パーキンソン病のふるえ(振戦)、薬物治療の限界と新しい治療

同じ県下にある、湘南藤沢徳洲会病院において、パーキンソン病のふるえに対する超音波治療の臨床研究が始まっているようです。昨年11月にMRIガイド下集束超音波治療(MRgFUS)の装置を導入して、今年から実用開始して、振戦優位型パーキンソン病の症例、3例の治療に成功したとの事です。
ヘルメット型超音波装置を頭に装着し、2時間程度かけて標的部位を確認してから10回の超音波の照射を実施したところ、ふるえ(振戦)と筋肉のこわばり(筋固縮)が軽減効果が確認されたようです。
振戦優位型パーキンソン病に関しては、当院でも何例か症例を診ていますが、ふるえ(振戦)+筋肉のこわばり(筋固縮)という組み合わせです。振戦優位型は動作の遅さや姿勢不安定による歩行障害はほとんど目立たないケースがほとんどです。発症してから数年経過しても、1人で歩いて通院できる方が多く、歩行には支障はほとんどなく転倒などはありません。しかし、日中通してふるえが非常に強く、ストレスがあるようです。
一般的に投薬による制御が難しい事が多く、最も良く効くと言われる、プラミペキソール(ビ・シフロール/ミラペックス)などのドパミンアゴニストは薬剤による精神系の副作用が問題になりますし、レボドパ配合剤(メネシットやマドパーなど)であればかなり増量しないと効果が得られないです。レボドパは早期から増量すると効果の減弱による、オフ現象やジスキネジアが出現しやすくなると報告されています。
半年前から当院で定期受診されている、69歳の男性の振戦優位型パーキンソン病の方がいます。
最初に通院された病院の処方では、プラミペキソールの増量でひどい薬剤性せん妄、幻覚、被害妄想となり、次に転院された病院の処方では、レボドパ・カルビドパ(メネシット)450mg+エンタカポン300mg+ゾニサミド(エクセグラン)100mg/日でふるえはほぼ完全に止まってました。そのため全くパーキンソン病らしさが感じられませんでした。やはり軽度の薬剤性せん妄のために、ぼーっとして生気がないという印象で、奥さんも通常の会話がまったくできないと嘆いていました。病院への通院が遠方で長時間待機などで丸一日かかるため、通院しやすい小生のクリニックへの転医を希望されました。小生が2~3か月かけて、レボドパ・カルビドパ300mg/日のみまで薬を減量しました。左手優位のやや大きなふるえ(振戦)が静止時と歩行時に目立つようになり、見た目はパーキンソン病らしくなりました。前医投薬の大幅な減量によって、ふるえと筋固縮は目立つようになりましたが、薬剤性せん妄は完全になくなり、表情が生き生きするようになり、会話も普通にできるようになりました。ふるえを薬で無理に抑えようとすると、こうなるという典型的な事例だったと思います。
パーキンソン病のふるえを抑えるための薬を処方され、ふるえは軽減したが、薬剤性せん妄で精神錯乱を起こしていたり、精神活動が著しく低迷しているとすれば、いったい何のための薬物治療なのか?という事になります。
小生もパーキンソン病のふるえを抑えるために薬物治療をしますが、ゾニサミドかトリへキシフェニジル(抗コリン剤)をまずファーストで使い、次にセレギリンを追加し、レボドパやドパミンアゴニストは極力使わないという方法をとっています。ドパミンアゴニストをまずファーストという方法は改められるべきだと考えています。
ベネフィットよりもリスク(精神系副作用)が大きく上回っている、振戦優位型パーキンソン病に対する現状のドパミンアゴニスト中心の薬物治療の弊害の深刻さを考えると、この超音波治療が広く使われるようにと願わずにはいられません。


新横浜フォレストクリニック
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by shinyokohama-fc | 2017-09-12 18:37 | 治療
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