ドパミンアゴニスト徐放剤+ゾ二サミドが高率に精神症状を誘発

これまで当院へ来られるまでに、深刻な精神症状 (現実味を帯びた幻覚、被害妄想など)をきたしていた方々の多くが、内服薬のドパミンアゴニスト徐放剤 (ロピニロール、プラミペキソール)と抗てんかん剤のゾニサミドを服用していました。多くのケースではドパミンアゴニスト徐放剤 (1日1回の服用薬)を増量する段階で出現しているようです。ゾニサミドは1日50~100mg程度のことが多いようです。それぞれの薬の特色については、以前の2つのブログにくわしく書いてありますので、ご参照ください。
おそらくこの2つの薬剤に関しては、手のふるえに対して効果があるという学説や論文などが多くを占めているので、専門医から処方される傾向があるようですが、手のふるえが軽くなる代償として、ひどい精神症状によって当人は精神錯乱状態となり、家族に多大な迷惑をかけているケースが数多くみられます。手のふるえを軽くするための治療としてはあまりにもハイリスクすぎないかと思います。もちろんこの2種類の薬を同時に併用しても、ドパミンアゴニスト徐放剤を増量しても精神症状が現れない幸運な人もいるとは思いますが、精神症状が出てしまう人は本当に深刻です。最近、患者さんのご家族による当院へ来院前の精神錯乱状態に関する詳細な記録を拝読する機会があり、胸につまるものがありました。ドパミンアゴニスト徐放剤とゾニサミドが使われるようになってから、深刻な精神錯乱レベルの副作用の事例が増えてきたのは、間違いないでしょう。以前「麦角系」のドパミンアゴニスト(ブロモクリプチン、カベルゴリン、ぺルゴリド)を主として使っていた時代はこのような深刻な精神症状をきたす事例は経験も見聞もしなかったように思います。また「非麦角系」のドパミンアゴニスト(ロピニロール、プラミペキソール)が登場した後もそれほどでもなかったと思います。やはり内服薬のドパミンアゴニストが速放剤から徐放剤に変更されてからではないかと思います。私が思うに、欧米人と日本人は明らかに体格・体質が違いすぎるので、 製薬会社主導ではない、大規模臨床試験を実施して副作用を再検証する必要があるのではないかと思います。
神経学会のパーキンソン病治療ガイドラインによると、幻覚・妄想の治療アルゴリズムというのがあり、直近に加えた薬物を中止するようにという指針があり、もちろんドパミン・アゴニスト、ゾニサミドも含まれています。
薬によって副作用が出てしまうのは仕方がないにしても、明らかに深刻な薬の副作用が出て、精神錯乱状態になっているのにもかかわらず、減量しない、中止しない、強制的に続行するという外来医の姿勢に問題があります。
患者側には「拒否権」があります。「ドパミン・アゴニスト、ゾニサミドを開始・増量してから、明らかに幻覚・妄想が出現している場合」に関しては、減薬・中止してもらうように申し出るべきでしょう。外来医は診察室のたかだか1~2分のごく短時間の患者さんの姿しか見ていないので、いかに深刻かを実感できない場合が多いようです。
「パーキンソン病」と診断されたはずの患者が、治療薬が開始されてから、幻覚、妄想、精神錯乱状態に至ってしまうと、なぜか途中から「レビー小体型認知症」にされてしまうというパターンがあまりにも多すぎて、失笑を禁じ得ないというのが私の感想です。「レビー小体型認知症」という病名を途中からわざわざ持ち出す真意はいったい何なのか?専門医による「レビー診断病」に決して騙されないようにしましょう。
個人的にはドパミンアゴニストについては、最初から徐放剤を使うべきではなく、まずは速放剤で2~3か月経過をみてから、徐放剤に変更する、安易にゾニサミドを併用しない。というのがおそらく無難な使い方ではないかと思います。そもそもレボドパを3回以上服用する場合は、ドパミンアゴニストも速放剤のまま1日3回で十分ではないでしょうか?わざわざ精神症状の危険をおかしてまで徐放剤を使う意義があるのか?とすら最近は感じています。
欧米人にはそうではない薬でも日本人にとっては超劇薬。そういう事は珍しくないと考えるべきでしょう。
体重80~90kgの60歳の欧米人と体重30~40kgの80歳の日本人に同じ処方をしようとする事が、そもそもおかしなことではないでしょうか?常識的に考えれば、そんな当たり前のことは誰でも理解できるはずです。


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by shinyokohama-fc | 2017-06-12 12:36 | 治療
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