薬剤カスケードという問題

最近、特に高齢者における多剤併用処方(ポリファーマシー)が問題になっています。中でも認知症、精神病、パーキンソン病とその関連疾患の75歳以上の薬手帳を拝見しますと、驚愕レベルの神経系薬剤・劇薬・向精神薬のポリファーマシーが当たり前のように行われている現状があるようです。ホームページのトップでその一部を紹介しておりますが、「薬剤カスケード」という行為が、精神科や神経内科などいわゆる「神経の専門医」と言われるDrに漫然と見られることが問題です。「週刊東洋経済」の9/24の58~59ページにその典型的な事例を掲載しました。この症例は「薬剤カスケード」の連鎖によって、仕事ができなくなる所まで追い込まれた最も悲惨な事例でした。
「薬剤カスケード」とは、ある薬で副作用が出て、その副作用の症状を抑えるために薬剤を新たに追加処方する行為の事です。中には推奨されるカスケードもありますが、処方している医者が、薬の副作用と気がついていなくて、どんどん薬が連鎖のごとく投与されるケースがある。抗精神病薬を投与して、薬剤性パーキンソニズムが出て、抗アセチルコリン剤が処方されて、認知機能が低下したため、ドネぺジルが処方されるという、明らかに処方医が無自覚の薬剤カスケードが多いようです。私が減薬主義、薬を1つでも減らすことを目指す方針を掲げている理由としては、まさにこの「薬剤カスケード」にならないためです。前医でポリファーマシーが行われている症例に関しては患者が依存性になっていて、減薬が難しい症例が少なくないです。そういう症例はだいたい肺炎とか脳梗塞とかで入院してしまう症例が多く、いわゆる「入院予備軍」と呼んでも過言ではないようです。高齢者がベンゾジアゼピン系と公精神病薬を併用されていて、誤嚥性肺炎にならないほうが不思議です。ここに抗認知症薬・コリンエステラーゼ阻害薬が追加されてしまえば、さらに誤嚥性肺炎のリスクは高まるでしょう。つまり神経系薬剤のカスケードによって、医療費を浪費している。それがこの国の高齢者医療の現実ではないかと思います。


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by shinyokohama-fc | 2016-11-10 18:55 | 治療
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