フェイクDLB!薬で悪化してしまうパーキンソン病の非運動症状(2)幻覚・妄想・精神錯乱


「パーキンソン病(PD)という診断であったはずが、薬が増やされて、種類が増えることによって、いつのまにか「レビー小体型認知症(DLB)」
に診断が変更されていないでしょうか?
ここ最近、そのようなおかしな事例が増えているようです。


近年実施された、国内での大規模臨床試験では、パーキンソン病(PD)の精神症状は20.7%。つまり5人に1人とされています。小生が外来で診ている印象よりかなり少ないようですが、おそらく精神症状(幻覚・妄想など)が出たら、レビー小体型認知症(DLB)に診断変更されてしまっているのでしょう。まったくもっておかしな話です。

このような「薬剤誘発性のフェイクDLB」を小生の外来ではよくみかけます
フェイクDLBの実態はほぼ全例が見事に「薬剤せん妄」です
原因になる薬剤を「排除」していけば、当然元のパーキンソン病に戻ります

本来、認知症ではないのに、認知症にされてしまう。
本来、認知症ではないのに、なぜか認知症の治療薬を飲まされている
こんなおかしなことが普通に行われています。

1年前に有名大学病院から転医してきた、患者さん本人が小生にこう言いました。発症5~6年でパーキンソン病ヤール2度、69歳の男性です。
「なぜ自分は認知症でないのに、認知症の薬を飲まなければならないのか?」

その方は、大学病院の外来からメマンチン20mgが処方されていました。
しかもレボドパ配合剤も1日500mgも服用していました。
奥様から見た印象では以前とはまったく別人のようで、ぼーっとしていて、心ここにあらずで、何もしようとしない」
レボドパ高用量とメマンチンを併用してたら、そりゃーそうなるでしょう。
典型的な「薬剤性せん妄」です。

「ようやく会話が通じるようになって、以前の元気な状態に戻った」
今では遠くから電車を乗り継いで1人で受診できる人です。
レボドパを減薬してからパーキンソン病の手のふるえはやや目立つようになりましたが、減薬しても歩行は普通の速さで歩けるようです。

この方は1年前にプラミペキソール(ドパミン・アゴニスト)の徐放剤を処方、増量されてからおかしくなったようです。

もともと、レム睡眠行動異常(RBD)があったのですが、この薬が増量されてから、夜間にひどい幻覚と被害妄想になり、精神錯乱状態に至ったそうです。そこで「レビー小体型認知症(DLB)」だと診断されていたようです。
ドパミン・アゴニストを服用して幻覚・妄想が出れば全員DLB???なのでしょうか?小生にはまったくわけがわかりません。

さらにタチが悪いことに、薬でフェイクDLBと診断されてしまうと、有無を言わさず、抗認知症薬(アルツハイマーの治療薬?)が追加されてしまう。
多くの場合は、ドネぺジルですが、この方の場合メマンチンでした

本来アルツハイマーでもなんでもない、薬剤せん妄ケースに、こういう薬を追加(アドオン)するとどうなるでしょうか?
薬剤せん妄が悪化して混迷状態になるのは自明の理です。

フェイクDLB、つまり幻覚・妄想・精神錯乱が誘発されやすい薬は、前々回のブログで、睡眠障害を悪化させる薬のラインナップと全く同じです。

1)ドパミン・アゴニスト(増量後)
プラミペキソール、ロピニロール、ロチゴチンなど
2)レボドパ配合剤(高用量で)
レボドパ/カルビドパ・ベンセラシド
3)睡眠導入剤
特にゾルピデムベンゾジアゼピン系(エチゾラム、トリアゾラムなど)
4)ゾニサミド
5)セレギリン
6)抗コリン剤(トリへキシフェニジル)


付け加えると4)5)は単独使用ではそれほど精神症状を誘発しません。1)ドパミン・アゴニストか2)レボドパとの併用で誘発します。
ドパミン・アゴニストとセレギリンを併用しても、幻覚・妄想は誘発されず
むしろアパシー(無気力)が良くなったケースもあります。

そもそも「レビー小体型認知症(DLB)」っていったい何なのでしょうか?
脳内のレビー小体が証明されたわけでもないのに、なぜそう言えるのか?

診断基準が臨床症状の組み合わせ的で医者や患者の思い込み、主観的要素に左右される操作的診断手法である以上、薬剤せん妄を除外してDLB と診断することは至難の技でしょう。

多剤併用(ポリファーマシー)と薬剤カスケードの極致のような症例が多いという現実を考えますと、専門医のご都合によって、多くのパーキンソン病(PD)は全員DLBにされてしまっているのでしょうね。

教科書にはパーキンソン病が発症して15年以上たって、幻覚・妄想など精神症状が現れてくると書いてあります
しかし、それは治療薬の過剰投与による「薬剤性せん妄」の要素が除外されているわけではない。

ある医学雑誌によると現在のように治療薬が多種多様に使われる以前は、幻覚・妄想のケースはほとんどなかったそうです。
私も20年前(レボドパ配合剤とアマンタジンしか治療薬がなかった時代)にはほとんど見なかったという印象です。

薬剤せん妄の多くは見逃されています。
たった数分間しか患者を見ない外来医には到底わかりません
患者の周りの人間が気が付いて、一刻も早くせん妄を起こしている薬をやめさせるしか方法はないと思います。

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by shinyokohama-fc | 2018-01-22 16:51
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新横浜フォレストクリニック(横浜市港北区・新横浜駅)の院長が日々綴る様々な情報を発信するブログです


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