てんかんと認知症の行動心理症状との鑑別診断の難しさ

ここ数か月で診た方々の中でも、てんかん性健忘に該当する方が数名いて、提携医療機関に脳波検査を依頼しています。しかし脳波検査では発作間欠期だと検出されない事も多く、また側頭葉てんかんでは興奮性などの精神症状を伴いやすいために、事実脳波検査をするとなると暴れている拒否する場合もあります。その多くは診察室では発作間欠期のため、意識清明で礼節や態度も問題なく、一見普通の人にしか見えません。簡易知能スケールにも協力的で25点前後です。つまりピック系の前頭葉タイプの認知症とは全く違っていてむしろアルツハイマー的です。そういう人が普段が著しく精神不安定で時に発作性に易怒興奮が激しいとなれば、側頭葉てんかんの可能性はかなり疑わしいものになります。そういう方々の多くはすでに精神科で抗精神薬などが2~3種使用済みであり、まったく効果がないかむしろ悪化する事が多いようです。脳波検査が無理なケースでも少量の抗てんかん薬を試す価値はあります。私が実際使用するのはラモトリギン(LTG)が一般的です。本来は側頭葉てんかんの第一選択はカルバマゼピン(CAZ)でしたが、高齢者の場合は忍容性に大いに問題があり、少量でもふらつきやめまいなどの小脳性運動失調の副作用が出現しやすく、また長期使用により小脳変性させるという報告もあり、てんかんが収まってもQOLが著しく低下してしまうので、神経内科医としては非常に使いにくい薬剤です。そこで現実的にはLTGという事になります。もう一つの新規抗てんかん薬のレベチラセタム(LVE)も単独使用が可能になりましたが、興奮性の副作用があるため、興奮性の症例にはやはり使いにくいのです。LTGで注意すべきなのは皮膚症状だけですが、少量で慎重に漸増すれば問題ないことが多いです。私の経験では少量のLTGを数例使用してすべて精神症状は治まりました。
実際、精神科で抗精神薬が数種類処方されても、精神症状がまったく治まらないというケースは少なくないようで、てんかんと認知症の行動心理症状との鑑別というのは専門でも難しいというのが実感です。


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by shinyokohama-fc | 2015-03-13 18:39 | 医療
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