(3+)Ach(+)5HT1(4+)H1(4+)
眠気、認知機能低下、血圧低下が問題

DPA(第2世代)
アリピプラゾール(エビリファイ®)力価25倍/半減期61時間
D2(4+)D3(2+)D4(+)D1(+)
α1(+)5HT1(4+)H1(+)
無動が問題

各種受容体)Dドパミン Achアセチルコリン Hヒスタミン
D1/D5:不必要な運動→ジスキネジア
D2:必要な運動ができない→アキネジア(動作緩慢・無動・寡動)
D3:抑うつの軽減
α1:起立性血圧低下、鎮静(嗜眠)
ACh:認知機能低下、覚醒低下
5HT1;認知機能改善不安軽減、動作緩慢軽減
H1;認知機能低下、鎮静(嗜眠)、肥満

ドパミン受容体がブロックされると、パーキンソン病と同じような症状、
動作緩慢・無動・寡動、不随意運動などがみられます。
アセチルコリン受容体がブロックされると、アルツハイマーやレビーと同じような症状、覚醒レベルの低下、認知機能低下がみられます。
アルファ受容体がブロックされると立位の血圧低下で、脳の血流が悪化します。
ヒスタミン受容体がブロックされると、鼻炎・皮膚炎に使われる薬と同じく、嗜眠、認知機能低下(せん妄)がみられます。

つまり、第1世代よりも致死性不整脈や悪性症候群のリスクは減ったとはいえ、長期間にわたって認知症症例に使うと良くない薬であるというのは変わらないわけです。特にレビーに使うときは厳重注意です。どの症例に使ったとしても長期服用すれば副作用は避けられないでしょう

一方で、認知症によく使われる、第1世代はというと
クロルプロマジン(コントミン®ウインタミン®)力価1倍
D2(2+)
α1(3+)ACh(3+)5HT2(3+)H1(3+)
血圧低下、高度の認知機能低下、眠気が問題
レボメプロマジン(ヒルナミン®レボトミン®)力価1倍
D2(2+)
α1(3+)Ach(2+)5HT2(3+)H1(4+)
血圧低下、高度の認知機能低下、眠気が問題
ハロペリドール(セレネース®)力価2倍
D2(3+)
α1(+)5HT2(+)
無動が問題

認知症患者に使うのであれば、アセチルコリン受容体とヒスタミン受容体を強力にブロックするクロルプロマジンやレボメプロマジンは避けたほうがよく、どうしても使うのであれば、ハロペリドール少量になりますが、私が若い頃に経験した、悪性症候群のケースの原因薬のほとんどがこの薬でした。やはり少量だといってもリスクはあるので、短期間の使用にとどめるべきでしょう。




新横浜フォレストクリニック
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by shinyokohama-fc | 2019-12-23 18:48 | 治療
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新横浜フォレストクリニック(横浜市港北区・新横浜駅)の院長が日々綴る様々な情報を発信するブログです


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