便秘薬で腹痛・嘔吐!ドパミン作動薬の弊害


私の旧知の仲間の神経内科医からよく相談があるのですが、
パーキンソン病の神経内科医の多剤大量処方があまりにもひどすぎて目に余る」
という内容です。

私は数年前から、それを問題視していたので、2月16日に拙著を出版させていただいたのですが、

拙著を読んだことが契機で、これまでの3か月で遠方(東京都内)から受診された方が数名おられましたが、ほとんどが手の施しようがないほどの多剤大量パニック処方」でした。

拙著で紹介させていただいた症例、その他にも減薬が成功しているパーキンソン病の症例がありますが、共通しているのは、患者さんの配偶者(家族)が
「多剤大量処方はおかしい、減薬したい」という強い意志がある事です。
なぜなら、パーキンソン病治療薬、レボドパをはじめとするドパミン作動薬には強力な依存性があり、その代表格とも言えるのが、ドパミン・アゴニストであるからです。

この問題を分析・解明するにあたり、自分なりに様々な書籍を購読しました。つい最近は「脳科学」の書籍も複数読んでいます。

その分析の成果の一部ですが、6月17日(日曜日)のAP 品川の講演会で発表したいと思います。興味のある方はお越しください。

便秘薬(ルビプロストン)服用後、激しい嘔吐をきたした症例を紹介します。
60代後半の女性、発症して15年以上。
全身がフリーズする重度の無動型で、頭頸部と上肢の捻転性ジスキネジアが顕著で、オン時はすり足。小刻みで止まらずに歩行可能だが、ジスキネジアが顕著であるため不自然な歩行でした。レボドパ配合剤を少し追加しただけでもとジスキネジアが悪化するという状況でした。

前医処方は
1) レボドパ・ベンセラジド 200mg×3回 (毎食前)
2) レボドパ・カルビドパ 100mg (朝食後)
3) プラミペキソール徐放剤 3.75mg (夕食後)
4) アマンタジン 100mg×2回(朝・昼食後)
5) エンタカポン 100mg×3回 (毎食前)

指示通りに服薬するとジスキネジアや精神症状などの副作用が強く出るため
残薬が多数余るという事でした。
残薬多数のため、レボドパ配合剤の6回以上の分割投与を提案しました。
新たに処方したのは、便秘薬として、ルビプロストンと麻子仁丸だけでしたが、どちらか合うほうを使えばいいと説明しました。
翌日、電話でルビプロストンを1カプセル服用しただけで腹痛・嘔吐があったとの報告がありました。

ルビプロストンという薬は、クロライドチャンネルアクチベーターというタイプの比較的新しい薬ですが、海外ではありますが、パーキンソン病を対象にした、無作為化二重盲検プラセボ対照試験が実施され、有効性と安全性が証明されている数少ない薬です。

主な副作用は、下痢30%、悪心23%、腹痛6%、胸部不快5%と添付文書には記載されてはいますが、小生の数多い使用経験では1人も副作用での脱落例はいませんでした。副作用が出たのはこの症例が初めてでした。
総合病院の神経内科の先生の自験例の発表でも副作用の報告はナシでした。

なぜめったに出ない副作用が出たのかと考えると
レボドパ配合剤とドパミンアゴニストの高用量処方と、ドパミン作動薬の5種類併用という多剤大量処方がベースにあったからではないかと思います。

今月来た、医薬品安全性情報によると
プラミペキソールは、65歳以上の高齢者では幻覚などの精神症状が発現しやすいので、慎重に投与すること。精神症状が出れば減薬・中止するように」と書いてありました。
小生は発売当初から実地臨床でわかっていた事でしたので、何をいまさらという印象しかないです。
このような高齢者に対して難しい薬を安全に投与するという事は、用量を減量して投与する事だと思います。
60代後半の方に3.75mg/日というのはどう考えても多すぎる。この薬はレストレスレッグスの0.125mgであれば非常に有益な薬なので。

この方にも、ノセボ効果意識 (何か新たな薬を服用するだけで副作用が出るに違いないという意識、拙著249~251ページ参照)が強すぎたのではないかと思います。
そもそも、当院に来院した理由も、前医と処方薬への不信感からです。

初診時に最初に処方した本来安全性の高いはずの便秘薬でめったにない副作用が出た事で、不信感が出たのか、再診はキャンセルされました。

多剤大量処方を5~10年と長年継続していた症例は減薬が難しいです
なぜなら、深刻な薬物依存・耐性化などが複雑化しているからです。
これはベンゾジアゼピンと同様の問題ではないかと考えられますので、保険医療において、何らかの規制が必要ではないかと思います。

当院での成功例のほとんどは1~2年以内に着手した症例だと思います。
特にドパミンアゴニストとレボドパを高用量で5年以上経過している症例は身体依存・精神依存が深刻で非常に難しいという印象です。
このようなお話も6月17日にはしたいと思います。



新横浜フォレストクリニック
内科・漢方内科・老年内科・神経内科

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by shinyokohama-fc | 2018-05-25 11:44 | 治療
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