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抗認知症薬の適量処方を実現する会

先日、1月27日(日曜日)に品川駅前の会議室において「一般社団法人・抗認知症薬の適量処方を実現する会・第4回・特別セミナー」が実施され、小生も「減薬医が指南する、高齢者の認知症&パーキンソン病で真っ先にやめたほうがいい薬」という演題で約1時間の講演をいたしました。

くわしくは長尾先生の「町医者日記」というブログを参照ください。
http://blog.drnagao.com/
今回の記事に対してここに書かれたコメントも拝読しましたが、おおよそ内容的には賛同できるコメントだと思います。

この会の代表の長尾和宏先生が司会でしたが、今回の講演を高く評価していただいたようです。3か月前から入念に準備して当日を迎えたので、大きな仕事が終わったという実感があります。
長尾先生は「この講演をそのままテレビで放送したらいい」と仰っておられました。

内容的にはそれほど斬新な内容ではなくて、日本老年医学会が数年前から提唱している内容に沿ったものです。「高齢者の認知症にとってはクスリはリスクになりうる」というごく当たり前のことを話したにすぎないです。

この学会では他のクスリのリスクについては提唱していますが、抗認知症薬のリスクについてはなぜか一切触れていなかったので、その部分は詳しくお話しました。

特にクローズアップしたのは、「抗不安薬・睡眠導入薬(ベンゾジアゼピン受容体作動薬BZD)」「抗精神病薬(統合失調症の治療薬)」「抗認知症薬(アルツハイマー型認知症の治療薬)」です。

抗認知症薬の処方は半数近くが、85歳以上の超高齢者に対して(2015年の調査では47%)のものですが、その一方で、85歳以上の超高齢者の認知症をきたす神経変性疾患(変性型認知症)」のうち、純粋なアルツハイマーは少なく、むしろアルツハイマー以外のほうが多いという現状をお伝えしました。その中で現行の抗認知症薬の使い方が果たして適切なのか?という問題提起をしました。

このブログで何度も書いてきましたが、特に心臓系の副作用(心室性不整脈、徐脈性不整脈、急性冠症候群、心不全)のリスクを考慮すれば、特にコリンエステラーゼ阻害薬の使用は超高齢者には極力控えるべきだという私見を述べました。

個人の体質(遺伝子多型)によって薬剤に対する反応はものすごく個人差が出るので、たとえ、コリンエステラーゼ阻害薬、抗精神病薬、BZDを服用しても何も問題が起こらない超高齢者も少なからずいるとは思います。

しかし「誰が問題が起こりやすく、誰が問題が起こりにくいのか?」というのを判定するツールがまったくない現状において、高齢者が劇薬を服用するにおいて、個人差を無視した、エビデンス至上主義に当てはめてしまうのは非常にリスキーであると言わざるをえません。

つまり「どんな薬であっても服用してみなければ結果はどちらに転ぶかわからない」のが実地臨床では現実的な問題なのです。

それゆえ、特に薬の代謝能力が著しく低下した高齢者においては、「薬は慎重に処方・服用する、できれば必要最小限にする」というのは当たり前のことではないでしょうか?
それはアルツハイマー病やレビー小体病を長年わずらって、正常な神経細胞(ニューロン)が残りわずかになった進行した段階の患者でも同じことが言えるのだと思います。

病態修飾の根治的な治療薬ではなく、対症療法薬でしかない薬においては病気が進行すればむしろ減薬したほうがいいのです。


新横浜フォレストクリニック
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by shinyokohama-fc | 2019-01-29 11:48 | 治療
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新横浜フォレストクリニック(横浜市港北区・新横浜駅)の院長が日々綴る様々な情報を発信するブログです


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