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高齢者の「側頭葉てんかん」はDLBと誤診される

高齢者の側頭葉てんかんの臨床症状の特徴を以下に示します。
1)けいれんはおこさない
2)くりかえす識減損~意識レベルの動揺性
3)夜間のレム睡眠行動異常様の精神運動発作(異常行動)
4)持続性の認知機能低下
5)複雑性の幻視
6)自律神経症状
7)注意障害・集中力低下
8)簡易テストでは計算ミスが多い
以上のごとく、高齢者の側頭葉てんかんの臨床的特徴は、レビー小体型認知症(DLB)に酷似しています。共通していないのは、DLBの中核症状の1つである、パーキンソニズム(パーキンソン病の運動症状)のみです。
ただし、大脳皮質と扁桃体に病変がみられるが、脳幹にはほとんど病変がみられない、パーキンソニズムがみられない「大脳型」というタイプがあるとのことです。DLBの診断基準というのは感度が高いが、特異度が低いというのは、誰もが認めるところであります。そのためにパーキンソン病のドパミン作動薬の過剰処方による、薬剤によって誘発されているせん妄状態、幻覚、認知機能の低下をもって、担当医が己の薬の出しすぎを反省することなく「DLB化だ!」と誤診してコリンエステラーゼ阻害剤を最大量で追加処方してしまうことが非常に多く見られます。またすでに脳卒中・頭部外傷などの脳疾患の既往とそれに伴う脳障害のある症例に、トラマドール(オピオイド)、プレガバリン、ステロイド、抗コリン剤などが何らかの理由で処方されて、薬剤せん妄に陥っている状態を家族が認知症の本を読んで「DLBだ!」勘違いして遠路からわざわざ連れてきたケースもありました。どこがDLBなのか?このようになんでもかんでも「DLB」にされてしまう昨今の風潮は好ましくなく、私からみてかなり問題があると思わざるをえない現状です。特に「パーキンソニズム」のないDLBというのは他の原因をかなり慎重に除外する必要があります。安易にDLBという診断をすべきではないと思います。
今回取り上げた「側頭葉てんかん」ですが、世界的な統計では60歳以上では非常に多くみられます。若年世代の特発性てんかんよりもはるかに多いようです。側頭葉てんかんの主たる原因である変性疾患としては、アルツハイマー型認知症が多く、軽度認知障害(MCI)という認知症の前段階からてんかんが現れるケースが多いようです。
軽度の「物忘れ」で始まった人が、2)~7)の特徴がみられ、テストで計算ミスがあっただけで、「DLB化した!」と安易な操作的な診断をしてはならないと思います。本来ならこのようなケースではすべての症例で脳波検査を実施してスクリーニングすべきですが、検査ができる環境にない場合もあるでしょう。脳波検査ができない環境では、詳細な問診記録を残した上で、以下の薬剤を処方して「治療的診断」をするしかないと思います。
第一選択で使用すべきなのは、カルバマゼピン(CBZ)です。100~200mg/日が必要と思われますが、高齢者の場合はCBZの副作用として、初期から小脳性運動失調によるふらつき、転倒のリスクがあるということを十分説明する必要があるでしょう。このリスクを回避するためには、新規抗てんかん剤である、ラモトリギン(LTG)、レべチラセタム(LEV)を使用する選択枝もあるでしょう。他にもこの1年で新規抗てんかん剤が上市されています。新薬の難点は高額であるという点ですが、長期内服の安全性を考慮すれば、CBZよりも新規抗てんかん剤のほうがいいのではないでしょうか?高齢者はふらつき、転倒で骨折や頭部外傷のリスクも高いという事も考慮すべきだと思います。
大脳型DLBを強く疑う場合は、MIBG心筋シンチやドパミントランスポーターシンチという核医学検査が有用です。このような検査が役に立たないという断言する医者もいるようですが、私は側頭葉てんかんと大脳型DLBの鑑別診断のためには必要だと思います。前者は抗てんかん剤で症状が治まる病気で、後者は薬を使っても進行していく病気です。厳密な診断によって患者の運命が左右されるという事を考慮すれば、やはり診断のための検査は必要です。
ちなみにコリンエステラーゼ阻害剤で、世界的に最もPDD/DLBに対して使用されている、リバスチグミンの副作用で「痙攣発作」というのがあります。私自身も、側頭葉てんかんに中等度の認知症を伴った症例(84歳女性)を定期診療しています。当初は認知症に対して、ガランタミン(コリンエステラーゼ阻害剤)8mg/日とラモトリギン(抗てんかん剤)100mg/日を処方していましたが、1か月に1回の発作があり、発作が全般化して痙攣に至り、病院へ搬送されるという事態になりました。熟慮の末に、ガランタミンを中止して、ラモトリギン150mgを続行しました。その後1年以上において発作は確認されていないようです。
高齢者の「側頭葉てんかん」は実際は非常に多いと推定されますが、医者にも患者にも「てんかんイコール痙攣発作」という固定観念があるため、多くが見逃されており、安易な操作的診断のみでDLBだと診断されて、コリンエステラーゼ阻害剤の処方によっててんかんを全般化させて痙攣を誘発している症例はないでしょうか?高齢者の痙攣発作は急性冠動脈症候群などを誘発しうる非常にリスキーな状況です。様々な意味で、側頭葉てんかんをDLBだと誤診することは非常に罪深いことだと私は思います。
DLBの診断基準の除外項目にここまで臨床症候が酷似している「側頭葉てんかん」が含まれていないという事は疑問に感じます。私の記憶では「側頭葉てんかん」について言及している認知症関連の書籍はきわめて少ないようです。



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by shinyokohama-fc | 2017-03-09 18:29 | 治療

第3回フェルラ酸研究会

先日、1月8日(日曜日)午後、第3回フェルラ酸研究会が品川で行われました。
基礎研究の演題の他に、発達障害、軽度認知障害、大脳皮質基底核症候群(CBS)に関する演題がありました。なかでも軽度認知障害に対する二重盲検試験の結果は気になるところです。
演題も4→6に増えて、4時間超の長丁場でした。私の演題は進行性核上性麻痺症候群(PSPS)に関するものでしたが、6題目の発表だったので待っている時間が長くて大変でした。
第1,2回と比べて聴講する参加者が増えたという印象です。専門的な医師の参加も多かったように思います。前回よりも質疑応答も活発に行われました。一方的に講演を聴かせるだけでは学術的な「研究会」とは呼べないので、今後はもっと参加者が増えて、有意義な議論が交わされる研究会に発展することを期待したいと思います。
研究会終了後に何人ものDrが私の講演についての質問がありました。
次回、第4回は7月16日(日曜日)に実施されます。ぜひ多くのDrが参加してほしいと思います。


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by shinyokohama-fc | 2017-01-13 08:31 | 治療

メマンチンの前頭葉解放症状に対する有効性

メマンチンはコリンエステラーゼ阻害薬との併用を推奨されているがゆえに非常に過小評価されてる薬です。主に認知症の行動心理症状(興奮性・攻撃性)に対する抑制効果を期待して使用されているわけですが、中核症状の改善効果も優れています。コリンエステラーゼ阻害薬のような生命予後に関わるような危険な副作用もないため、80~90歳の高齢者でも5~10mgの低用量(20mgで内服させると、日中の嗜眠が強すぎて誤嚥や転倒リスクが高まる)で使用しやすい薬剤です。ただしコリンエステラーゼ阻害薬(特にドネぺジル5~10mgとリバスチグミン18mg)と併用してしまうと、コリンエステラーゼ阻害薬による精神症状の有害事象が高い確率で悪化するようですので、原則的に併用はしないようにしています。神経系の薬剤の作用は複雑で複数の薬剤がからむと奇異反応をおこす症例が非常に多いようです。ニューイングランドジャーナルの文献によると、メマンチンは1か月(1日)の介護時間が優位に減少されたということです。1日あたり平均90分減少させたそうです。
メマンチンはNMDA受容体に対するアンタゴ二スト(拮抗薬)で正常な神経伝達には影響せず、グルタミン酸によるNMDA受容体の過剰な活性化を抑制する作用があり、持続的な電気シグナルが発生し、神経伝達シグナルを隠してしまう(シナプティックノイズ抑制)効果があるそうです。主として以下の症状に有効であるようです。
1) 会話がうまくできない(言語障害)
2) ささいな事で怒り出す(攻撃性)
3) 落ち着きがない(易刺激性)
4) 家の中を動き回る、目的不明な外出行動(行動障害)
60~70歳で発症する、典型型のアルツハイマー(ATD)では進行ステージにかかわらず、1)~4)の症状はほとんど出現しません。しかし60歳以下/75歳以上で発症するATDでは前頭葉症状が強い非典型的タイプが少なくないようですので、しばしばこの薬剤が有効です。礼節や対人関係は維持できているが、精神症状や行動心理症状が日常的にみられるタイプです。
しかし、それ以上に有効なのは前頭側頭型変性症(FTD)の意味性認知症、行動障害型だと思います。超重症ステージでほとんど会話困難、外来診察時も常同行動、使用行動、反響言語を繰り返しているレベルのFTDでも有効性が高い事が数例で確認できました。脱抑制症状や常同行動が顕著なために、日常生活動作が全て介助というレベルの方々や易怒・興奮性が強く介護抵抗があるレベルの方が多いのですが、これらの症状に対してメマンチンは5~10mgで有効のようです。一度中止して再開、効果の再現性を確認しました。超重症レベルFTDのBPSDに対して再現性効果があるため、プラセボ効果の可能性は限りなく低いと推定されます。
臨床診断である、意味性認知症(語義失語)、行動障害型(脱抑制行動・常同行動)というのはある程度有意義だと考えます。ATDと違うポイントとしては場所や環境を問わず、このような病的ニュアンス(外来受診する態度としての違和感)が外来診療で確認できるかが、ポイントだと思います。
脱抑制行動、常同行動、興奮性・易怒性に対して、安易に抗精神病薬を使用することを奨励することについては、個人的には反対です。以前のブログにも書きましたが、理由は少量でも厄介で危険な副作用が起こりうる事です。特に少量でも長期間(1年以上)継続された場合はかなりの確率で副作用が起こります。コリンエステラーゼ阻害薬と併用した場合はさらに高率になると推定されます。多くは姿勢異常、不随意運動、動作歩行障害、心臓不整脈、精神症状の悪化などです。長期使用によって耐性化もしやすく、効果が減弱しやすいのも問題です。開業して2年以上、認知症に対していくつかの抗精神病薬を試してきましたが、この薬はコリンエステラーゼ阻害薬同様、安心して使える薬ではないという事を再確認しました。クエチアピンが最も有害事象が少なかったという印象ですが、その他の薬剤は長期使用(屯用使用ではなく継続使用)で何らかの有害事象や奇異反応(精神症状の悪化)などで脱落しました。高齢のフレイル的な女性においてはクエチアピンに対しても忍容性がないケースもありました。まだ医者として駆け出しの時期に、ハロペリドールやクロールプロマジンによる悪性症候群を多数診てきましたし、今でも前医の安易な抗精神病薬処方による被害者、姿勢異常、不随意運動、動作障害などで悲惨な状態に陥っている方々をフォローしていますが、このような悲惨な状態を診るたびに怒りがこみ上げてきます。
80歳以上の認知症では、FTDに病態の類似したAGD(グレイン、嗜銀顆粒球性認知症)が半数近くにみられます。通常はこれらの症例には、ガランタミンまたはメマンチンをまず使用することからスタートして、効果不十分の場合はチアプリドを処方しています。チアプリドでは用量・使用期間で軽度のパーキンソニズムが時にみられるケースがありますが、それほど深刻な有害事象は少なく、早期の減量・中止などの対応で回避できます。悪性症候群の事例は20年間で1例も診ていません。ただし薬剤の効果には個人差が大きく、制御不可能な症例も少なくないようです。
ただ一つはっきり言えることは、メマンチンは抗精神病薬やコリンエステラーゼ阻害薬よりは安全性が高いという事ですので、年齢を問わず行動心理症状に対しては、まず最初に試すべき薬剤だと思います。ただし、PDD/DLBに対しては、嗜眠・傾眠性が強まってしまう症例があるので注意が必要です。


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by shinyokohama-fc | 2016-12-20 19:03 | 治療

横浜認知症セミナー/平川先生の講演

一昨日、12月14日水曜日に、新横浜駅前の新横浜グレイスホテルにおいて、「横浜認知症セミナー」が実施されました。「認知症診断のポイントと治療のコツ」というタイトルで、誠弘会池袋病院の副院長、脳神経外科医の平川亘先生の特別講演がありました。座長は済生会横浜市東部病院の神経内科部長の後藤先生が務められました。
平川先生は、病院で脳神経外科の救急医療・入院管理などの業務をこなしながら、外来で莫大な症例数の認知症患者を20年前から診療してきたDrです。元々高次脳機能学を専門にされていたので、認知症の診療には抵抗はなかったのかもしれませんが、コリンエステラーゼ阻害薬の3種類の薬剤を様々な用量で様々なタイプの認知症患者に試されて、その経験を統計処理しておられます。いわば単独で大規模臨床試験をしているようなものなので、その仕事ぶりには非常に驚かされます。単発の症例で薬物治療がまぐれ当たりで効いたという話ではないので、非常に説得力があります。この大規模臨床試験をベースにした講演を首都圏各地で行っていて、新横浜では10月15日に続いての講演でした。平川先生は私がいつもブログで書いている、コリンエステラーゼ阻害薬の危険性を誰よりも熟知されているので、コリンエステラーゼ阻害薬の少量投与を昔から試しておられます。一番驚いたのは、リバスチグミン4.5mgを1/4にカットして1.125mgで使用するというものです。初めに聞いたときは???と思いましたが、実際に重度の認知症の高齢者でアパシーが強く、食事を食べない人にリバスグミン1.125mgで試してみると、確かに食事を食べるようになったのです。平川先生のこの薬の使い方としては、記憶を良くする目的でも進行を遅らせる目的でもなく、今もっとも困っている症状を改善するという事に主眼を置いています。講演では「認知症は治らないが、元気で機嫌よくいてくれたらいい」という言葉で結んでいます。
私は今年の3月の「認知症治療研究会」で開演前に40分ほど話し込んだのが平川先生との初めての対談でした。それ以後、平川先生の臨床医としての姿勢や薬物療法の理念に感銘を受けて、意気投合しました。今年も様々な講演会の情報交換会やメールなどで交流を重ねさせていただきました。10月15日の新横浜の講演会もお願いすると快く引き受けていただきました。「今の認知症の薬物治療はおかしい」と言っておられます。初めて講演を聞いた医者はほぼ全員「衝撃を受けた」「価値観が変わった」と口にします。
認知症を含めた神経変性疾患を本当の意味で「治す」治療は存在しませんし、現存の薬物治療でやれることも期間限定の「対症療法」に限られています。それを認めたうえで、私は薬物治療の強制的な推進は好ましくないと思っています。例えば「意味性認知症/前頭側頭型認知症」という疾患では、ドネぺジル(保険適用外)の薬剤を3~5年内服していた患者を4~5名診ましたが、全例で常同行動や反響言語、脱抑制行動が顕著に重症化していました。おそらくリバスチグミンなど他の薬剤でも同じ結果が起こったと推定されます。つまりこのタイプにはコリンエステラーゼ阻害薬を使用してはいけないのです。「認知症であれば、誰でも彼でも同じような標準量のコリンエステラーゼ阻害薬を処方してればいい」と考えて診療にあたっている専門医が多いという現実があります。コリンエステラーゼ阻害薬の3種類が全く違う性質があるという事実が知られていないようです。


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by shinyokohama-fc | 2016-12-16 12:32 | 治療

コリンエステラーゼ阻害薬の大規模副作用分析

原著論文; kroger E,et al.Ann Pharmacother. 2015; 49: 1197-1206
すでに1年前の報告ですが、なぜかどこにも取り上げられす、アナウンスされなかったのは何故でしょうか?
カナダのラバル大学のKrogerらはWHO国際医薬品モニタリングにおけるコリンエステラーゼ阻害薬関連の副作用を分析したそうです。「フレイル患者や多剤併用薬使用患者の場合は、コリンエステラーゼ阻害薬を開始する前に副作用の可能性について検討する必要がある」と結論つけています。
1998年~2013年まで世界中から報告されたすべてのコリンエステラーゼ阻害薬(ドネぺジル、リバスチグミン、ガランタミン)の関連する副作用に関して分析しました。主な結果は以下の通りです。
58か国から計18,955件の報告、男性40%女性60%、平均年齢77.4歳。欧州47.6% 北米40.4%
ドネぺジルとリバスチグミンがそれぞれ(それぞれ41.4%)、ガランタミンは17.2%
副作用の内訳は精神神経系障害31.4%が最多で、胃腸障害15.9%、全身障害11.9%、心血管障害11.7%
2006~2013年の報告はより重篤な副作用が多かったようです。
精神神経系障害34%が最多で、全身障害14.0%、心血管系障害12.1%、胃腸障害11.6%
死亡例は全体の2.3%
以上が真実だとすれば、コリンエステラーゼ阻害薬は、抗精神病薬並みのハイリスクな薬剤だということになりますし、抗精神病薬と併用すれば、精神障害、心血管障害が起こる確率が非常に高いと推定されます。
私自身が実臨床で実感していた副作用がこれで納得できました。75歳の高齢者になれば、アルツハイマー型に混合して他の疾患も混在してくるため、特にPDD/DLB混合型などに関してはこれ以上に副作用率が上がると推定されます。PDD/DLBを対象にしたコリンエステラーゼ阻害薬の副作用の実態もぜひ知りたいものです。
老年系・神経系の各学会や高名な専門医が、その安全性について検証することなく、やみくもにコリンエステラーゼ阻害剤を推奨するという理由は何でしょうか?よく考える必要があります。安全性という観点から考えれば、コリンエステラーゼ阻害薬の少量投与以外に、メマンチンの単独使用という選択枝も推奨され、再評価されるべきではないでしょうか?安全性を第一に考えれば明らかに今の抗認知症薬の使い方はおかしいと思われます。


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by shinyokohama-fc | 2016-12-12 19:16 | 治療

ドパミントランスポーターシンチグラフィー(ダットスキャン)の意義

ダットスキャンはパーキンソン病(PD)、レビー小体型認知症(DLB)の診断目的で現在は保険適応になっている検査です。PD,DLBとそれ以外を鑑別する目的とされてます。McKeithらが作成したDLBの診断基準では支持項目になっているようです。しかし最近わが国では、幻覚(幻視・幻聴)がある高齢者は全部DLBと診断しようという動きがあるようです。つまり「高齢者の幻覚=DLB」というのが、認知症専門医の共通認識のようです。
私は神経内科医ですが、パーキンソニズムが確認できる認知症を伴うパーキンソン病(PDD)という臨床像というのは理解できるのですが、パーキンソニズムを伴わないDLBという臨床像がよくわかりません。前医(認知症専門医)では幻覚があればDLBにされているからです。しかし実際に私の診断では薬剤性のせん妄が最も多いようです。比較的多いのは泌尿器系の過活動膀胱に使用される抗コリン剤です。抗生物質や抗インフルエンザ剤の内服は1週間以内ですが、一時的に幻覚が出る場合が多いようです。より深刻なのは、オピオイド系の鎮痛薬(トラマドール)単独、あるいは神経系鎮痛薬(プレガバリン、デュロキセチン)との併用で長期に内服したケースです。さらにパーキンソン病の治療薬の過剰投与でも、幻覚は容易に出現します。私が診ているPDの患者さんでも、レボドパ/ベンゼラシド150mg+セレギリン5mgにトリへキシフェニジル2mgを追加した70歳女性のケースや、レボドパ/カルビドパ300mg+ロピニロール8mg増量した73歳男性のケースは、ごく軽度ですが、幻覚を訴えました。PDの患者は元々ドパミン作動性薬剤によってドパミン受容体を刺激しているため、受容体の過敏性があり、幻覚が出やすいようです。他の神経内科医は「幻覚がでたらDLB化だ」と早計に誤診して、ドパミン作動薬の見直し減量などをまったく検討せずに、コリンエステラーゼ阻害薬(ドネぺジルがほとんど)を安易に処方したがる傾向にあります。日本神経学会の作成しているガイドラインにも大いに問題があると思います。これを「薬剤カスケード」「ポリファーマシー」と言います。これまで、この処方パターンで病状がよくなったという声をほとんど聞いたことがない。高額な薬剤を過剰に処方しても患者の病状がよくならなければ、それは「医療費(薬剤)のムダ」に他ならないのです。
ダットスキャンという検査は、脳内の黒質から線条体に向かう神経経路(ドパミン神経)の変性・脱落の程度を評価する検査です。著しくドパミンの取り込みが欠乏している状況は、PDD/DLB,PSP,CBDでみられ、左右差のある軽度~中等度のドパミン取り込み欠乏はPDでみられます。たしかにPDD/DLB,PSP,CBDの鑑別診断には役に立たないので、価値がないのでは?という医者もいます。しかし私はこれらを「線条体ドパミン高度欠乏症候群」として一括した症候群として捉えていいのではないかと考えます。現状では脳内ドパミンニューロンの状況、病気の重症度を反映できる検査は他には存在しません。MIBG心筋シンチグラフィーは脳ではなく、あくまで心臓における自律神経の状態を診ているものです。自律神経不全はPD,PDD/DLBの症例によって差異が大きいと思います。
「線条体ドパミン高度欠乏症候群」では、ドパミンニューロンの変性・脱落が高度ですので、これらに共通しているのはドパミンやアセチルコリンに作動する薬剤がごく少量でも有害反応が出てしまうという事です。PSP、CBDに至っては効果も期待できないので、有害事象で病状が悪化するだけのケースが多いです。レボドパ少量でも眠気や幻覚が出たり、コリンエステラーゼ阻害薬少量でも、首曲がりや腰曲がりなどの姿勢異常が出てしまうのです。ドパミン高度欠乏(枯渇状態)を証明する検査として価値が大きいと考えています。
他には心因性パーキンソニズム、アルツハイマーの非典型型、ピック系(意味性認知症など)の除外診断をするのに必要だと考えています。明らかに臨床的にドパミン欠乏には見えないのに、「幻覚があるだけでDLBだ」と誤診されるケースが後を絶たないからです。「前医の診断を否定するための検査」として使うことが少なくないのです。幻覚の原因を臨床的に正確に評価できず、安易に「DLBだ」としてしまう臨床医があまりにも多すぎるからです。臨床医として、あまりにも短絡的でステレオタイプ的な思考回路としか言いようがないです。


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by shinyokohama-fc | 2016-12-01 19:07 | 治療

65歳。ガランタミン4+4でも心停止寸前!

これから紹介する症例は、当院へ受診する前のイベントですが、正直言って衝撃的でした。コリンエステラーゼ阻害薬においては他の薬剤よりもアセチルコリン賦活作用が1/8~1/10とも言われている、ガランタミン。しかも4+4mgでの少量での使用。しかも65歳の症例です。
約1年前からカギを無くすなどのエピソードがみられ、今年から病院のメンタル科に通院。意図は不明だが、通常量よりも少ない、4+4mgで処方継続されていました。独居だったので、日常の状況が不明でしたが、1~2か月前から長女宅で同居するようになってから、食思不振、倦怠感がみられ、嘔吐~意識消失を3回繰り返したとのことでした。3回目の救急搬送で、薬剤性(ガランタミンによる)QT延長症候群との診断名でした。忙しいさなかに救急担当医によってメンタル科宛てに書かれた情報提供書の要約を以下に示します。
●月●日●時ごろ、外出先で椅子に座っていたところ、突然嘔吐して意識消失(5分前後)し、救急要請。
救急隊到着時は、意識レベル1-10、脈拍40/分、血圧測定困難、SpO289%、呼吸数18/分、体温36.0℃
病院到着時は、意識レベル1-10、心拍数47/分、血圧 101/61(測定可能)
心電図にてQTc 0.567!! 血液検査で、低カリウム血症(2.8mEq/l)を認めました。
2回目の搬送時に循環器科で精密検査を実施、心臓カテーテル検査・心臓エコー・ホルター心電図を実施しているが、器質的な心臓疾患は確認できませんでした。
ガランタミンによるTorsade de pointes(Tdp)疑いとの事でした。意識消失時にECGが記録できていれば、おそらく
Tdpに特徴的な波形が確認できたかもしれませんが、実際は入院中にイベントが起こらないと難しいでしょう。
この症例においては、このイベント後にガランタミンは中止されて、2週間後に当院を初診されましたので、ECGを実施したところ、QTcは0.471に戻っていました。次回再検査すれば0.45以下になってるかもしれません。
ガランタミンの場合は、ドネぺジルよりも薬剤半減期がかなり短いのが、不幸中の幸いになります。リバスチグミン場合は貼付剤なので、剥がせば薬剤の影響はなくなると言われています。
高齢者でTdpを確認した場合は、房室ブロック、洞不全症候群、高度徐脈、低カリウム血症、QT延長をきたす薬剤などの有無を確認する事が必要とされています。
心筋細胞のイオンチャンネルに関連した遺伝子変異が、QT延長症候群の60~70%に同定されます。カリウムチャネル遺伝子変異の場合は、チャネル機能低下により再分極に時間がかかりすぎることが原因と言われています。
私個人の経験で言うと、ChEI内服中の外来受診時のECGにおいて、房室ブロック、QTcの延長、高度徐脈、洞不全などを確認した事がこの2年で10件ほどあり、慌ててChEIを中止しました。リバスチグミン低用量でも起こった事例がありましたが、多くは通常用量だったと思います。本来なら血液検査で電解質測定も実施すべきだと思います。
このような心室性不整脈というリスクを冒してまで、ChEIを処方すべき症例なのか?ChEIを処方することによって患者側にデメリットはないのか?メリットは得られるのか?処方する前に塾考する必要があります。
ちなみにしつこいようですが、抗精神病薬との併用はリスクを何倍も引き上げるということをお忘れなく!



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by shinyokohama-fc | 2016-11-21 18:42 | 治療

コリンエステラーゼ阻害薬は安全に使用できるのか?

この2年間の外来における臨床事例において、あまりにも多くのコリンエステラーゼ阻害薬による有害事象を経験しました。この薬の使い方は本当に難しいと痛感させられました。私が出した結論は以下のとおりです。
1) 不整脈(QT延長症候群・高度徐脈)
ともに心停止につながる危険な不整脈である。80歳以上の超高齢者、抗精神病薬との併用は当然リスクが高まる
使用前に心電図を必ずとり、QTc 0.47以上の事例では使用を控える。
家庭血圧で毎日脈拍を記録して、40/分以下の高度徐脈にならないか確認する(徐脈化があれば直ちに中止)。初診から2週間後に再診が望ましい。
2) 姿勢異常(首下がり・ピサ徴候(体幹ジストニア)・腰折れ)・動作歩行障害の悪化
パーキンソニズムを少しでも確認できる症例、罹病期間長期・重症・80歳以上の超高齢者など線条体ドパミン高度欠乏が疑われる事例においてよくみられる。
パーキンソニズムがヤール2度以上の症例、ドパミントランスポーターシンチグラフィ(ダットスキャン)において線条体のドパミン取り込みが低下している症例(パーキンソン型認知症、大脳皮質基底核変性症)においては、特にアセチルコリン賦活作用の強力なドネぺジルとリバスチグミンを使用する場合はごく少量で
3) 易怒・興奮・常同行動悪化
NPIスコアにおいて、興奮性・脱抑制・易怒性・異常行動が確認できる症例(つまり前頭側頭型タイプ、グレインを含む)へのドネぺジルとリバスチグミンを使用する場合はごく少量で
4) 食欲低下・体重減少・嘔吐
超高齢者で特に食欲低下・低体重・フレイルの症例でのガランタミン、ドネぺジルの使用を控える。もし使用する場合は、週1回の体重測定を行う。
5) 頻尿・尿失禁
使用前後で変化がないか、十分に問診にて確認する
私の結論としては
1)ドパミン神経の変性・脱落が疑われる症例には、ガランタミンを1stで使用。
2)ドパミン神経の変性・脱落が疑われない症例には、リバスチグミンを1stで使用。
3)脱抑制の強い症例にはガランタミンを1stで使用。
4)80歳以上にはかなり慎重にモニタリングしながら使用。ガランタミン>リバスチグミン
5)70歳以下で、BPSDも動作歩行障害もみられない純性アルツハイマーにはリバスチグミン1st、ドネぺジル2nd
リバスチグミンやドネぺジルは前頭葉を賦活するので、歩行障害系に使えとか、パーキンソン型認知症に使えという意見があるようですが、ドパミン系障害がある症例においては、強いアセチルコリン賦活作用が、相対的ドパミン欠乏→姿勢異常・動作歩行の悪化を招くことが非常に多いことがわかったので、個人的には推奨できません。
パーキンソン治療薬・ドパミン作動薬であるレボドパ、ドパミンアゴニスト、セレギリンなどが過剰投与されていて幻覚・妄想が誘発されている場合は、例外的だと思いますが、そもそも幻覚・妄想が出るほどドパミン作動薬が過剰投与されている方が問題だろうと思うので、安易にアセチルコリンエステラーゼ阻害薬を追加する前に、まずドパミン作動薬(特にドパミンアゴニスト)を可能な限り減薬するべきだと思います。ドパミン作動薬の過剰投与によってせん妄状態に至っているのを「認知症だ!ChEIだ!」と短絡的・即物的に処方されている事例があまりにも多いようですが、ドパミン作動薬を整理して、せん妄を解いた後にスケールを行うと26~30点だったという事例ばかりでした。いかに専門医を名乗るDrが薬物作用というものに無理解かというのがよくわかります。
コリンエステラーゼ阻害薬は、50~70歳で発症する純粋型アルツハイマーにおいては、通常規定された用量どおりで使用することが安全に可能だと思いますが、中には例外的な症例もあるので、最低でも心電図測定・血圧・脈拍測定などのモニタリングくらいはするべきです。無駄な救急医療費は使わせないように。



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by shinyokohama-fc | 2016-11-21 17:10 | 治療

コリンエステラーゼ阻害薬による姿勢異常の悪化~歩行困難

最近、コリンエステラーゼ阻害薬・リバスチグミン貼付薬の少量投与でも、短期間で姿勢異常が急激に悪化する症例が続発していて、非常に驚かされます。これらの症例に共通しているのは、「レボドパを使用しなかった」という事ですが、それぞれパーキンソン病+認知症(PDD)と意味性認知症ですが、いずれも重症ケースでした。簡易スケールテストができないような重症ケースでは、ドパミン・アセチルコリン・セロトニンなど各神経細胞はいずれも変性・脱落が著しくなっていると推定されます。それぞれの神経伝達物質は枯渇状態になっているため、外的に1つの神経伝達物質を増やそうとすると相対的に他の神経伝達物質が減少して、ドパミン欠乏・アセチルコリン欠乏・セロトニン欠乏・ノルアドレナリン欠乏などによる有害事象が生じるようです。
76歳女性、PDDかCBS 前傾で右へ傾斜した姿勢異常がありましたが、数mなら歩行可能でした。メマンチン20mgを内服していたが、嗜眠が強かったため中止、代わりにリバスチグミン4.5mgを開始しました。3週間後、意思疎通や反応は良くなったようですが、前傾・右傾の姿勢異常がさらに悪化し、首下がりや腰曲がりも出現してきて、介助でも姿勢が安定せず、歩行困難になってしまいました。
65歳女性 FTD/SD 元々動作歩行・姿勢には問題ないが、重度失語・反響常同言語、脱抑制が著明で、診察室の椅子に座らず、座ってもすぐに背を向けるほどでした。前医のドネぺジル10mgメマンチン20mgを中止して2か月経過していましたが、リバスチグミン2.25mgを開始しました。開始して1週間もたたないうちに、体幹が右へ傾き始め失禁が増えたとの報告がありました。
69歳女性 CBS/FTD 歩行失行があるため歩行は拙劣、診察中は礼節は保持され挨拶なども可能ですが、自宅やデイケアでは不穏・介護抵抗など脱抑制が強い場合があるそうです。リバスチグミン2.25mgを開始しました。開始して1週間もたたないうちに、左へ体幹傾斜したと報告がありました。
これまでドネぺジルによる体幹傾斜/ピサ徴候の悪化の報告は数多くありましたが、リバスチグミン少量でもこのような症例が続出したことにまず驚きました。今回の症例ではいずれもレボドパを含めてドパミン作動性薬剤は使用していなかった事が誘因かもしれません。つまりレボドパ/カルビドパを100~150mgでも使用していればこのような姿勢異常の悪化は出現していなかったかもしれません。同じアセチルコリンエステラーゼ阻害薬でもガランタミンにおいては、4+4mg~8+8mgでもこのような運動障害の悪化という事例は1度もみられていないようです。
リバスチグミンは海外ではPDDに適応があると言われていますが、PDDの場合は通常レボドパがすでに使用されていることが多いため、このような問題が表面化しにくいのかもしれません。PDDでリバスチグミンやドネぺジルを使用する場合は少量投与で、しかも少量のレボドパを必ず併用するという条件が必要なのかもしれません。ただしPDDの症例をいくつか診ていると、それで上手くいく症例もあるが、上手くいかない症例も少なくないという印象です。外的薬剤よる神経伝達物質の調整には限界がある事を思い知らされる毎日です。
似たような有害事象は、パーキンソン治療薬である、ドパミンアゴニストで見られることがあるようです。つい最近も前医でブロモクリプチン単剤で投与されていた、80歳女性のPDDの症例がやはり幻覚・妄想・せん妄の悪化とともに首下がり姿勢となって受診されました。
脳内の神経伝達物質のバランスを評価することは不可能であるが故に、たとえ慎重に少量で薬剤を投与していても、想定外の有害事象が続々と起こりうる。それが薬物治療の限界であり、現実なのです。
おそらく数えきれないほどの神経変性疾患の症例が、このような神経系薬剤の有害事象によって動けていた(歩けていた)人が動けなく(歩けなく)されているのかと思うと、本当にやりきれない気持ちです。


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by shinyokohama-fc | 2016-11-18 18:30 | 治療

薬剤カスケードという問題

最近、特に高齢者における多剤併用処方(ポリファーマシー)が問題になっています。中でも認知症、精神病、パーキンソン病とその関連疾患の75歳以上の薬手帳を拝見しますと、驚愕レベルの神経系薬剤・劇薬・向精神薬のポリファーマシーが当たり前のように行われている現状があるようです。ホームページのトップでその一部を紹介しておりますが、「薬剤カスケード」という行為が、精神科や神経内科などいわゆる「神経の専門医」と言われるDrに漫然と見られることが問題です。「週刊東洋経済」の9/24の58~59ページにその典型的な事例を掲載しました。この症例は「薬剤カスケード」の連鎖によって、仕事ができなくなる所まで追い込まれた最も悲惨な事例でした。
「薬剤カスケード」とは、ある薬で副作用が出て、その副作用の症状を抑えるために薬剤を新たに追加処方する行為の事です。中には推奨されるカスケードもありますが、処方している医者が、薬の副作用と気がついていなくて、どんどん薬が連鎖のごとく投与されるケースがある。抗精神病薬を投与して、薬剤性パーキンソニズムが出て、抗アセチルコリン剤が処方されて、認知機能が低下したため、ドネぺジルが処方されるという、明らかに処方医が無自覚の薬剤カスケードが多いようです。私が減薬主義、薬を1つでも減らすことを目指す方針を掲げている理由としては、まさにこの「薬剤カスケード」にならないためです。前医でポリファーマシーが行われている症例に関しては患者が依存性になっていて、減薬が難しい症例が少なくないです。そういう症例はだいたい肺炎とか脳梗塞とかで入院してしまう症例が多く、いわゆる「入院予備軍」と呼んでも過言ではないようです。高齢者がベンゾジアゼピン系と公精神病薬を併用されていて、誤嚥性肺炎にならないほうが不思議です。ここに抗認知症薬・コリンエステラーゼ阻害薬が追加されてしまえば、さらに誤嚥性肺炎のリスクは高まるでしょう。つまり神経系薬剤のカスケードによって、医療費を浪費している。それがこの国の高齢者医療の現実ではないかと思います。


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by shinyokohama-fc | 2016-11-10 18:55 | 治療
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