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動画で学ぶ神経学

昨日、パーキンソン病・運動障害疾患学会主催のビデオフォーラム(動画で学ぶ神経学)を聴講してきました。
会場の青森までは東北新幹線(はやぶさ)の新函館北斗行きを使って前日から行きました。行きのはやぶさは大宮、仙台、盛岡、新青森しか停車しなかったので、東京から3時間で新青森に到着しました。連休だったので終点(函館)まで行く乗客も多かったように思います。北海道は以前何度か行っていますが、飛行機でしか行けなかったので、東京から函館まで新幹線で行ける日がついに来たというのは未だに信じられないという感じです。新青森から奥羽本線に乗り換えて弘前方面と青森方面に別れますが、今回は青森の方に行きました。青森駅から歩いてすぐの場所に海(港)があり、津軽半島と下北半島が望めます。ベイブリッジや八甲田丸という観光客船があり、何となく同じ港湾都市である横浜とよく似ている感じがします。関東地方の9月は秋雨前線が例年以上に活発で、この2週間太陽を見れない日が続きましたが、青森は秋雨前線がかかっておらず、久しぶりの晴天でした。地元の物産品はリンゴを使った加工品ジャム・ジュース・菓子類が多く、海産物としてはホタテやイカが多かったように思います。駅からすぐのアウガというビルの地下に大きな市場があり、海鮮食事を提供する店も何軒かありました。有名な釧路の和商市場と同じ規模でした。町を歩くと高級感のある喫茶店が何軒かあり、喫茶店文化が感じられました。人口30万人程度の地方都市なので、人口370万人の横浜と比べて人口密度がきわめて低く感じました。
今回は演者の先生方が非常に珍しい疾患の不随意運動の動画を数多く見せていただきました。てんかんの動画もここまで多く見れる機会はあまりなかったですし、若年女性に多いと言われる自己免疫性脳炎の不随意運動の動画も大変貴重なものでした。動画の教育講演の重要性を再認識しました。
神経内科では外来診療において動画を撮影して記録するのはきわめて重要です。病院勤務時代は外来で動画を撮影することは1度もなかったのですが、2年前に自分のクリニックを開業してからは主として歩行障害の症例の歩行記録を動画撮影する機会が増えました。最も多いのは進行性核上性麻痺症候群(PSPS、サブタイプ含む)の起立・着座と歩行の記録です。この他にもパーキンソン病(PD)の静止時振戦、筋固縮、体幹傾斜・姿勢異常など、大脳皮質基底核症候群(CBS)の上肢のジストニア、失行、脊髄小脳変性症の失調性歩行、意味性認知症の児戯的(子供っぽい)行動なども記録してました。これらを記録し始めたきっかけとしては、今年の3月のCBSとPSPSの教育講演目的が大きかったと思います。歩行を記録しているうちに、PSPSの歩行はサブタイプによってすべて違う事がよくわかりました。PAGFタイプ(純粋無動症)のすくみはパーキンソン病のすくみを10倍強くしたというイメージですし、C(小脳)タイプの失調性歩行の左右のふらつきは、脊髄小脳変性症(SCD)のように見えます。今後もPSPSやPDの症例の歩行を記録し続けていきたいと思います。


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by shinyokohama-fc | 2016-09-20 17:55 | 治療

睡眠薬の適性使用について考える

先日、週刊現代の電話取材に応じました。「睡眠薬の過剰摂取と誤嚥性肺炎の関連」についての内容でした。
現在わが国で使用されている睡眠導入薬と呼ばれる薬剤の多くがベンゾジアゼピン系です。わが国では欧米の6~10倍ものベンゾジアゼピン系の消費量があるそうです。問題としては覚せい剤と同等の依存性と耐性化による増量であり、米国では法で禁止されている州があるくらいです。中でも特に我が国において、臨床医に繁用されすぎているエチゾラムはこのたび向精神薬に指定されることになりました。エチゾラムは内科医であれ、整形外科医であれ、あまりにも安易に処方されすぎる向精神薬であり、私が最も違和感を感じるのは神経内科医が緊張型頭痛、パーキンソン病や神経変性疾患に対して普通に処方している事です。たしかに筋肉の緊張を取る直接的な作用は確実であり、即効性があり、効いてる実感が感じられるので、人気があるのかもしれませんが、それこそが危ないところだと思います。私は過去にエチゾラム、或はその他のベンゾジアゼピン系抗不安薬、睡眠導入薬が誘因と思われる、呼吸抑制、ドパミン阻害作用により誤嚥性肺炎を誘発したというケースを数例みてきました。また最近ではパーキンソン患者において前医処方の眠前のエチゾラムを中止させて、喀痰貯留症状を改善させた事例があります。気管支喘息などの慢性呼吸不全患者に対してもベンゾジアゼピン系が普通に処方されている無神経さにも大変驚かされます。最近は使われなくなりましたが、今回の週刊現代の記事になった、古くから使用されているベゲタミンという配合剤に含まれているフェノバルビタールは呼吸抑制作用も強いのですが、未だに高齢者に使われている事例が散見させて驚きます。私のイメージではこのような呼吸抑制作用の強い向精神薬の処方件数が減れば、どれだけ誤嚥性肺炎というものが少なくなるのではないかという事です。とはいえ、一度前医でベンゾジアゼピン系などの向精神薬が処方されていれば、その薬を止めさせる事は容易ならざることであり、こういうケースは大変迷惑であり困ります。つい最近もフル二トラゼパムをずっと内服している、神経難病の方が、感冒から気管支肺炎になり、治るまで1か月近くかかったという事例がありました。
今後は向精神薬扱いではない睡眠導入剤が推奨されます。具体的にはゾピクロン、エスゾピクロン、リルマザホン、ラメルテオン、スボレキサントです。高齢者にとってより安全な睡眠導入剤の使用が望まれると思います。


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by shinyokohama-fc | 2016-09-13 19:25 | 治療
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