人気ブログランキング |

パーキンソン振戦型。ガンマナイフ>>薬物治療の1例

「振戦型」のパーキンソンというのがあります。これは前回紹介した「無動型」とはまるで違う臨床像です。振戦は手や足のふるえのことです。
パーキンソン病は100通りくらいあると言われてますが、「振戦型」はおおよそ1割前後(10人に1人くらい)だと言われています。
振戦と無動が同じ程度に混在しているのは「通常型」と呼ぶことにします。

過剰な運動(手や足のふるえ)が制御できないという症状が強くて、必要な運動ができないという症状は目立ちません。それゆえ普通の人と変わらないくらいの日常動作と歩行レベルを維持している人がほとんどです。逆に無動型のほうはふるえはないかごくわずかなことが多いです。

無動型では動くために不可欠であるレボドパ配合剤も、振戦型では効果を実感できない人がほとんどで、無動型や通常型と同じレベルで増やしてしまうとかえって副作用が出てしまう傾向が強いようです。

昨年から通院してる方で、26年目のパーキンソン病で、現在は76歳男性。今から13年前の63歳の時に「ガンマナイフ」という治療を受けました。この治療を受ける以前は、薬物療法はほぼ通用せず、手足のふるえ(振戦)が猛烈にひどかったようですが、治療後はほぼ完全に止まったそうです。

最近、急病で入院したのを契機に一時期筋力が衰えたので、リハビリテーションの専門病院に入院していたそうです。なぜか、ドネぺジル5mgが処方されたり、レボドパ/ベンセラジド配合剤が必要以上に増やされたりしていたようです。パーキンソン病の病歴はかなり長いですが、問診でも診察でも病的な認知機能の低下はまったく確認できない方です。

ドネぺジルを服用する意義がまったく理解できないので自己中止。レボドパ/ベンセラシドも1回2錠で1日3回服用すると、眠すぎて意識が遠のくようにぼーとするそうなので、自己中止。つまり、神経内科医の処方している薬の必要性がまったく、患者には理解できなかったわけです。

当院を受診してからは、レボドパ/ベンセラジドも1回1錠、1日3回に変更してもらいました。起立性低血圧はあったため、ドロキシドパ100mgも同じように続行してもらう事にしました。

前傾姿勢はあるものの、姿勢反射は維持されており、ヤール2度ですくみがなく、年齢相応のスピードで歩ける状態です。
高用量のレボドパ配合剤は最初から必要ないわけです。前医でドネぺジル処方されたのは、レボドパ配合剤の過量によって、ぼーとしていたからなのではないかと推定されます。必要のない薬剤カスケードだったのでしょう。

激しい振戦というのは、薬剤治療ではまったく太刀打ちできない症状です。
多くの神経内科医はとかく、抗コリン剤とかドパミンアゴニストで何とかできると思い込んでいるようですが、両者の過量投与がせん妄などの薬害を招くことは言うまでもありません。この2種類の神経作用薬を10年も20年も長期間服用すればどうなるか?誰もが容易に想像はできると思います。

この方は、早々に「ガンマナイフ」という治療に賭けたのは英断だったと思います。保険外の自費治療(高額)であり、治療成功率も半分くらいですので、この治療を選択する患者さんは非常に少ないとは思いますが、パーキンソン病という病気の経過の長さを考えれば、激しい振戦の場合は試してみる価値はあるのではないかと思いました。

パーキンソン病はとかく薬の内服量が多く、それが長期になりがちです。服薬量・服薬種類が多く、それが長期間になると、病気が進行してからは、二次無効や様々な副作用に長年苦しむ事になります。

「薬物治療の限界」を認める、受け入れることが何よりも大事です。
それが受け入れられないから、常軌を逸した多剤パニック大量処方に傾倒してしまうのだろうと推定されます。「パーキンソン病は薬物治療ですべてコントロールできる」という誤解をしてしまわない事です。
その上で薬物以外の治療を効果的に取り入れる事が減薬につながるのではないかと思います。
症状の程度が強い場合は、脳外科的・放射線科的治療 (脳深部刺激療法、ガンマナイフ、超音波など)も選択枝として考えたほうがいいのではないかと
そう考えさせてくれる2つの貴重な症例でした。



新横浜フォレストクリニック
内科・漢方内科・老年内科・神経内科

JR・新幹線・横浜市営地下鉄 
新横浜駅 篠原口より徒歩1分







by shinyokohama-fc | 2019-01-28 11:43 | 治療
line

新横浜フォレストクリニック(横浜市港北区・新横浜駅)の院長が日々綴る様々な情報を発信するブログです


by shinyokohama-fc
line