パーキンソン病の薬物治療におけるEBMの限界

パーキンソン病の薬物治療においては、科学的根拠に基つく医療 (EBM Evidence-Based Medicine) だけで実践するのは困難だと、パーキンソン病のエキスパート専門医が語っていました。私もこの意見にはおおむね賛成です。
日本において、製薬会社や医師が主導でない、バイアスのかかっていない、公正に実施された大規模臨床試験が実施されていないこと、年齢別・パーキンソン病のキャラクター別の薬物治療の検討がまったくなされていないこと、などが理由としてあげられますが、そもそもUPRDSという個人的主観のバイアスがかかるスコアで公正な評価ができるのかという根本的な問題があります。
またパーキンソン病でよく問題になる、レボドパの効果短縮による、ウェアリングオフ現象・オンオフ現象などの対策として、レボドパの服薬回数を増やしたり服薬時間を変更したりすることのメリットや、ドパミン・アゴニストやセレギリンなどによって誘発される精神症状への減薬対応など、パーキンソン病の薬物治療の現場ではごく普通に行われていて、半ば常識にもなっている手法ですら、エビデンスが存在しないというのが現実なのです。
治療薬が3種類以上併用されている治療に関してもエビデンスは存在しない。つまりパーキンソン病の薬物治療の多くの部分は、専門医のそれぞれの経験や通説に基ついて行われているというのが現実ではないかと思います。
高血圧、糖尿病などは数値がすべてでデータ化しやすいので、EBMが重要視されるのは理解できますが、症状の重症度をデータ化しにくい神経疾患の分野に関しては、EBMに当てはめることがそもそも困難であるという事でしょう。むしろ無理矢理、EBM原理主義で治療をしようとすれば、治療窓が極端に狭くなって、何も有効な手段ができなくなってしまうのではないか?これはパーキンソン病だけではなくて、神経変性疾患全般に言えることだと思います。


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by shinyokohama-fc | 2017-05-20 17:04 | 医療
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