前頭側頭葉変性症を学ぶセミナー

昨日、品川の会議室において、
「前頭側頭葉変性症 つくしの会(家族とその仲間の会)」の主催で、
「前頭側頭葉変性症をきたす様々な病気の特徴とその対症療法」というテーマで僭越ながら、小生が60分の講演をさせていただきました。
そのあと、60分は質疑応答に応じました。

たぶん「患者会」をメインにして講演をさせていただいたのは初めてではないかと思います。
やはり「患者会」は真剣度は医者とは全然違うと感じました。それは自分の家族だからでしょう。
前頭側頭型変性症(FTD)という病気は、国に難病指定されている病気ですので、有効な治療薬はありません。
いわゆる「ピック」と呼ばれる、行動異常型とか意味性認知症(そもそも認知症という言葉が不適切だが)症候群に関しては、発症年齢が60歳以下であり
中高年期の発症であるがゆえに、高齢者にくらべて病気の進行が速くて、より重いという印象があります。

小生の経験では、このような患者さん達には、いわゆる抗精神病薬(内容については以前のブログを参照ください)は通用しない事がほとんどです。
かつて小生のクリニックに訪れた、外来の初診患者でも、抗精神病薬を4種類か5種類以上とっかえひっかえ服用した結果として、深刻な不随意運動が現れたり、かえって易怒・興奮性が増強したりという症例が多かった気がします。

終了後にも介護者(家族)から相談を受けたのですが、
とにかく「抗精神病薬原理主義」みたいな担当医で、
「すでに認知機能がかなり落ちていて、日常生活動作にも困っているのに、なかなかクロールプロマジン(CP)を減らしてくれなかった
という不満を訊かされました。

今回の講演会の内容としては、前頭側頭型認知症にとっては抗精神病薬は極力使うべきではない(少なくとも外来という診療形態では)という話をさせていただきました。
それは、上の症例のように、抗精神病薬の長期服用によるデメリット、薬害の部分が大きくなるからです(詳しくは以前のブログ参照)。
病状が進行して1年以上もすれば、多くの場合は易怒・興奮の時期は過ぎ去り、無為の症状が目立ってきます進行したステージではむしろ脳の活動を抑えてしまう薬は良くないのは当然と言えます。

せめてゆっくりと少しずつ減量して経過を見るべきでしょう。
患者側がしつこく頼みこまなければ、減量もしてくれない?
まったくもっとおかしな話です。
患者の状態を一番よく診ているのは一体誰なのか?

しかし、一部には「前頭側頭型認知症=抗精神病薬」みたいなステレオタイプ的(自分の頭で何も考えていないのか?)で頑迷であり、患者家族にとって大迷惑な臨床医が少なからず存在するのも事実です。
そういう臨床医はこの病気の診療から手を引くべきではないかと思います。

私は少ないながらも、このタイプの患者さんを外来で診察してはいます。
80歳台半ばの患者さんは、クロールプロマジン(CP)12.5mgを2年以上内服していましたが、つい最近になって
「歩くと息切れがする」「疲れやすい」「自分から動かない」などが見られ
中止に踏み切りました。中止して以上の症状はすべて軽減しました。
思えばもう少し早期に中止すべきだったと後悔しています。
心不全で入院しなくて良かったと安堵しています。

最後に一言
「抗精神病薬で前頭側頭型変性症は治りません」


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by shinyokohama-fc | 2018-02-26 16:58
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新横浜フォレストクリニック(横浜市港北区・新横浜駅)の院長が日々綴る様々な情報を発信するブログです


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