副作用の観点から貼付剤のメリット

脳神経系に作用する薬剤において、貼付剤・経皮吸収タイプの薬剤がここ数年で上市されました。1つがアルツハイマー型認知症の治療薬・リバスチグミンで、もう1つがパーキンソン病/レストレッグス症候群の治療薬・ロチゴチンです。
リバスチグミンはアセチルコリンエステラーゼ阻害薬としては強力な作用があるため、私の担当する患者ではわずか4.5mgでもしばしば興奮・易怒性が強調されて、介護者に被害が及ぶ場合が少なくないようです。日本人においては反応性のうつ状態、アパシー(何もやる気がおきずに、目的達成型の行動ができない)、アンへドニア(ふつうの人が楽しいと思うことが楽しく感じられない)タイプの症例にフィットするようです。アセチルコリンを増やして脳を興奮させる薬であるが故に、しばしば副作用として睡眠障害が誘発されるケースがあります。睡眠障害の多くは入眠困難か中途覚醒ですが、明らかにChEIで誘発されたと推定される場合は、副作用に対してさらに睡眠導入薬を加えるというのは好ましくないので、入眠前に貼付薬を剥がして、翌朝の起床後から次の日の分を貼付するという方法が有効なようです。貼付剤は内服薬とは違い、剥がせば薬効はすぐにオフになります。ChEIの内服薬の場合は半減期が70時間という長いものもあり、中止しても場合によっては2週間以上薬効(副作用)が残ってしまうケースもあるようです。
ロチゴチンはドパミンアゴニストとしてはほぼすべてのドパミン受容体に均等に作用する薬剤で、同類の薬剤の中では最もレボドパに性質が類似していると言われている薬剤で、同類の内服薬に比較して嗜眠・突発性睡眠・幻覚などの副作用が比較的少ないそうですが、日本人は薬剤過敏体質の方が多いのか、実際は2.25~4.5mgでもこのような副作用が出てしまうケースが少なくないようです。特にまだ現役で仕事に従事している50歳代のパーキンソン病患者においては仕事の支障になります。夜間のレム睡眠行動異常と片側下肢ジストニアに対してロチゴチン2.25mgを処方してある程度有効だったのですが、仕事中に突発性睡眠が出てしまった52歳男性の症例がありました。やはり貼付薬の特性を考慮して、ロチゴチンを就寝時から起床時まで使用してもらうという方法をとることにしました。
起床時に剥がせば、薬効がオフになり、日中の突発性睡眠は回避されると考えました。
現在、アルツハイマー型認知症やパーキンソン病に使用されている薬剤は「対症療法」の薬剤ですので、効いてほしい時間帯には必要ですが、効いてほしくない(副作用が出てほしくない)時間帯もあるわけです。そのような場合に、貼付剤の薬効メリットが生かされるという事を症例を通じて実感しました。
半減期の長い長時間作用型の内服薬や徐放型の薬剤は副作用が回避しにくいという共通のデメリットがあります。実際にあるドパミンアゴニストを使用していた数名のパーキンソン病の患者を同じ徐放剤タイプに変更したところ、今までに現れなかった副作用が続々と起こってしまい、慌てて元の非徐放タイプに戻したという事もありました。
神経系の薬剤の多くは「諸刃の剣」という要素が強いため常に注意が必要です。薬を処方する側(医者)にも薬を処方される側(患者)にもそういう意識が必要だと思います。


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by shinyokohama-fc | 2016-10-04 17:10 | 治療
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