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高齢ドライバーの実車試験に賛否

昨日(12月6日)の東京新聞の記事にて、
「高齢ドライバー「実車試験」に賛否」 
「安全運転判定 警察庁が導入議論」
「有効な対策「生活の足を奪う」
「認知機能検査 5回目で合格の人も」 

高齢者ドライバーによる交通事故は急増しています。池袋でおきた悲劇のように、何らかの脳疾患によって明らかに運転機能の低いであろう高齢者の運転を放置することは、社会的なリスクになると思います。

近年は、75歳以上の認知機能検査が、免許更新時と交通違反者に義務つけられており、その診断書目的の外来受診もあるようです。

神経内科専門医としての、臨床経験の見地からの意見ですが、
そもそも長谷川式とかミニメンタルステートテストとかたかだか1~2種類の認知機能検査により、認知機能低下症か否かは全く判別できません。

これらのテストの点数はもともとの教育・職歴などその人の環境に大きく左右される傾向があります。読書する人しない人でもかなり違うはずです
テストが15~20点でも認知機能低下症ではない人もいれば、30点でも認知機能低下症の人もいます。

そんなテストよりも感度が高いのが、時計描画テストです。
いわゆるレビー型の認知機能低下症の方は、真面目で、勉強熱心で、インテリジェンスの高い方が多く、上記テストが28~30点の方はザラにいます。そういう人でも時計描画テストをすれば、数字に目盛りを入れたり、数字を円の外側に書いたり、数字が円から離れて内側にクロージングしたりします。これだけでも認知機能低下症の重要な証拠になります。

ミニメンタルステートテストによる重複五角形模写テストや、立方体模写テストも構成能力をみる上で重要なテストです。
時計、図形、立方体模写を最重要視しています。記憶障害などよりも、視覚認知障害や計算障害があるほうが交通事故のリスクは高いのはいうまでもありません。目で受け取った情報を正しく大脳皮質の後方で情報処理できないので、制限速度などが正しく認識できなかったり、交通標識を正しく認識できなかったりします。
そういうわけで、交通事故リスクが高い高齢者は、レビー型の方々です。
そのうち変形視や幻視が運転中に出現してしまったらどうなるか?

大脳皮質後方の症状である、視覚認知・計算(数字)は後頭葉から頭頂葉の機能障害ですが、海馬・側頭葉・前頭葉の萎縮がはっきりしない事が多いので、たかだかMRIなどの画像診断だけで「大脳皮質は萎縮していないので、認知機能低下症は大したことない」と専門医に言われてしまうケースも結構あるようです。

レビー型の場合は70~80%にパーキンソン病と同じく、動作歩行障害があり、その多くはパーキンソン病に比べて薬が効きにくく、かつ短期間で病状が進行する(四肢・体幹の運動能力が著しく低下する)わけです。
最も顕著なのは頸部~体幹が前後に動きにくいことです。

レビー型では思考判断の遅延・停止が顕著にみられます。それは上記のテストの返答が明らかに遅くなります。しばらく考えが止まるという感じになります。

視覚認知障害+動作歩行障害+思考遅延となれば、自動車の運転はとても危険すぎてさせられないという事になります。
たとえ長谷川式の点数が28~30点で、海馬と大脳皮質がまったく萎縮していなかったとしても、とても危険なのです。

自動車運転の可否に関しては、コース立方体組み合わせテストやパレイドリアテストなどの導入も必要ではないかと思います。
そのうえで実車試験が総合的な運転機能の判断には必須だと思います。
医者の実施する抜け穴の多い曖昧なテストや診断だけで運転の可否を判定するのは、あまりにもお粗末ではないでしょうか?


新横浜フォレストクリニック
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by shinyokohama-fc | 2019-12-07 12:45 | 健康
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新横浜フォレストクリニック(横浜市港北区・新横浜駅)の院長が日々綴る様々な情報を発信するブログです


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