薬剤性QT延長症候群

以前のブログで触れているように、高齢者、特に認知症と診断されていろいろ内服している方々にはQT延長、Torsade de pointesという危険な致死性の心室性不整脈を起こすリスクと背中合わせです。様々な薬剤によって心筋カリウムチャネルが阻害が遮断されるようです。先天性あるいは後天性にカリウムチャネルが減少している方が存在し、
そういう方に原因薬剤が処方されると致死性不整脈により失神発作や突然死を起こすようです。もともと心機能が低下している高齢者女性に多いようです。
<原因薬剤>
抗精神薬 ; クロールプロマジン、ハロペリドールなど、三環系抗うつ薬; イミプラミン、アミトリプチン、ノリトレンなど、抗不安薬 ; エチゾラム アセチルコリンエステラーゼ阻害剤 ; ドネぺジル、ガランタミン、リバスチグミン
<原因病態>
低カリウム/マグネシウム血症、徐脈(房室ブロック、洞不全症候群)、中枢神経疾患、うっ血性心不全、甲状腺機能低下症
例えば、以下のような症例が薬剤性QT延長のハイリスク症例になりえます。
85歳女性、2~3年前から認知症と診断されて精神科に通院中である。ドネぺジル10mgが処方されている、行動心理症状が顕著になってきたため、抑肝散7.5gとハロペリドール3.75mgが追加されている。抑肝散の影響で下腿浮腫があるため、フロセミド20mgが追加されている。内科通院歴はなく、血液検査や心電図検査は一度も実施されていなかった。ある日意識消失で救急搬送された。救急外来では心電図検査で心室性頻拍(Torsade de points)の波形がみられ、緊急血液検査では血清カリウム値が2.3mEg/lであった。
以上のように、認知症と診断された高齢者女性が陥りやすい病態です。私もアセチルコリンエステラーゼ阻害剤を処方している方で、家庭血圧記録で脈拍が34~40/分だったり、ECG検査でQT時間が480~490msecだったりする症例が続出して、薬剤の中止を余儀なくされるケースが少なくありません。おそらくこれらの症例ではカリウムチャンネルが減少しているのではないかと思われます。


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by shinyokohama-fc | 2016-05-17 19:05 | 治療
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