ドパミン受容体作動薬(アゴニスト)とベンゾジアゼピン受容体作動薬は似ている

ドパミン受容体作動薬 (ドパミン・アゴニスト)とは、約20年前後にわたって、主に神経内科でパーキンソン病治療薬としてよく使われてきた薬です。

わが国で使用されている薬としては
①プラミペキソール、②ロピニロール、③ロチゴチン、④ブロモクリプチン、⑤カベルゴリン、⑥ぺルゴリド、⑦タリペキソール
現在主に使用されているのは、①~③
④~⑦はエルゴタミンが入っているため、長期服用にて心臓弁膜症、肺線維症、発がん性が問題視されているため、現在は条件付き限定的使用

ベンゾジアゼピン受容体作動薬とは、長年にわたって不安症状や不眠症状に対して、精神科のみならず、プライマリケア医によく使われてきた薬です。
よく使われている抗不安薬としては
①エチゾラム、②クロチアゼパム ③ロラゼパム ④アルプラゾラム ⑤ブロマゼパム ⑥ジアゼパム ⑦クロルジアゼポキシド ⑧オキサゾラム ⑨ロフラゼプ酸エチル
①~⑤が短時間~中時間型、⑥~⑨が長時間型です。
特に頻用されてるのが、①②④⑥⑨あたりではないでしょうか?
①については、特にパーキンソン病、レビー小体型認知症には使うべきではない薬であるという意見を書きました。以前のブログを参照ください。

よく使われてる睡眠導入薬としては
①ゾピクロン ②ゾルピデム ③トリアゾラム ④二トラゼパム ⑤フル二トラゼパム ⑥ブロチゾラム ⑦エスタゾラム ⑧エスゾピクロン
①②は一時期非ベンゾジアゼピン系だから安全だと喧伝されていた時期がありましたが、近年はベンゾジアゼピン受容体作動薬として包括されました。
①については、特にパーキンソン病、レビー小体型認知症には使うべきではない薬であるという意見を書きました。以前のブログを参照ください。
個人的印象では、⑧は①を安全に改良されたという印象はあり、実臨床ではあまり依存症やせん妄で問題になる事例は散見されないようです。

ベンゾジアゼピン受容体作動薬に関しては、ここで書くまでもなく、欧米などの先進国で、その使用がかなり問題になってます。
わが国ではその使用頻度が異常に多い事が、以前から問題視されており、
今年4月の診療報酬改定において
「ベンゾジアゼピン受容体作動薬を1年以上にわたって、同一成分を同一用量で連続して処方している場合を「向精神薬長期処方」として診療報酬を一律で減算する」という新しいルールが発表されました。

ベンゾジアゼピン受容体作動薬の一番の問題は、特に短時間型に顕著な「依存性」です。また、高齢者・脳神経変性疾患罹患者・脳卒中後遺症者に対しては特に、高い確率で「せん妄」を起こしやすい事で知られています。

ベンゾジアゼピン受容体作動薬の作用機序としては、GABA受容体の活性が高まり、GABAがGABA(A)受容体に結合して、クロールイオンが神経細胞に流入して過分極、鎮静・筋弛緩・不安抑制作用があります。

ベンゾジアゼピン受容体作動薬の依存形成に関しては
GABA(A)受容体を仲介して中脳・腹側被蓋野でドパミン神経細胞を活性化
中脳・腹側被蓋野と側坐核付近でドパミン放出を起こす薬は一般に嗜癖性(依存性)があります。

ドパミン受容体、特にD2受容体(側坐核付近)を刺激する薬もまた、嗜癖性(依存性)があります。「ドパミン調節依存症」というのは、言い換えれば「ドパミン依存症」の事であり、「薬をたくさん使わないと効果がでない」という思い込みを誘導してしまうようです。

一度始めると、やめられない薬
それが、ベンゾジアゼピン受容体作動薬であり、ドパミン受容体作動薬なのだと思います。もちろん嗜癖性に個人差が大きいのが現実ではありますが。
服用する場合はそれを覚悟しないといけないのでしょう。


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# by shinyokohama-fc | 2018-09-21 12:34 | 治療

鹿児島での講演

先日、9月16日、講演のため鹿児島に出張してきました。
ひらやま脳神経外科の平山貴久先生のご協力で、同じビルにあるホールで行いました。今回は時間制限がなく、約90分で話しました。神戸のときよりは、落ち着いて上手く話せたような気がします。

「認知症を伴うパーキンソン病(PDD)とレビー小体型認知症(DLB)の違い」について、自分の診療を通しての考え方をお話しました。
本題に入る前に、平山先生から「パーキンソン病」に関する短い解説をしていただきました。熊本で開業されている、木村武実先生にもお越しいただいて大変貴重な発言していただきました。
ご協力いただいた、お二人の先生方には大変感謝しています。有難うございました。

各種学会では「PDD とDLBは病理が同じだから同じ病気だ」という学説がまことしやかに言われているようですが、
実際に患者を診ている、小生からすると、どう見ても違う臨床像、薬物反応であるので、どうにも受け入れがたい学説のようです。

アルツハイマー(AD)に関しても、若年発症の「皮質優位型」と高齢発症の「辺縁系優位型」は同じ病理でも、まったく違う臨床像・薬物反応であることは、誰もが知ることでしょう。それと同じことです。

同じような内容を10月21日(日曜日)に横浜で、平川亘先生を招いて、講演と討論を実施する予定です。会場が小さい会議室であるので、すでに2週間前に満席となってしまいました。

わずかな時間でしたが、少々観光しましたので、以下にスナップ写真をいくつか紹介します。
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上から順、西郷隆盛の銅像、天文館商店街、市電、錦江湾から鹿児島市街、錦江湾から桜島、桜島の海岸、桜島の北岳


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# by shinyokohama-fc | 2018-09-20 10:54 | 医療

スタチン原理主義とその功罪

「スタチン」という薬。
循環器科医と糖尿病内科医はほぼ全員が絶賛する薬
であろうと思います。
その分野の権威的なDrだと「盲信的」と言っていいほどです。日本人が発明した薬だからというのがその理由の1つかもしれません。

しかし、薬というのは、常にパラドックス(矛盾)を抱えています。
薬である以上副作用のリスクがあるわけですが、スタチンの副作用についてそういう議論が臨床医でなされている事はほとんどないようです。

その理由は「心臓血管イベントを抑制する」からです。
心血管イベントというのは、わかりやすくいうと、心筋梗塞とか脳梗塞とか
動脈閉塞症など、動脈硬化による疾患群のことです。

たしかに、私がこの仕事を始めた頃に比べると、明らかに「多発性の微小脳梗塞」「脳血管性パーキンソニズム」「脳血管性認知症」「アテローム血栓性脳梗塞」はかなり減ったように思います。
これは降圧剤の普及による血圧コントロール、糖尿病治療薬の普及による糖尿病コントロール、禁煙の普及などがありますが、スタチンの寄与している所も大きいと思われます。

しかし神経内科医である私はこの薬を毛嫌いしていました。
「スタチン」による「横紋筋融解症」の重篤な劇症型症例を数例診ているからです。近年は劇症型ではない「横紋筋融解症」は増えていると推定されます。中高年者でも「スタチン」を開始してから筋肉痛が発症して、立てない
、腕が上がらないというケースはよく見られます。それが近年の高齢者の「フレイル」の増加の一因になっているのではないかと思われます。

また、中年高齢者に四肢、特に下肢の末端のしびれをきたす方々の多くが、スタチンを服用しているようです。「スタチン」は「末梢神経障害」も引き起こす薬だからです。

それに加えて「スタチン」にとってさらなる「不都合な現実」が存在する事が明らかになりました。
それは「認知機能の低下」つまり「認知症」を増やすという現実です。

神経細胞(ニューロン)はコレステロールから作られます。筋肉や末梢神経も同じくです。長年にわたってスタチンを服用する人が増えれば、認知症が増えるのは当然だと言えます。

8月19日に、市川フォレストクリニックの松野晋太郎先生が、興味深い報告をされていました。「認知症患者に処方されていたスタチンを中止すると、テストで3~4点も点数が上がる」
本来「スタチン」信仰の強い循環器科医がこのような報告をしている事が私にとっては衝撃的でした。

もっともテストで認知症の病態すべてが説明できるわけはないのですが、先日説明した、デール・ブレデセン先生の著書にも同じ事が書いてありました。他にも同じような報告がありますが、わが国では「スタチンが認知症を悪化させているか?」を検証する臨床試験が実施される事はおそらくないだろうと思います。

糖尿病患者が「糖毒性認知症」を発症するリスクが高いというのは今や常識になりつつありますが、糖尿病の糖毒は「末梢神経障害」「筋肉障害」を引き起こすのは古くから知られています。「自律神経」というのは目に見えない「末梢神経」で、糖尿病では「自律神経障害」もきたします。

糖尿病を長年患った高齢者がスタチンを服用し続けるとどうなるか?
「認知症」「末梢神経・自律神経障害」「筋肉障害」を続々と引き起こして
最終的には「フレイル」に至る要介護者が増える事が容易に想定できます。

心血管イベントが減少して長寿者が増えたのは喜ばしい事なのかもしれませんが、別の問題が起こっているという事実も無視できないでしょう。

また良質な脂質、例えば「リン脂質」は認知機能を改善させるという報告も増えていますので、長年にわたって脂質は悪者扱いされていましたが、脂質に対する見識を根本的に考え直すべき時期に来ているのかもしれません。


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# by shinyokohama-fc | 2018-09-15 15:51 | 治療

停電という非常事態

一昨日、25年ぶりという、中心気圧950ヘクトパスカルの猛烈な台風が関西地方を襲いました。関西空港の水没、乗用車が強風で吹き飛ばされて潰されるなど、大変な被害があったようです。

そして今朝早朝、北海道の中心部を震度7の大地震が襲いました。ここでも
列車が全面ストップ、空港が機能停止、やはり停電による大きな影響がありました。

一番大変なのは、台風が過ぎ去った後も、交通インフラが復旧しない、停電が長引く、コンビニから食料がなくなる、などの二次災害とも言える事態でしょう。特に電気で生活や仕事を賄っている現代社会においては、停電はかなり致命的だと言えます。

記憶に新しいですが、東日本大震災の直後も「計画停電」という停電がありました。この時も2~3か月にわたって時間限定ですが、自宅でも職場でも停電の不便さを嫌というほど経験しました。

当時住んでいた地域がかなり郊外でしたので、頻繁に計画停電の影響を受けました。自宅ではロウソクを使い、仕事場では電子カルテが使用できないので、それなりの対処を強いられました。

近隣の大病院でも、MRI検査ができず、脳卒中が入院できなくなりました。それゆえ、かかりつけの患者さんが脳卒中になってしまい、かなり遠方の病院まで運ばれてしまったので、ご家族が面会に行くのが大変だったようです。

このように、二次災害として、やむを得ない事とはいえ、医療現場において
停電は長引けば長引くほどかなり深刻な影響を及ぼします。

札幌は昨年9月、神戸は2週間前に講演で出向いた場所でした。
両地域とも、少しでも早く復旧する事を願わずにはいられません。
これだけ、日本国内で毎月のように甚大な災害があるというのは異常事態でしょう。過去50年で記憶にありません。
やはり「防災省」が必要ではないかと感じずにはいられません。


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# by shinyokohama-fc | 2018-09-06 18:23 | 医療

病気になるのはもうやめよう

第2回認知症治療研究会関西支部会が神戸市中央区中山手通にある、ラッセホールで昨日(8月26日)に開催されました。

小生はランチョンセミナーの演者として招待講演のために参加しました。
250名という多数の参加者で、これほど大人数の前で話すのは久しぶりだったので、待っている間は大変緊張していました。

小生の講演の前に、アクアメディカルクリニックの石黒先生が90分ほどの講演を拝聴しました。石黒先生の話を聴くのは実はまったくの初めてでした。これまでは患者の紹介などのやりとりをしただけでした。

講演テーマは主題「食事・栄養療法で認知症は予防・改善できるのか?」、副題「認知症になりやすい食事、なりにくい食事」でした。

講演を90分聴いて、とにかく色々な意味で衝撃的でした。

講演のスタイルは、さながら米国人のプレゼンテーターのようでした。いつもこういうふうにやりたいと憧れますが、とても真似できません。

講演も方々からセレクトした動画(参考資料としての)を流す時間が半分くらいでした。日本のテレビを含めたマスメディアでは絶対に報じられない真実ばかりでした。せめて「NHKスペシャル」ではやってほしいくらいの内容でした。

内容については、ここでは核心部分を詳細に書くことはできませんが。

世界の人口爆発に伴う食糧危機を賄うために、食物の大量生産が必要になり
飼料・農作物にも抗生物質、化学薬品(農薬、殺虫剤、除草剤)などが大量に使用されているという事実。

栄養価の低くむしろ有毒性の高い食事(たとえば小麦が多い食事)ばかりが好んで大衆に多く食べられているという事実。

そういう食事による腸内環境の悪化に伴って、メタボリック、リッキーガット(腸の粘膜の慢性炎症)など炎症性疾患が増加している事実。

神経変性疾患の権威である米国のデール・ブレデセン氏が考案した「リコード法」、その背景について解説した著書「アルツハイマー病 真実と終焉」で書かれていた、アルツハイマーをもたらす3つの原因である1)炎症 2)栄養不足 3) 毒物 という内容が短時間で理解できる、プレゼンテーションでした。

どういう食事療法をすればいいのか?野菜ジュースやサプリメントを含めた提案もありました。

この講演を聴いて、いろいろ考えさせられました。今行われている、神経変性疾患に対する薬物療法はいったいどれほどの意味があるのだろうか?と。

神経変性疾患、生活習慣病(たとえば糖尿病)を引き起こすのを予防するための医療こそが、現代社会には求められているのだと。
石黒先生の名刺には「病気になるのはもうやめよう」と書かれていました。

今求められているのは、神経変性疾患(アルツハイマー、パーキンソンなど)に関しては、効果がどこまであるのか保証されておらず、病気の進行を止めることすらできない、いやそれどころかむしろ病気の進行を助長、病状を悪化してしまう可能性の高い薬物療法ではなくて、

病気の進行を止める可能性のある食事療法、運動療法を確立する事に他ならないと確信させられました。

小生は石黒先生に続いて、11時30分から講演しました。
ほぼ「パーキンソン病」に特化した内容で、一部レビー小体型認知症との違いについても触れました。
前半は、市民向けで「パーキンソン病の諸症状」について、30分間。後半は医療職向けで「パーキンソン病の薬物療法の作用と副作用のパラドックスと限界」について50分間。内容はここ数か月、ブログで書いているのと同じような内容ですので、わざわざここで書く必要もなかろうと思います。

以上の内容において、一つ押さえておかなければならない事実として、多様性が非常に大きい人体において、それぞれの代謝酵素や遺伝子の個体差は非常に大きいです。

同じ食物・食習慣をしても、神経変性疾患、生活習慣病になりやすい人となりにくい人がいます。
同じ薬物・用量を服用しても、効果が出る人と出ない人がいます。また副作用・有害事象が出る人と出ない人がいます。


そんな中で我々ができる事はいったい何でしょうか?
病気になりやすい人、副作用・有害事象がでやすい人の存在を強く意識することではないでしょうか?

厳しくセレクトされた症例群で実施された、ランダム化比較試験(RCT)のみをタテに海外の大規模臨床試験でエビデンスがあるからと言って、日本人にも安全性・有効性は保証されているのでしょうか?

個々の症例を十分に検証した上で、特に薬物に関しては慎重に処方するという態度が求められるのではないでしょうか?

そもそも同じ治療薬を4種類以上併用するのはエビデンスにも反していますので、安全性の面から言って論外なのですが。



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# by shinyokohama-fc | 2018-08-27 12:02 | 医療
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