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安易に抗認知症薬(コリンエステラーゼ阻害薬)を処方するなかれ

最近は「物忘れ」を主訴に医療機関を受診しただけで、安易に抗認知症薬が処方されるようです。
認知症専門医が外来を実施する医療機関はしばしば「物忘れ外来」という名目で早期の受診を推進しています。
ただ元気で健康な高齢者が増加している現在、後期高齢者(75歳以上)の人は皆さん年齢相応の物忘れがあるのは当然のことです。「認知症」というのは日常生活のさまざまな基本的な事が正確にできなくなる事です。
その前段階と言われる軽度認知障害(MCI)の人も多数おられますが、当然、抗認知症薬の対象にはなりえません。
4か月開けて2度、簡易知能スケール(MMSE)とADL評価尺度(DAD)で認知症では全くない事を確認した82歳男性ですが、4か月前までは、認知症専門医(精神科医)による専門外来で抗認知症薬が処方されていました。この専門医が遠方へ転勤したため当院を受診することになりましたが、どう見ても私には認知症には見えませんでした。MMSEは28~29点で、会話上はまったく頭が冴えている。こういう方に薬が処方されるというのは全く理解できないですし、まったく意味がわかりません。患者を診察しないで適当に薬を出しているとしか思えませんでした。
これまで4か月の間に同じようなケースを何人も見ました。認知症専門医の安易な診断と治療により、本来全く正常域の人が家族に「認知症」扱いされて尊厳を傷つけられたというのもありました。
専門医?の安易な診断と処方が家庭崩壊すら招きかねないという事実を知って呆然とするしかありません。
年齢相応の物忘れに対してこういう薬を専門医が処方しているというデタラメ医療が横行しているようです。またこういう年齢相応~軽度の方で、無理に薬が処方されて嘔吐、下痢、頻尿などの副作用が出て非常に困ったというケースをいくつも聞かされました。正常域の高齢者のアセチルコリン、ドーパミン、セロトニンなどの神経伝達物質の微妙なバランスを薬で無理に崩しているというのはナンセンスです。これは医原病そのものではないでしょうか?
抗認知症薬(コリンエステラーゼ阻害剤)は薬剤によっては強力なアセチルコリン作用があり、高度の徐脈性不整脈や虚血性心疾患などが誘発されると書いてあります。わたしも30~35回/分の非常に危険な徐脈性不整脈の副作用が出たケースを2~3例経験しています。薬剤を中止してからも1~2か月続いたため大変困りました。
また易怒性や興奮性をきたすケースも多いようです。薬によって興奮させた患者に対して抗精神薬(統合失調症の薬)を使うという、デタラメでマッチポンプ的な処方もよく見かけます。神経に作用する薬剤というのはすべて劇薬で、一歩間違えば用量が増えるとオーバーランしてしまう薬ばかりですので、厳重な注意と監視が必要なのです。
年齢相応や軽度の「物忘れ」だけで安易に抗認知症薬(コリンエステラーゼ阻害剤)を飲むことのないようにしたいものです。


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by shinyokohama-fc | 2014-10-23 18:50 | 治療

クスリを追加処方することが免罪符?

お薬手帳を拝見すると病院の外来から神経系のクスリが目が眩むほど多剤大量に出されていて驚かされることが少なくないです。中には神経系のクスリが10種類近くフルドースで出されている80歳や90歳の患者さんもいます。
常識的に考えて、これだけ神経系のクスリ多種多量に飲んでよく死なないなと心配に思うのがまず第一印象です。
最近でこそようやくポリファーマシー(多剤大量投与)の問題を批判するマスコミ記事や書籍が増えましたが、長年にわたって「病気で受診したらとりあえずクスリ。外来に行けば行くほどクスリが増える。患者側からも何かいいクスリはないかととにかくクスリを出すことを強く求められ、医療側も外来で説明する時間も限られているのでとりあえずクスリを出してその場をしのぐ」という現実から逃れられないようです。私の知人からも某大学病院で多種多量のクスリを出されて薬物中毒で救急で運ばれてきた患者を何人も診されられて困っているという話をよく聞きます。
日本は世界中でも飛びぬけてクスリが多く使われる国で、あるクスリは世界のシェアの7~8割を占めるという冗談のような事実があるようです。神経内科の分野ではパーキンソン治療薬のドカ盛り処方、精神科の分野では抗精神薬のドカ盛り処方が散見され、さらに認知症患者になるとコリンエステラーゼ阻害薬も加わり、ありとあらゆる多種多量の神経系のクスリが混在していて何が起こるかわからない想定外のカオス状態になることは容易に想像できます。
中でも一番拙い処方は、効果があるかどうかわからないクスリの際限なき追加です。パーキンソン治療薬というのはレボドパ配合剤以外にも、抗コリン剤、ドパミン放出促進薬、ノルアドレナリン補充薬、ドパミン受容体阻害剤、COMT阻害剤、MAO-B阻害剤、レボドパ賦活剤、アデノシンA2a受容体拮抗薬と9種類もあり、現行の保険診療では無制限で何種類の治療薬を高用量でいくら使っても保険上ではまったく問題視されていないようです。しかし逆に1つのクスリを低用量で維持すれば、規定通り用量を上げない理由は何故なのか説明せよとか言われる。本来は用量というのは年齢や体重で担当医の裁量の範囲で決めるべき事であって、85歳の患者でも55歳の患者と同じように一律で用量を上げるのが当然だとでも言うのでしょうか?その一方で85~90歳の患者に高用量を使う事のほうが危険なはずなのに不問にされている。全くもっておかしな話です。また、1つのクスリが十分効かなければ、これでもかこれでもかと外来に行くたびにクスリの種類と用量が増えていって最終的には信じられないほどの種類と量のクスリを飲んでることになってしまうというパターンが多いようです。特に「進行性核上性麻痺サブタイプの症候群」に対する無意味で不必要なドカ盛り処方は目に余りますし、この病気にパーキンソン治療薬をいくら積み重ねてもムダだというのは、いくつもの医療機関を受診した患者さんから教えられました。「レビー小体病」もあらゆる症状が出現するのでドカ盛り処方されて悪化してしまう傾向にあるようで、特にパーキンソン症状が先行するタイプはそうなる傾向があります。多くのケースではムダに医療費がかさむだけで患者さんにとってほとんどメリットはありません。そればかりか神経系のクスリは必要以上に盛られると、結果的に幻覚・妄想・衝動制御障害・せん妄などを引き起こし、麻薬中毒と大差ない状況になってしまい非常に危険なので注意が必要です。
患者側も医療側も日本国内で常態化しているポリファーマシーの問題を今一度考え直すべき時ではないでしょうか?


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by shinyokohama-fc | 2014-09-19 14:16 | 治療

パニック処方

一昨日、旧知の病院勤務医の内科医からメールがきました。その内容は当地(西日本)では神経内科の基幹病院とされている、ある有名病院の神経内科から町病院へ転院してきた患者についての相談でした。
82歳女性で診断名はよくわからん外人の名前だったようです。リボトリール6mg/日、デパケン800mg/日、テグレトール200mg/日、その他ミラペックスも使われていたとのことでした。どういう経緯でそういう常軌を逸したパニック処方になったのか?は不明のようです。
どうやら何らかの神経難病らしく寝たきりで、気管切開と胃ろうがされているほど進行しているそうですが、知人いわく「こんなの神経内科が創り出した単なる薬害患者じゃないか?」との意見でした。「誤診と違いますの?神経内科は精神科とほとんど同じで患者をすべて「パーキンソン」にして抗パーキンソン治療剤を多剤大量処方して薬物中毒にしてるだけではないのか?」と同じ病院に勤務する内科医も言っていたそうです。
病院の精神科や神経内科の医者が皆このようなパニック処方をするとは思いませんが、当院にわざわざ都内某所から通院されている患者さんもかつては近隣の有名病院の神経内科の外来に通院していて、薬で病状がどんどん悪化していくとご家族が直感的に心配されて受診されました。お薬手帳を拝見すると目を覆いたくなるような典型的なパニック処方でした。初診時はまず患者さんに有害だと思われる処方を3~4種類中止させることから始まりましたが、当院先日4回目の受診ですっかり精神的にも安定して良くなったようで、遠路から通院していただいた甲斐があったと安堵したものです。有名病院で勤務しているという事で、患者さんが方々から殺到して一人一人の患者さんに対して冷静に薬剤の効果や副作用について考察する時間的・精神的余裕がないのかもしれません。
ただ一つ言えることは、パニック処方で病気が悪くなる事はあっても、良くなる事はないと言うことです。
神経系に作用する薬剤はどんな薬でも高い確率で副作用で患者さんを悪化させてしまうリスクをはらんでいますので、より慎重に使わなければなりませんが、残念ながらあまりそういう事が意識されていないように思います。


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by shinyokohama-fc | 2014-09-12 14:24 | 治療
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