睡眠薬の適性使用について考える

先日、週刊現代の電話取材に応じました。「睡眠薬の過剰摂取と誤嚥性肺炎の関連」についての内容でした。
現在わが国で使用されている睡眠導入薬と呼ばれる薬剤の多くがベンゾジアゼピン系です。わが国では欧米の6~10倍ものベンゾジアゼピン系の消費量があるそうです。問題としては覚せい剤と同等の依存性と耐性化による増量であり、米国では法で禁止されている州があるくらいです。中でも特に我が国において、臨床医に繁用されすぎているエチゾラムはこのたび向精神薬に指定されることになりました。エチゾラムは内科医であれ、整形外科医であれ、あまりにも安易に処方されすぎる向精神薬であり、私が最も違和感を感じるのは神経内科医が緊張型頭痛、パーキンソン病や神経変性疾患に対して普通に処方している事です。たしかに筋肉の緊張を取る直接的な作用は確実であり、即効性があり、効いてる実感が感じられるので、人気があるのかもしれませんが、それこそが危ないところだと思います。私は過去にエチゾラム、或はその他のベンゾジアゼピン系抗不安薬、睡眠導入薬が誘因と思われる、呼吸抑制、ドパミン阻害作用により誤嚥性肺炎を誘発したというケースを数例みてきました。また最近ではパーキンソン患者において前医処方の眠前のエチゾラムを中止させて、喀痰貯留症状を改善させた事例があります。気管支喘息などの慢性呼吸不全患者に対してもベンゾジアゼピン系が普通に処方されている無神経さにも大変驚かされます。最近は使われなくなりましたが、今回の週刊現代の記事になった、古くから使用されているベゲタミンという配合剤に含まれているフェノバルビタールは呼吸抑制作用も強いのですが、未だに高齢者に使われている事例が散見させて驚きます。私のイメージではこのような呼吸抑制作用の強い向精神薬の処方件数が減れば、どれだけ誤嚥性肺炎というものが少なくなるのではないかという事です。とはいえ、一度前医でベンゾジアゼピン系などの向精神薬が処方されていれば、その薬を止めさせる事は容易ならざることであり、こういうケースは大変迷惑であり困ります。つい最近もフル二トラゼパムをずっと内服している、神経難病の方が、感冒から気管支肺炎になり、治るまで1か月近くかかったという事例がありました。
今後は向精神薬扱いではない睡眠導入剤が推奨されます。具体的にはゾピクロン、エスゾピクロン、リルマザホン、ラメルテオン、スボレキサントです。高齢者にとってより安全な睡眠導入剤の使用が望まれると思います。


新横浜フォレストクリニック
内科・漢方内科・老年内科・神経内科

JR・新幹線・横浜市営地下鉄 
新横浜駅 篠原口より徒歩1分






[PR]

by shinyokohama-fc | 2016-09-13 19:25 | 治療
line

新横浜フォレストクリニック(横浜市港北区・新横浜駅)の院長が日々綴る様々な情報を発信するブログです


by shinyokohama-fc
line