ガランタミンがPSPSに最適である理由

ガランタミンがPSPSの症例に著効するケースがある、リバスチグミン・ドネぺジルからガランタミンへの変更にて劇的に症状が軽快する症例が多くみられるというのは以前のブログで示した通りです。これらの臨床経験からガランタミンがコリンエステラーゼ阻害薬の中でも他の2剤とはかなり異質な薬剤であることがよくわかります。
ガランタミン投与前後の局所脳血流量(rCBF)をSPECTを用いて評価している論文があり、ガランタミン投与後には橋・中脳・小脳・視床・線条体・前頭葉・頭頂葉・側頭葉で投与前と比較してrCBFが有意に増加していると報告されています。最も血流増加しているのが視床で、中脳、橋、小脳、線条体、前頭葉、頭頂葉においても15~20%前後の顕著な血流増加が確認されました。要約すると大脳基底核と脳幹の顕著な血流増加作用があるとの事でした。大脳皮質のみならず基底核・脳幹・小脳など脳の広域にわたって血流増加があり、PSPSのような広域にわたる病変をきたして多系統で複数の神経症候を悪化させる疾患に対しては最適だと考えられるわけです。以前のブログでも書きましたが、リバスチグミンやドネぺジルのようなコリンエステラーゼの過剰阻害によるアセチルコリン過剰賦活によるドーパミン阻害作用が起こりにくい点や、ニコチン性アセチルコリン受容体の感受性増強により、この受容体を介する複数の神経伝達の亢進作用を有する点、ピックコンプレックスによる前頭葉症状(興奮、不安、異常行動)に対して効果を示す点などもPSPSの病態にマッチしていると考えられます。リバスチグミン・ドネぺジルでは前頭葉の血流を過剰増加してこれら陽性行動心理症状を悪化させうるという事は実際に私が経験した症例で数多くみられました。PSPSのような複雑な病態では多方面にほどほどに作用する薬剤が最適であり、先のブログでふれた、3系統神経伝達物質補充療法においても、レボドパやドロキシドパに比べて重要なキードラッグになると考えられます。
ただしPSPのように神経変性が急速に進行してしまう病態では、現行薬剤による対症的治療だけでは限界があります。前のブログで書いた、パーキンソン治療薬としてトライアルされているフェノール化合物の一部においては異常タウ凝集作用が報告されていて、このような病態の根幹に作用する薬剤の早期実用化が急務であると考えます。


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by shinyokohama-fc | 2016-08-08 18:07 | 治療
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