レビー診断病とパーキンソン・認知症複合(PDC)

先日、神経難病の初診患者として、そのFTDPらしき臨床像の方が来ました。67歳の女性でした。

2年前に全く同じような臨床像の70代女性の方を1年くらい診ていたことがあって、その方と全く似ていました。専門医の診断はレビー(DLB)だったそうです。

遺伝子変異によって脳内にタウタンパク質の異常集積が原因でおこる、家族性前頭側頭型認知症・パーキンソ二ズム(FTDP)という病気があります。
前頭葉解放症状、行動の脱抑制症状を伴う特異的な認知症とパーキンソン病のような動作歩行の運動症状が同時に起こる複雑な臨床像の病気です。

著しい行動の脱抑制によって、施設から何度も脱走を試みたり、部屋の窓から私物を放り投げる、猛烈な速さで食事をするなど、異常な行動が目立つ一方で、疲労によって動作が極端に遅くなり、姿勢が傾いて歩行が難しくなったりするという奇妙な症状があり、最終的には急速に病気が進行して、数か月のうちに寝たきり状態に至りました。


FTDPに関しては、臨床研究によると、大脳皮質全般においてアセチルコリン神経細胞とドパミン神経細胞が極度に欠乏しているようで、前のブログで示したPDD/DLB-2やPSP以上に重症です。おそらく他の神経伝達物質(NMT)も極度に欠乏していると推定されます。

2年前に診た70代女性も、コリンエステラーゼ阻害薬(脳内のアセチルコリンを増やす薬)、レボドパ配合剤(脳内のドパミンを増やす薬)、抗精神病薬(脳内のドパミンを減らす薬)、いずれの薬を服用しても、わずかな量でも副作用が現れてしまうという状況でしたので、結局どの薬も使えなかったという記憶がありますが、このことがどんな薬を少量で使っても副作用が出る理由なのだと思います。


パーキンソンの運動症状があれば、レビー(DLB)だという操作的な診断の限界を痛感させられた、今回の症例でした。
現在の核医学検査や診察では、脳内にシヌクレイン(レビー小体)がたまっているかなどまったく分かるはずもないのに、専門医が、レビーだとか適当な診断名をつけて、適当な薬を処方するというきわめて滑稽なことが繰り返されているわけです。今回の事例もそれと同じです。

この症例でこれまで使われた薬を以下に示します。
ドネぺジル、リバスチグミン、メマンチン、ガランタミン、セルトラリン(SSRI)、クエチアピン、抑肝散、ロチゴチン、クロナゼパム
いずれも副作用で脱落したようです。この時点でレビーではないでしょう。

結局現在も継続して使っているのは
レボドパ・ベンゼラシド配合剤(少量)、トラゾドン、リチウム
残った薬を見た限りでは、前頭側頭型変性症ではないかと思われます。診察した印象でも、多幸的で病識が乏しく、レビーらしさ?は全く感じられませんでした。

パーキンソン・認知症複合 (PDC)という言葉は臨床像を現わす病名で、紀伊半島の牟婁地方で多発した風土病も、Kii-PDCと呼ばれています。PDCの中にはさまざまな病理基盤の病気が含まれると思います。

英語でDementiaという言葉が「認知症」と呼ばれることにはかなり違和感があるものの、安易にレビーとかいう診断名をつけるよりはマシではないかと思います。

パーキンソン・認知症複合はPDCパーキンソン・精神病複合はPPCパーキンソン・前頭葉解放症状複合はPFCという命名で良いのではないかと私は思います。



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by shinyokohama-fc | 2018-01-06 12:47 | 医療
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