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レボドパ配合剤は対症療法薬にすぎない

「レボドパ配合剤はパーキンソン病治療のゴールドスタンダードだ」と長年専門家はその重要性を過剰に喧伝してきたように思います。しかし実際の臨床を診ていると本当にそうなのか?と疑わざるをえない症例が非常に多い気がします。

以前のブログでも書いてきたように、レボドパ配合剤のプラセボ効果とノセボ効果が疑われるような症例があまりも多いからです。
そもそも、パーキンソン病という病気自体が、特に運動症状などは心理的影響を受けやすい傾向が強くあり、特にプラセボ・ノセボ効果に左右されやすいのです。(拙著249~251ページ参照)

「New England Journal of Medicine(NEJM)」という著名な医学雑誌に今月24日号で、Amsterdam Neuroscience (オランダ)の研究グループから「パーキンソン病における無作為化遅延開始試験」というタイトルの論文が発表されました。

方法は、初期パーキンソン病を2つのグループに無作為に分けて実施され、1つのグループには、レボドパ(100mg)カルビドパ(25mg)を1日3回を
80週服用させ、もう1つのグループには最初の40週は偽薬(プラセボ)を服用させ、その後の40週で同じ用量の実薬(レボドパ・カルビドパ)を服用させ、パーキンソン病評価尺度(UPDRS)スコアで、平均変化量のグループ間差などを評価したそうです。

被験者は445人。グループA(レボドパ・カルビドパ早期開始・80週)が222例、グループB(レボドパ・カルビドパ遅延開始・40週)が223例で
UPRDSスコアもグループAが28.1点、グループBが29.3点。

結果は、グループAとグループBの双方にUPRDSスコアの上で有意差は確認されませんでした。
つまり、レボドパ・カルビドパを早く開始しても、遅く開始しても、症状の経過には影響を及ぼさないという結論でした。つまり病気の進行を抑えるという病態修飾効果はないという事が証明されたようです。

レボドパ配合剤に関しては、ウェアリングオフ現象、ジスキネジアなどの副作用がクローズアップされます。それを避けるために、レボドパ配合剤以外の薬が学会では推奨されてきました。

20年前から推奨されてきた、ドパミンアゴニスト(受容体刺激剤)に関しては病気の高齢化に伴い、65歳以上の高齢者において幻覚や嗜眠、せん妄などの精神症状の事例が続出したことが問題になり、昨年4月にプラミペキソールの医薬品安全性情報が改訂されました。

その影響もあり、近年はモノアミン酸化酵素B阻害薬(ドパミンの分解を抑える薬・MAOBI)を最初の薬として使用することが推奨されています。
その一方で薬価が高額なわりには、レボドパ配合剤に比べて患者さん自身が効果を実感しにくい薬でもあるようです。

体外から脳内で不足したドパミンを補う(レボドパ配合剤)か、すでに脳内にあるドパミンを有効に使う(MAOBI)の違いです。後者についてはコリンエステラーゼ阻害薬と似たところがあります。

いずれにしても、対症療法薬である事に変わりはなく、有効性が実感できなければ、デメリットがメリットを上回れば、中止したほうがいいというのは他の薬と同じです。薬を止めれば、病気が悪くなるわけではありません。

病気の進行や病態の経過というのは、薬を早期に服用したからメリットが得られるという単純なものではないのです。

逆に処方医がレボドパ処方に固執しすぎて逆にトラブルになるケースが増えているようです。パーキンソン病だから全員レボドパを高用量服用しなければならないという誤った考えに囚われている神経内科医も多いようです。



新横浜フォレストクリニック
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by shinyokohama-fc | 2019-01-31 12:04 | 治療
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