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「パーキンソン病 少しずつ減薬すれば良くなる!」

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ついに、小生が初めて著作した書籍が出版されることになりました。
書き始めてから出版するまで1年半くらいかかり、かなり苦労しましたが、
ブックマン社、編集長、対談でご協力いただいた、長尾和宏先生には感謝しかありません。厚く御礼したいと思います。

タイトルは「パーキンソン病は少しずつ減薬すれば良くなる!」ですが、
これはあくまで逆説的で、アイロニックな表現のつもりです。
とにかくパーキンソン病の患者は薬を過剰・オーバーに服用している事が多いので、適正な用量と種類に修正すれば、副作用が消えて(薬によって悪化していた非運動症状や運動症状が軽減して)落ち着くという意味です。

それゆえ、もし薬がその人にとって適正用量であれば、減薬すれば見た目の運動症状は当然悪くなると推定されます。ただし薬による治療は、根本的治療ではなくて姑息的(卑怯という意味ではない)な治療なので、たとえ減薬して症状が強くなったとしても病気そのものが悪化するわけではありません

本当は「パーキンソン病は薬が多すぎる!増やせば悪くなる!」というタイトルにするつもりでしたが、ネガティブな印象を与えるとの事で、逆の内容のタイトルになってしまいました。

昨今の社会状況をみていると、有名人が少し異質な事を言ったり、ブログで書いたりしただけで、反対派の人々が過剰反応して袋叩きに合うような、異論を許容できる精神的余裕がない状況ですので、
おそらく書籍の内容を十分精読せずに、タイトルだけを切り取って、短絡的に過剰反応してクレームや嫌事を言ったり、ネットに書き込んだりする人々が一定数発生する事が推定されますが、そこはスルーしたいと思います。

昨日、日比谷コンベンションホールで、「抗認知症薬適量処方の会」の講演会があり、小生も講演しました。60分の予定でしたが、話しているうちに時間を超過してしまい、75分くらいになってしまいました。

主な内容は、パーキンソン病の治療薬も、抗認知症薬と同様に少量投与のほうが合う症例が多いのではないか?特に欧米人に比べて薬剤過敏性が強く、耐性が弱い日本人にとっては。そのため治療薬の過剰処方、多剤併用によって、薬剤せん妄とか精神症状が悪化してしまい、まるで「レビー小体型認知症」みたいになってしまっている患者が増えているのではないか?という提言でした。

特に高齢者の多剤併用(ポリファーマシー)、服用しきれず残薬多数、薬剤カスケードなどが、老年医学会などを中心に、深刻な社会問題として近年マスコミにも多く取り上げられている昨今の時勢の流れがありますが、

パーキンソン病の治療薬だけは、なぜか無制限に併用がOKなのか?

神経系薬剤の副作用リスクが高い75歳以上患者さんも増えているにもかかわらず、特に年齢による用量制限もないのはなぜなのか?

パーキンソン病治療薬だけで5~7種類という、安全性も有効性もまったく証明されていない過剰なポリファーマシーが行われているのはなぜなのか?

薬で病気の進行を抑えられない、進行性の病気に対して医療費(薬剤費)のバランスを考慮した処方がなされていないのはなぜなのか?

つまり、今回の書籍の内容はリトマス紙だと考えています。

一人の偏った価値観の開業医の個人的な意見にすぎないとしてスルーされてしまうのか?

あるいは、今回の小生の提言を契機に病気に関わっている医療者や患者が問題意識をもって議論のタネになるのか?

趨勢を見守りたいと思います。

最後に余談ですが、薬をテーマにした書籍にもかかわらず、薬品名や商品名の誤植が多くみられました。私としては3回読み直したつもりでしたが...
非常に残念です。
これについては深く反省したいと思います。


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by shinyokohama-fc | 2018-01-29 11:33

久しぶりの大雪





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昨日、珍しく久しぶりに横浜で大雪が降りました。
関東は豪雪の日本海側とは対照的に12月からずっと8~9割くらい快晴で乾燥した冬らしい日が続いていたので非常に驚きました。
前日から気象庁が大雪情報をTVなどのマスメディアで喧伝した場合、たいがい予報は外れて、雨かミゾレのパターンがほとんどですが、今回は珍しく予報が当たったようです。

写真は1月23日、火曜日の当クリニックのビルから新幹線の新横浜駅を望む風景です。
小生の乗用車(一番手前)も20cm近く積雪していたので、朝早くから除雪作業をしました。ガラスの部分が積雪したまま凍結してしまうと大変だからです。交通事故のリスクが高いので、昨日は車で帰らずに置いて帰りました。

関東では大雪が連日になることはなくて、南岸低気圧が過ぎ去れば、翌日はたいがい晴れるので、次の日には雪が溶け始めます。
一方で真冬の日本海側の東北や北陸、山陰地方では、ほとんど晴れる事もなく、こういう雪が連日続くのが普通です。3m以上の積雪する地域もあります。
そう考えると、数年に1度くらいしかないこの程度の雪で大騒ぎしているというのもどうなのか??と感じる事もあります。

ともあれ、こういう天気になれば首都圏の人々の足は途絶えます。
雪国と違って、交通機関がマヒするからです。
事実、昨日もほとんどの外来予約患者の方々がキャンセルになりました。

本音を言えば、この数年に1度の大雪が小生の講演がある28日(日曜日)でなくて良かったと思っています。

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by shinyokohama-fc | 2018-01-23 08:55

フェイクDLB!薬で悪化してしまうパーキンソン病の非運動症状(2)幻覚・妄想・精神錯乱


「パーキンソン病(PD)という診断であったはずが、薬が増やされて、種類が増えることによって、いつのまにか「レビー小体型認知症(DLB)」
に診断が変更されていないでしょうか?
ここ最近、そのようなおかしな事例が増えているようです。


近年実施された、国内での大規模臨床試験では、パーキンソン病(PD)の精神症状は20.7%。つまり5人に1人とされています。小生が外来で診ている印象よりかなり少ないようですが、おそらく精神症状(幻覚・妄想など)が出たら、レビー小体型認知症(DLB)に診断変更されてしまっているのでしょう。まったくもっておかしな話です。

このような「薬剤誘発性のフェイクDLB」を小生の外来ではよくみかけます
フェイクDLBの実態はほぼ全例が見事に「薬剤せん妄」です
原因になる薬剤を「排除」していけば、当然元のパーキンソン病に戻ります

本来、認知症ではないのに、認知症にされてしまう。
本来、認知症ではないのに、なぜか認知症の治療薬を飲まされている
こんなおかしなことが普通に行われています。

1年前に有名大学病院から転医してきた、患者さん本人が小生にこう言いました。発症5~6年でパーキンソン病ヤール2度、69歳の男性です。
「なぜ自分は認知症でないのに、認知症の薬を飲まなければならないのか?」

その方は、大学病院の外来からメマンチン20mgが処方されていました。
しかもレボドパ配合剤も1日500mgも服用していました。
奥様から見た印象では以前とはまったく別人のようで、ぼーっとしていて、心ここにあらずで、何もしようとしない」
レボドパ高用量とメマンチンを併用してたら、そりゃーそうなるでしょう。
典型的な「薬剤性せん妄」です。

「ようやく会話が通じるようになって、以前の元気な状態に戻った」
今では遠くから電車を乗り継いで1人で受診できる人です。
レボドパを減薬してからパーキンソン病の手のふるえはやや目立つようになりましたが、減薬しても歩行は普通の速さで歩けるようです。

この方は1年前にプラミペキソール(ドパミン・アゴニスト)の徐放剤を処方、増量されてからおかしくなったようです。

もともと、レム睡眠行動異常(RBD)があったのですが、この薬が増量されてから、夜間にひどい幻覚と被害妄想になり、精神錯乱状態に至ったそうです。そこで「レビー小体型認知症(DLB)」だと診断されていたようです。
ドパミン・アゴニストを服用して幻覚・妄想が出れば全員DLB???なのでしょうか?小生にはまったくわけがわかりません。

さらにタチが悪いことに、薬でフェイクDLBと診断されてしまうと、有無を言わさず、抗認知症薬(アルツハイマーの治療薬?)が追加されてしまう。
多くの場合は、ドネぺジルですが、この方の場合メマンチンでした

本来アルツハイマーでもなんでもない、薬剤せん妄ケースに、こういう薬を追加(アドオン)するとどうなるでしょうか?
薬剤せん妄が悪化して混迷状態になるのは自明の理です。

フェイクDLB、つまり幻覚・妄想・精神錯乱が誘発されやすい薬は、前々回のブログで、睡眠障害を悪化させる薬のラインナップと全く同じです。

1)ドパミン・アゴニスト(増量後)
プラミペキソール、ロピニロール、ロチゴチンなど
2)レボドパ配合剤(高用量で)
レボドパ/カルビドパ・ベンセラシド
3)睡眠導入剤
特にゾルピデムベンゾジアゼピン系(エチゾラム、トリアゾラムなど)
4)ゾニサミド
5)セレギリン
6)抗コリン剤(トリへキシフェニジル)


付け加えると4)5)は単独使用ではそれほど精神症状を誘発しません。1)ドパミン・アゴニストか2)レボドパとの併用で誘発します。
ドパミン・アゴニストとセレギリンを併用しても、幻覚・妄想は誘発されず
むしろアパシー(無気力)が良くなったケースもあります。

そもそも「レビー小体型認知症(DLB)」っていったい何なのでしょうか?
脳内のレビー小体が証明されたわけでもないのに、なぜそう言えるのか?

診断基準が臨床症状の組み合わせ的で医者や患者の思い込み、主観的要素に左右される操作的診断手法である以上、薬剤せん妄を除外してDLB と診断することは至難の技でしょう。

多剤併用(ポリファーマシー)と薬剤カスケードの極致のような症例が多いという現実を考えますと、専門医のご都合によって、多くのパーキンソン病(PD)は全員DLBにされてしまっているのでしょうね。

教科書にはパーキンソン病が発症して15年以上たって、幻覚・妄想など精神症状が現れてくると書いてあります
しかし、それは治療薬の過剰投与による「薬剤性せん妄」の要素が除外されているわけではない。

ある医学雑誌によると現在のように治療薬が多種多様に使われる以前は、幻覚・妄想のケースはほとんどなかったそうです。
私も20年前(レボドパ配合剤とアマンタジンしか治療薬がなかった時代)にはほとんど見なかったという印象です。

薬剤せん妄の多くは見逃されています。
たった数分間しか患者を見ない外来医には到底わかりません
患者の周りの人間が気が付いて、一刻も早くせん妄を起こしている薬をやめさせるしか方法はないと思います。

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by shinyokohama-fc | 2018-01-22 16:51

パーキンソン病に抗精神病薬はNG

パーキンソン病に抗精神病薬を使っていいのでしょうか?神経内科専門医として25年多くの症例を診てきた経験で言うとNGと言わざるをえないです。

リスペリドン、ハロペリドール、オランザピン、クロールプロマジン、クエチアピン、アリピプラゾールとかいろいろありますが、
薬による深刻な有害事象、特に致死的な「悪性症候群」に関する「十分な説明と同意」せずに、軽々しく抗精神病薬を処方する医者は信用できないとはっきり申し上げておきます。
おそらく、以下に説明するような「悪性症候群」の患者を一度も診た経験がないのでしょうか? 「知らない」というのは本当に怖い事だと思います。

自分で処方した薬で作った病気を自分では事後処理した経験がないので、罪の意識も希薄なのでしょう。そういう臨床的な感覚の乏しい医者に抗精神病薬のような劇薬を処方する資格ははたしてあるのでしょうか?

パーキンソン病の治療に関して記載された成書には、定型抗精神病薬の使用は極力さけるようにと明記されています。定型抗精神病薬というのは、以下のとおりです。
①ブチロフェノン系)
ハロペリドール(セレネース🄬、リントン🄬)
②フェノチアジン系)
クロールプロマジン(コントミン🄬、ウインタミン🄬)、レボメプロマジン(ヒルナミン🄬)、プロぺリアジン(ニューレプチル🄬)

それに対して後年に開発された非定型抗精神病薬は以下のとおりです。
①セロトニン・ドパミン遮断薬
リスぺリドン(リスパダール🄬)、パリペリドン(インヴェガ🄬)、ぺロスピロン(ルーラン🄬)
②多元受容体作用薬
クエチアピン(セロクエル🄬)、オランザピン(ジプレキサ🄬)
③ドパミン受容体部分作動薬
アリピプラゾール(エビリファイ🄬)

なぜ定型抗精神病薬が特にNGなのでしょうか。それは以下の理由です。
小生の臨床経験では、たとえごく少量であっても①~③は起こりえます。
2種類併用や長期服用であればなおさら確実に以下の問題が起こります。
①悪性症候群を起こす

②ジスキネジア、ジストニアなど深刻な不随意運動をおこす
③運動症状(動作歩行)が悪化する


何が一番危険かと言いますと、それは言うまでもなく悪性症候群でしょう。
抗精神病薬はすべてですが、特にハロペリドールで高率に起こります。

急激に全身の筋肉がガチガチにこわばって動けなくなり、39~40℃前後の高熱が続き、意識がなくなり、大量の発汗、血圧が低下、脈拍が頻回、尿が出なくなり、ショック状態。生命の危機に切迫した状況に至ります。

小生は今から20~25年前のまだ医者をはじめて間もない頃に、救急指定病院で勤務していた時代に、「神経内科」だからという事で、非常に多くの「悪性症候群」の患者を受け持つという経験をしました。

ほとんどは精神科で診られていた患者が救急搬送されたものですが、時には認知症高齢者の入院後の夜間せん妄でハロペリドールの注射を打たれてから発症したというケースもありました。

当時まだ若かったので、「なぜ精神科の処方薬で起こった重症を、自分が集中治療室で治療しなければいけないのか?薬を処方した精神科医が事後処理をするべきだろ」と理不尽さに怒りに震えながら患者を診ていたのを未だに昨日のことのように覚えています。

しかし、若い時にこういう抗精神病薬の有害事象の極限状態ともいうべき症例を数多く経験して、その悲惨さを肌身にしみて苦労して体験したのは良かったと思います。自分ほど悪性症候群をたくさん診療した医者は他にいないのではと自負しているほどです。

原因薬剤で圧倒的に多かったのが、ハロぺリドールでした。しかし小生が診た症例で最も重症だった症例の原因薬剤はクロールプロマジンでした。

この症例は急性期に重度の肝不全と播種性血管内凝固症候群(DIC)まで引き起こし、意識障害が1週間以上続いてひどい出血傾向にまでなったのですが、まだ50歳と若かったために集中治療で奇跡的に助かりました。緊急入院してちょうど1か月後に病室で座ってご飯を食べている姿を見て感動して涙したのを覚えています。貴重な症例として内科学会の地方会でも発表させていただきました。

②の不随意運動に関しては、以前のブログにもかなり書きましたので、詳しくはそちらを読んでいただけたらと思いますが、やはりハロぺリドール、クロールプロマジン、最近は非定型のアリピプラゾール、ベロスピロン、などでもジスキネジアが出ます。中には服用して2~3年たってから全身に現れる「遅発性」のケースが少なくないのです。
抗精神病薬を使う場合は短期間にとどめましょうというのはそういう理由だと思いますが、実際は漫然と続けて服用されているケースがほとんどで、小生の外来に来た時はもうすでに長期間服用していて、こちらとしてはなす術がないという事が多いです。


近年このようなジスキネジアにも手術治療が試みられていて、成果をあげているようですが、統合失調症で抗精神病薬を長年服用せざるをえない症例の場合です。

③の運動症状が悪化するというのは、しごく当然のことです。抗精神病薬はすべてドパミン阻害作用がある薬だからです。
特にリスぺリドンのドパミン阻害作用はかなり強力で、パーキンソン病でもない高齢者でも精神科医からの処方で少量(1~2mg)でも全身がガチガチに固まるケースがありました。

最もドパミン阻害作用が弱いので安全だと言われているアリピプラゾール少量(3mg/日)でも、幻覚の訴えがひどい、脳卒中片麻痺の高齢者に精神科医から処方されて、全く歩けなくなったという事で来院したケースも最近ありました。クエチアピン12.5mgに変更して、かなり歩けるようにはなりましたが、本音を言えば、クエチアピンも中止したいところです。

パーキンソン病治療ガイドラインで推奨されているのは、クエチアピンだけですエビデンス(科学的根拠)的にはランダム化比較試験ではなくオープンラベル比較試験での有効性しか証明されていませんが、小生の使用経験でもこの薬をごく少量(12.5mg)でしか使用した事がありません。
幸いなことに悪性症候群、深刻な不随意運動、運動症状の顕著な悪化の報告例も他の抗精神病薬とは違って、ほとんど見られないようです。


幻覚・妄想に対して、唯一ランダム化比較試験で有意差・有効性が証明されたのはクロザピンだけのようですが、わが国では精神科病院に入院の上で、精神保健指定医によるという条件付きの処方となりますので、我々には事実上まったく使用できない薬です。

パーキンソン病の幻覚・妄想に対しては、以前のブログで紹介した、ピマバンセリンという薬が2年前から米国では使用できるようになったようですが、日本では使用できる目途はたっていません。

未だにハロペリドールとかが使われているのが現状です。昔から日本は新薬認可に関しては、世界でもかなり後進国ですので、仕方ないとあきらめるしかないのかもしれません。
やむをえずに抗精神病薬を使う場合は、十分な説明と同意(同意書をとる)が必要なのは言うまでもありません。


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by shinyokohama-fc | 2018-01-13 12:33 | 治療

薬で悪化してしまうパーキンソン病の非運動症状(1)睡眠障害

パーキンソン病の運動症状を良くするための治療薬などは、運動症状以外の症状(非運動症状)を悪化させやすいという事実は意外と知られていません。

パーキンソン病の症状は実は非運動症状の占める割合が多いにもかかわらずです。今回は「睡眠障害」を取り上げます。

近年国内で実施された大規模臨床試験による、進行ステージのパーキンソン病1000例を対象にした非運動症状の頻度によると
夜間睡眠障害は73.8%日中の過眠は79.2%もありました。
パーキンソン病の場合は、昼夜のリズムがおかしくなります。
人によっては、夜間にはレストレスレッグス(ムズムズ脚)症候群レム睡眠行動異常、日中には突発性睡眠という特徴的な睡眠障害が起こります。

私の診ている外来患者ではここまで多くの比率はいません。
何故ならこれらの症状のほとんどが薬によって誘発・増強されていることがわかっているからです。以下の薬を必要以上に増やさないように心がけているからです。
薬によって非運動症状を悪化させることは、想像以上に生活の質を著しく落とします。一緒に生活している家族、配偶者にも多大な迷惑をかけます。

睡眠障害を悪化させる薬というのは以下のとおりです。
1)ドパミン・アゴニスト
プラミペキソール、ロピニロール、ロチゴチン、タリペキソールなど
2)レボドパ配合剤
レボドパ・カルビドパ/ベンゼラシド
)コリンエステラーゼ阻害薬
特にドネぺジル、リバスチグミン
4) 睡眠導入剤
特にゾルピデム
)抗てんかん剤
特にゾ二サミド、バルプロ酸

これら1)~4)それぞれ単独で服用しても、半数以上のパーキンソン病の患者さんは、睡眠障害が悪化します。
ここにベンゾジアゼピン系睡眠導入剤などを追加しようものなら、夜間せん妄が悪化してしまい、一晩中夢遊病者、錯乱状態という事態にもなりえます。

パーキンソン病の睡眠障害でまずすべきことは、上記の薬剤をまずは見直すことです。
特にドパミンアゴニストの徐放剤(1日1回タイプ)の服用量がその人にとって多すぎて日中の過眠レム睡眠行動異常が悪化していることがほとんどですので、すぐに中止せずにまずは減薬するのが得策でしょう。
またレボドパ配合剤がその人にとって多すぎる場合があります。70歳以上の高齢者でも1日400~500mgとか服用すれば、半数以上は日中の過眠が強くなります。ドパミンアゴニストと併用した場合さらに強くなります。

レストレスレッグス症候群に対しては、ドパミンアゴニストが80%以上で効果がありますが、使用量はごく少量です。
私が使用した経験ではドパミンアゴニストという薬は少量で使用してこそ価値がある薬だと思います。日本人の場合は量を増やすとかなりの確率で副作用が出ます(中でも日中の眠気が最も多い)ので注意が必要です。


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by shinyokohama-fc | 2018-01-09 18:41 | 医療

レビー診断病とパーキンソン・認知症複合(PDC)

先日、神経難病の初診患者として、そのFTDPらしき臨床像の方が来ました。67歳の女性でした。

2年前に全く同じような臨床像の70代女性の方を1年くらい診ていたことがあって、その方と全く似ていました。専門医の診断はレビー(DLB)だったそうです。

遺伝子変異によって脳内にタウタンパク質の異常集積が原因でおこる、家族性前頭側頭型認知症・パーキンソ二ズム(FTDP)という病気があります。
前頭葉解放症状、行動の脱抑制症状を伴う特異的な認知症とパーキンソン病のような動作歩行の運動症状が同時に起こる複雑な臨床像の病気です。

著しい行動の脱抑制によって、施設から何度も脱走を試みたり、部屋の窓から私物を放り投げる、猛烈な速さで食事をするなど、異常な行動が目立つ一方で、疲労によって動作が極端に遅くなり、姿勢が傾いて歩行が難しくなったりするという奇妙な症状があり、最終的には急速に病気が進行して、数か月のうちに寝たきり状態に至りました。


FTDPに関しては、臨床研究によると、大脳皮質全般においてアセチルコリン神経細胞とドパミン神経細胞が極度に欠乏しているようで、前のブログで示したPDD/DLB-2やPSP以上に重症です。おそらく他の神経伝達物質(NMT)も極度に欠乏していると推定されます。

2年前に診た70代女性も、コリンエステラーゼ阻害薬(脳内のアセチルコリンを増やす薬)、レボドパ配合剤(脳内のドパミンを増やす薬)、抗精神病薬(脳内のドパミンを減らす薬)、いずれの薬を服用しても、わずかな量でも副作用が現れてしまうという状況でしたので、結局どの薬も使えなかったという記憶がありますが、このことがどんな薬を少量で使っても副作用が出る理由なのだと思います。


パーキンソンの運動症状があれば、レビー(DLB)だという操作的な診断の限界を痛感させられた、今回の症例でした。
現在の核医学検査や診察では、脳内にシヌクレイン(レビー小体)がたまっているかなどまったく分かるはずもないのに、専門医が、レビーだとか適当な診断名をつけて、適当な薬を処方するというきわめて滑稽なことが繰り返されているわけです。今回の事例もそれと同じです。

この症例でこれまで使われた薬を以下に示します。
ドネぺジル、リバスチグミン、メマンチン、ガランタミン、セルトラリン(SSRI)、クエチアピン、抑肝散、ロチゴチン、クロナゼパム
いずれも副作用で脱落したようです。この時点でレビーではないでしょう。

結局現在も継続して使っているのは
レボドパ・ベンゼラシド配合剤(少量)、トラゾドン、リチウム
残った薬を見た限りでは、前頭側頭型変性症ではないかと思われます。診察した印象でも、多幸的で病識が乏しく、レビーらしさ?は全く感じられませんでした。

パーキンソン・認知症複合 (PDC)という言葉は臨床像を現わす病名で、紀伊半島の牟婁地方で多発した風土病も、Kii-PDCと呼ばれています。PDCの中にはさまざまな病理基盤の病気が含まれると思います。

英語でDementiaという言葉が「認知症」と呼ばれることにはかなり違和感があるものの、安易にレビーとかいう診断名をつけるよりはマシではないかと思います。

パーキンソン・認知症複合はPDCパーキンソン・精神病複合はPPCパーキンソン・前頭葉解放症状複合はPFCという命名で良いのではないかと私は思います。



新横浜フォレストクリニック
内科・漢方内科・老年内科・神経内科

JR・新幹線・横浜市営地下鉄 
新横浜駅 篠原口より徒歩1分






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by shinyokohama-fc | 2018-01-06 12:47 | 医療
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新横浜フォレストクリニック(横浜市港北区・新横浜駅)の院長が日々綴る様々な情報を発信するブログです


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