エビデンス治療のパラドックス


エビデンスに基ついた医療(EBM )とは何か?

ランダム化比較試験(RCT)、無作為に抽出した患者群において、実薬とプラセボ(偽薬)の比較試験を実施して、有効性と副作用(安全性)について、公正な臨床評価を行うというものです。

RCTには平均的な患者サンプルが選択される傾向にあり、異質性の強い症例(たとえば、ベースに顕著なアスペルガー症候群や精神疾患、相応の内科疾患などが併存する症例)は除外されます。

現在のEBMというのはRCT のみで安全性・有効性が保障された治療のみを使いましょうというやり方です。

「EBMのある事だけをする、EBM のない事は一切しない」という主義の
臨床医は実際少なからず存在します。

小生も、日本の大手製薬会社が開発し販売している、シロスタゾールという薬を処方していると
「この薬は日本以外、北米などではEBMがないから使わないように、アスピリンなどを使うように」と上司から説教された事がかつてありました。

EBMのある事だけをする臨床医(EBM原理主義者)というのは、
1) 世界的(海外で)EBMが証明された薬しか治療薬として認めない
2) RCTが不可能な漢方薬は治療薬として認めない
3) 日本だけでRCTで有効性が認められた薬も認めない
という事になります。
「信頼性の高いRCT証明=科学的根拠」であり、それ以外は治療薬として一切認めない、自らも処方しない。という事です。

小生から見て、EBM原理主義を遵守する立場の医師というのは、学会の幹部、理事、指導医または、大学病院の教授・准教授・講師などいわゆる指導的立場にある臨床医だと思います。
何故ならその分野において指導的立場にある臨床医が科学的根拠のない医療を推奨・実践するというのは、科学者として到底認められないからです。

最近「日本における抗認知症薬の年間総処方量の47%を85歳以上の高齢者が占める」というニュースがありました。
当然ながら、85歳以上の認知症患者に対しては、RCTは実施されておらず、抗認知症薬のEBMは確立されていません。
したがって、EBM原理主義者は、85歳以上の高齢者には、抗認知症薬は処方するべきではない。という事になります。
もちろん、EBMのない漢方薬(たとえば抑肝散)などを自ら処方したり、雑誌誌上で推奨したりする事もありえない事になります。
しかし、実際はどうかというと、堂々と処方してるようですね(苦笑)。

パーキンソン病の治療において、EBM(世界的)のない治療法というのは実は数えきれないほどたくさんあります。代表的なものだと、

1) レボドパ配合剤の少量・分割投与(RCTは実施されていない)
2) イストラデフィリンの処方(日本国内の製薬会社の臨床試験のみ)
3) 3種類以上の治療薬の併用(RCT での証明が不可能)

つまり「EBM 原理主義では、パーキンソン病の治療はほとんどできない」という事になります。

実際に、
① レボドパ配合剤を1回量150mg、1日3回で処方する主義の臨床医
② イストラデフィリンを処方しない主義の臨床医
は少なくないようです。
①の場合、多くは血中・脳内ドパミン濃度の乱高下がおこり、ウェアリングオフとジスキネジアで大変になってる事が多いようです。1回量を100mg以下、1日5~6回にすれば解決する事が多いようです。
②の場合、ドパミン作動薬を5~6種類併用されている事が多く、実際には副作用ばかりで、全く効いていない事が多いようです。併用薬のうち1~2種類を中止・減量し、イストラデフィリンを追加すれば解決する事が多いようです。
ドパミン作動薬を4種類以上使っている時点で、EBMではありませんし、安全性や有効性の保障はゼロで、副作用リスクが何乗も増加するだけです。
しかし、実地臨床ではEBMだけでは治療は困難です。
このような話も、6月17日の品川の講演ではする予定です。



新横浜フォレストクリニック
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by shinyokohama-fc | 2018-06-04 18:34 | 治療
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