パーキンソン病・25年目の奇跡 (2) 考察

パーキンソン病、25年目の奇跡。
今回の奇跡を成し得た、アストロサイト(グリア)とアデノシンについて考察してみたいと思います。
考察ですので、医学を知る方々以外にはやや難しい内容かもしれません。

脳を構成している細胞は2つ
ニューロン(神経細胞)とグリア(神経膠細胞)です。
ニューロンはわずか10%でグリアが90%。つまりほとんどグリアです。

ニューロンは情報処理や興奮伝達に特化した細胞で、巨大な情報ネットワークを構築しています。
グリアはニューロンを支える補助的な役割と言われていました。
しかし、今回のパーキンソン病25年目の症例はグリアの働きを証明したのではないかと思います。

運動指令の伝達に主要な役目を果たしている、ドパミンの受け渡しをするドパミン・ニューロンは、パーキンソン病の運動症状が発症した時点ですでに正常の50%以下になっています。

症例によって多様性がありますが、通常は発症して10~15年経つと、ドパミン・ニューロンは20%以下まで落ちると言われています。
レボドパ配合剤を初期(発症後7年以内)から多量(600mg以上)服用していた症例では、ドパミン・ニューロンはそれ以上(10%以下)まで落ちると推定されます。

そのようなドパミン・ニューロンが稼働不能状態に至った症例では、セロトニン・ニューロンがその役目を代替えすると言われています。
しかし、そのセロトニン・ニューロンも長年経つと変性が進んでしまうので
発症後20年経つとやはり稼働不能状態
になってしまいます。

グリアが主としてドパミンの受け渡しを行うようになります。グリアから放出されたドパミンがどのように受容体に作用するのかは詳細は不明です。

グリア(神経膠細胞)というのは、接着剤という意味で、ニューロンとニューロンの間を埋めるように存在しています。脳を空間的に支えたり、栄養を補充するなど、情報ネットワークの稼働を助ける存在と言われています。

アストロサイトというのは最も多いグリアで、ニューロンの立体構造を支えています。アストロサイトの細胞膜にも様々な神経伝達物質(ドパミン、アセチルコリン、セロトニン、ノルアドレナリン、アデノシンなど)に対する受容体(アストロサイト受容体)が存在しているようです。

アストロサイトではグルタミン酸がシナプスから放出されて、アストロサイト受容体と結合してニューロンと同様の興奮が起こり、アストロサイトはアデノシン三リン酸(ATP)を放出して、また別のアストロサイトを興奮させるという流れが起こると言われています。

ニューロンの変性が進行して、正常に稼働するニューロンが枯渇してしまった、長期罹患パーキンソン病においては、グリア、特にアストロサイトが神経情報伝達の主役になります。

アストロサイトの受容体においても、ニューロンと同様にドパミンとアデノシンは競合しているのではないかと推定されます。

アデノシンが神経情報伝達の主役になるらしいので、ニューロン以上にドパミンがアストロサイト受容体に受け取られるのをブロックされてしまうのではないかと思われます。

そこにアデノシンをブロックする、イストラデフィリンを加えることによって、競合していたドパミンがアストロサイト受容体にスムーズに受け入れられて、効果を発揮するのではないかと思います。

レボドパ配合剤が20年以上の長期罹患症例に効果を発揮するケースは、アルツハイマー、グレイン、ピック病理など異なる病理が存在しない、純度の高いパーキンソン病では多く見られます。胃ろうから持続的にレボドパ注入する治療が奏功している事例が存在するのはそのためだと思います。

おそらくニューロンの代わりにアストロサイト(グリア)が神経情報伝達の主役になっているのでしょう。

重度まで進行した意味性認知症と思われる症例にも、グルタミン酸に作用する薬剤が奏功するのも、そのためではないかと思われます。

アストロサイト(グリア)に関する研究は現在進められており、今後その成果が期待されるでしょう。



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by shinyokohama-fc | 2018-03-20 12:12 | 治療
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