PSP・CBSにドパミンは必要なのか?

PSP、CBSにドパミン賦活治療は無効。どの教科書にもそう書いてあります。当然ですが無効な薬剤は不要です。
PSP、CBSの臨床症例を数多く診察してみると、前医でレボドパやドパミン賦活剤などパーキンソン治療薬を無意味に多剤多種処方されている状態をよく見かけます。その多くは薬剤の効果がはっきりしないにもかかわらずただ漫然と継続されているだけのようです。これらの薬剤は長期的にはピックコンプレックス症候群に対しては有害な事が非常に多いです。事実として薬剤追加によって動作歩行が著しく悪化してしまった症例をよく目にします。レビー系のパーキンソン病やDLBの場合はそれらの治療薬の効果が明確であり、特にレボドパは半減期が短いために3~4時間で切れるはずです。そのため中止したりして本当に効果があるのか(この薬を飲み続ける意味があるのか?)を確認する必要があります。長年レボドパは「パーキンソン治療薬のゴールドスタンダードだ」と言われてきました。たしかにレボドパを投与すれば動けない人が動けるようになるというケースもあるでしょう。しかし特に検査による立証が困難であるパーキンソン病やDLBという病気の場合は、一般的に心因性反応による身体運動障害との区別が難しいです。またパーキンソン病やDLBの患者も神経症的な方々が多いです。こういう患者全員に鑑別のためにMIBG心筋シンチを実施しろというのも非経済的な気がします。レボドパが効いたと言っても、それがプラシーボ効果なのか本当の効果なのかは真相は不明なままです。なぜならレボドパは快楽・報酬系の神経伝達物質で依存性があるからです。最近の学会の流れとしてはできるだけ「レボドパは低用量で使え、高用量はできるだけ避けろ」という流れに変わっているようです。しかしそれが他の新規パーキンソン治療薬を使わせるための誘導ではないかという疑義も確かにあるわけです。実際は高齢で低体重の女性に450~600㎎/日などはとんでもない用量です。私の友人の神経内科医からもレボドパを通常量処方していて心臓突然死したケースが数例あったという報告がありました。その一方で高齢のPSPやCBSに対して800mg/日という神経内科医の処方を見て呆然とした経験もあります。
実際、実験室レベルの研究論文では国内も含めて、レボドパの神経毒の報告が散見されます。臨床レベルでは証明されていないというが、本当にそうでしょうか?レボドパ高用量やパーキンソン治療薬を盛られて長期に内服した結果として、精神的に錯乱したり、動作歩行ができなくなっていて、減量したら改善したという症例が多く見られます。
長期に治療薬を使用している症例では多種多剤併用すればするほどよくならないでむしろ病状が悪化するのではないか?という印象すら感じます。それが高齢者であればさらに忍容性に問題があると推定されます。
PSPとCBSの話に戻りますが、これらはマンチェスターグループによって「ピックコンプレックス」にカテゴリーされた疾患群・症候群です。前頭葉~側頭葉のタウが広範囲に蓄積している状態です。そういう状況に対して薬でドパミンを賦活したり補充したらどうなるか?当然のごとく神経伝達物質の微妙なバランスが崩れて、元々潜在している前頭葉症状が悪化しやすいわけです。具体的にはドパミン過剰による幻覚、精神錯乱、常同行動の悪化、抑うつなどを高頻度で誘発されます。セレギリン、エンタカポン、ドパミン受容体刺激薬の追加ではそういう症状がさらに悪化する可能性が高いという事は特に75歳以上の症例において確認できます。症例経験からいってもPSPとCBSにはドパミン賦活は必要ないと私は考えます。通常量で効かない(動作歩行が良くならない)から追加するいうのは愚策であり、一度高用量まで増量してしまうと薬剤の性質上減量や中止が危険を伴い困難だということがよく理解されていないようです。元はと言えば、高用量処方を行った医者の責任です。
「効果のない薬剤はまず中止して判定する」これさえ実践すれば上記のような薬害は回避されるはずです。


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by shinyokohama-fc | 2015-02-03 18:03 | 治療
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