イソプロテレノールは臨床応用できるのか?

昨年、学習院大学理学部の教授らが、気管支喘息や不整脈に古くから使用されている「イソプロテレノール」という薬が、動物実験レベルで、タウ凝集阻害し神経細胞減少を防ぐことを確認したとの学会発表があったようです。もしこれが臨床試験でヒトに効果が認められれば、臨床薬としてタウオパチー(タウが凝集して正常な神経細胞が死んでいく疾患、ATD以外にFTD,CBD,PSPなど)すべてに使える薬剤になるはずです。しかし、ここで問題となるのは、イソプロテレノールという薬剤の性質です。この薬はβ刺激薬というカテゴリーで、適応疾患は、気管支喘息の重症発作、気管支炎、気管支拡張症、肺気腫などの呼吸器疾患、アダムス・ストークス症候群など高度徐脈性不整脈、急性心不全、術後低心拍出症候群です。ただし呼吸器は内服・吸入薬、循環器は注射薬のみです。この薬は心収縮増強(β1)、心拍数増加(β1)、組織循環促進、気管支拡張(β2)などの作用がありますが、古い薬剤のため呼吸器疾患に広く使われている薬のようなβ2選択性はないようです。推定される副作用としては頭痛、振戦、動悸(頻脈)、嘔気・嘔吐・食欲不振などです。注射薬に関しては喘息の重症発作、高度徐脈など救急外来で使われるほどの劇薬です。内服薬としては昨年まで後発品として上市されていたプロナーゼの配合カプセル(10mg)があったのですが、ここからプロナーゼを除外し、喘息に汎用されているツロブテロールのように持続性貼付剤に変換して用量調整が可能なタイプにすれば実用化できそうな気がします。しかしアドレナリンを刺激したりする興奮性があるので、前頭葉機能が低下して脱抑制症状が顕著に出現してしまっている病期の症例では臨床応用できないと思われます。最近放医研で開発中の高感度・低コストのヘルメット型PET装置で早期診断して、この薬を早期から導入するのがいいのではないかと思います。近年はPSP,CBD,FTD以外にもDLBのタウオパチータイプ(悪性タイプ)や高齢者タウオパチー(AGD/グレイン,SD-NFTなど)というのが増加しており、ATD以外のタウオパチー症例が非常に多くみられますので、早期からリン酸化タウ蛋白の凝集・蓄積を抑制する事が治療の最前線になりそうな予感はします。


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by shinyokohama-fc | 2016-04-07 11:33 | 治療
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