薬剤過敏性、パーキンソン病の症例提示

75歳男性、手の振戦から発症して6~7年経過しているYahr3度の典型的なパーキンソン病の症例です。
右>左手の安静時振戦、筋固縮、動作緩慢、前傾姿勢、姿勢反射障害は明確にあります。この症例はありとあらゆる薬剤に過敏性、副作用を示しました。合併症として癌があるため抗がん剤治療をしているという事情もありました。前医処方の抗コリン剤(トリヘキシフェニジル)で記憶低下、セレギリン(MAO阻害剤)、ゾピクロン(睡眠導入剤)で強いふらつき、エチゾラム(ベンゾジアゼピン系・抗不安剤)で嚥下障害があると訴えていました。私は前医処方のうちレボドパ/カルビドパ合剤を300mg(100mg×3)/日で継続し、ロチゴチン貼付剤を4.5mg追加したところ、下腿浮腫が顕著に現れたため、中止に至りました。また通常の便秘薬で効かないほどの便秘であったため、大黄甘草湯5gを処方したら、やはり甘草の副作用なのか下腿浮腫が現れました。その一方で不眠と抑うつにはスボレキサント(オレキシン受容体拮抗薬)を処方したところ、以前よりも眠れて不安神経症的な不定愁訴が減少した印象でした。
「薬剤過敏性」というのは、その人にとって有害な薬から身を守る身体反応ですので、非常に大事な症状です。薬剤服用後1週間以内の早期に副作用・有害事象が出現してくれる人は、早く中止して対応できると思いますが、神経系の薬剤は長期投与によって遅発性にドパミンが阻害されて副作用が出るケースも多く、それを注意深く見極める必要があります。パーキンソン病やアルツハイマー病などの神経変性疾患は年単位にゆっくりと進行していく病気であり、たった2~3か月で歩けなくなったり、食べ物が飲み込めなくなることは常識的にはあり得ないわけです。自れの処方した薬の有害性を認識できず、薬によって遅発性のドパミン枯渇状態を誘導しているにもかかわらず、「病気が進行したんだから、仕方ない」という病状説明(詭弁??)には疑ってかかるべきでしょう。


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by shinyokohama-fc | 2016-02-19 09:11 | 治療
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