パーキンソン病に処方してはいけない薬、エチゾラム&ゾルピデム

ベンゾジアゼピン系の抗不安薬・睡眠薬、特にエチゾラムは、70歳以上の発症して5年以上経過した、ヤール3度以上のパーキンソン病患者には処方してはいけないと考えます。理由は2つあります。
理由その1、パーキンソン治療薬の効果を妨害することが多い
理由その2、依存性・増量により呼吸抑制、誤嚥による肺炎を誘発しうる
1年前に外来で診ていた患者で、パーキンソン病ヤール3度、72歳男性。発症8年目。レボドパ・カルビドパ300mgとモサプリド15mgを続けていました。
前医で長期にエチゾラムが眠前処方されていて、夜間の唾液~喀痰貯留、呼吸困難があったため、エチゾラムを中止して、非ベンゾジアゼピン系睡眠導入薬に変更したところ、夜間の症状はなくなったようです。
エチゾラムを高齢者になるまで長年処方されている方で、何らかの脳疾患(脳梗塞、脳出血、パーキンソン病など)70~80歳で深刻な誤嚥性肺炎を起こすケースが多いようで、私もこれまで10例前後は経験しています。
それゆえエチゾラムという薬は私は自ら新規処方を開始しない薬です。この薬は筋緊張を緩めるために、パーキンソン病患者にとっては癖になりやすい薬です。ただし薬物依存性が非常に高く、エチゾラム信者になってしまう。最もやめにくい薬です。今年、この薬がようやく処方制限が出ました。今までなぜ放置されてきたのか?と思います。
エチゾラムは飲み始めたら最後、処方し始めたら最後という薬だと言っても過言ではないでしょう。慢性頭痛に筋緊張型頭痛という頭頸部の筋肉の収縮性の頭痛をきたすタイプの頭痛に対しても、安易にエチゾラムを処方する神経内科医がいるようです。海外の常識からすれば考えられないことで、「日本の薬の常識は世界的に非常識」と言えるでしょう。米国では州によっては禁止薬物に指定されている薬が、日本では普通に処方されているというのはどうなのか?と疑問に感じることがしばしばです。
薬物依存を専門に研究している専門家によると、抗不安薬・睡眠薬で問題薬物ベスト6は以下のとおりです。
1) エチゾラム 2) フルニトラゼパム 3) トリアゾラム 4) ゾルピデム 5) べゲタミン (クロールプロマジンとフェノバルビタールの配合剤、特にフェノバルビタールが問題) 6) 二トラゼパム
べゲタミンは特に致死率・死亡率がきわめて高く、自殺企図と肺炎が多いそうです。おそらくクロールプロマジンとフェノバルビタールはどちらも危険な薬ですが、併用というのが神経伝達物質に非常に悪影響を及ぼすのでしょう。
ゾルピデムという薬は、超短時間型の睡眠導入剤で、他のベンゾジアゼピン系睡眠導入剤に比べて、翌朝に持ち越さない、筋弛緩作用が弱く、ふらつきによる転倒イベントが少ないなどの利点が強調されていたため、私も数年前までは処方していました。一時期はこの薬を処方させるためのプロパガンダではないかと思えるくらい、過剰ともいえるベンゾジアゼピン系薬バッシングみたいなムーブメントがあったのを記憶しています。
しかし、この2~3年は、70歳以上のパーキンソン病の患者さんにおいて、他医にてゾルピデムが処方されて、幻覚やせん妄が悪化したり、レム睡眠行動異常が悪化したりという事例が続出しました。これまで他のベンゾジアゼピン系の睡眠薬やゾピクロンではそのような精神症状の副作用は1例もなかったため、非常に驚きました。
パーキンソン病患者の場合は、レム睡眠行動異常が高い確率で併存している、すでにレボドパなどドパミン作動薬を服用している、睡眠覚醒リズムの異常がみられるなど特別な問題があるため、一般よりも幻覚、せん妄などの精神症状が悪化しやすいようです。私がこれまで診てきた、ゾルピデムを服用していた、パーキンソン病患者さんについてはすべての症例でゾルピデムを中止させて、ラメルテオン、少量のプラミペキソール、ゾピクロン、エスゾピクロンなどに変更することによって、精神症状は消失しているようです。


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by shinyokohama-fc | 2017-06-08 18:46 | 治療
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