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古いクスリだから安全とは限らない

「古い薬は臨床現場で長年残っているのだからきっと安全だろう」私はそう信じていました。
しかし私も含めて内科医・神経内科医によく使われているあの薬が、まさか...という事実が続出しています。
すでに今年の2~3月にある雑誌で発表されたドンペリドンに関する心臓不整脈と突然死のリスクです。
QT延長症候群と心臓不整脈を1.6~3.7倍も起こりやすいと報告されています。欧州ではドンペリドンによる心臓突然死がいくつも報告があり、20mg錠剤・10mg/60mg坐剤は今後使用禁止・販売禁止を検討すべきと欧州医薬品庁PRACは勧告しています。なお代替薬剤としてはメトクロプラミド、プロトンポンプ阻害剤が推奨されています。
内科であれば悪心・嘔吐などにきわめてよく処方する薬で、一般的に向精神薬だという認識が乏しいようです。
神経内科の分野でもわが国ではでは片頭痛随伴症状の抑制目的やパーキンソン治療薬の副作用制御目的で学会ガイドラインで奨励されている薬剤です。名前がリスぺリドン(統合失調症のみに限定的に使用される非定型第2世代向精神薬)に類似している同類の薬剤であり、心臓不整脈・突然死に関してはリスぺリドンと同様のリスクがあるという事です。
その他にも主としててんかんの予防薬として長年使用されてきた薬にも重篤なリスクがある事が判明しています。
てんかん予防薬として長年使われてきた、フェニトイン、フェノバルビタール、カルバマゼピンです。
これらの薬剤が肝臓での酵素誘導作用が非常に強力であるため、他の各種薬剤の代謝を促進するというのは古くから知られてきたことですが、同様に生体内の酵素の代謝も強力に促進するために、骨粗しょう症、動脈硬化性疾患(冠動脈疾患、脳血管疾患など)の発症が8倍以上にもなると報告されています。てんかん予防薬というのは何年にもわたって長期内服するために与える有害性が大きいのでしょう。わかりやすく言えば、てんかん予防薬を飲み続けることによって血管や骨などの老化が人一倍進行するということです。
カルバマゼピンに関しては重症薬疹や重篤な血小板減少症などを経験した事があり、非常にリスクの高い薬だという認識でしたが、長期内服により小脳変性症も起こすと言われています。実際に50~100mgの少量でも平衡失調の副作用が出ます。てんかん以外にも三叉神経痛などにも広く使用されてきましたが、どうしてもこの薬でないと効かないという方以外にはもはや第一選択で使うべき薬とは言えないでしょう。やはり新規てんかん予防薬である、ラモトリギンとレベチラセタムの使用が推奨されていますが、わが国では前者がようやく先月に単独使用可能になったばかりで、この2種類の薬剤は長年にわたって単独使用が認められていませんでした。
パーキンソン治療薬のドーパミンアゴニストの古いタイプ、麦角系も10年前までは臨床現場でよく使用していましたが、心臓弁膜症、肺線維症のハイリスクが報告されてからは、非麦角系に代用されるようになりました。
またこの麦角系ドーパミンアゴニストは新たに悪性腫瘍発症リスクも報じられていて、おそらく今後は衰退していく流れにあると思われます。
わが国の薬の情報は非常に遅れているなという印象です。
現在まで頻用されているCHE-I(コリンエステラーゼ阻害剤)に関しても、心臓不整脈やてんかん発作など数々の重篤な副作用が報告されているため、かなり厳重に注意して使うべき薬だと思います(以前のブログを参照ください)。


新横浜フォレストクリニック
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by shinyokohama-fc | 2014-11-27 19:02 | 治療
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