コリンエステラーゼ阻害薬の大規模副作用分析

原著論文; kroger E,et al.Ann Pharmacother. 2015; 49: 1197-1206
すでに1年前の報告ですが、なぜかどこにも取り上げられす、アナウンスされなかったのは何故でしょうか?
カナダのラバル大学のKrogerらはWHO国際医薬品モニタリングにおけるコリンエステラーゼ阻害薬関連の副作用を分析したそうです。「フレイル患者や多剤併用薬使用患者の場合は、コリンエステラーゼ阻害薬を開始する前に副作用の可能性について検討する必要がある」と結論つけています。
1998年~2013年まで世界中から報告されたすべてのコリンエステラーゼ阻害薬(ドネぺジル、リバスチグミン、ガランタミン)の関連する副作用に関して分析しました。主な結果は以下の通りです。
58か国から計18,955件の報告、男性40%女性60%、平均年齢77.4歳。欧州47.6% 北米40.4%
ドネぺジルとリバスチグミンがそれぞれ(それぞれ41.4%)、ガランタミンは17.2%
副作用の内訳は精神神経系障害31.4%が最多で、胃腸障害15.9%、全身障害11.9%、心血管障害11.7%
2006~2013年の報告はより重篤な副作用が多かったようです。
精神神経系障害34%が最多で、全身障害14.0%、心血管系障害12.1%、胃腸障害11.6%
死亡例は全体の2.3%
以上が真実だとすれば、コリンエステラーゼ阻害薬は、抗精神病薬並みのハイリスクな薬剤だということになりますし、抗精神病薬と併用すれば、精神障害、心血管障害が起こる確率が非常に高いと推定されます。
私自身が実臨床で実感していた副作用がこれで納得できました。75歳の高齢者になれば、アルツハイマー型に混合して他の疾患も混在してくるため、特にPDD/DLB混合型などに関してはこれ以上に副作用率が上がると推定されます。PDD/DLBを対象にしたコリンエステラーゼ阻害薬の副作用の実態もぜひ知りたいものです。
老年系・神経系の各学会や高名な専門医が、その安全性について検証することなく、やみくもにコリンエステラーゼ阻害剤を推奨するという理由は何でしょうか?よく考える必要があります。安全性という観点から考えれば、コリンエステラーゼ阻害薬の少量投与以外に、メマンチンの単独使用という選択枝も推奨され、再評価されるべきではないでしょうか?安全性を第一に考えれば明らかに今の抗認知症薬の使い方はおかしいと思われます。


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by shinyokohama-fc | 2016-12-12 19:16 | 治療
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