神経系に作用する薬剤の心臓副作用リスクについて

心電図においてQT間隔が延長する「QT延長症候群」というのがあり、これはtorsades points(tdp)などの多形成心室性頻拍(pokymorophic ventricular tachycardia)の原因になると言われています。
言うまでもなく心室性頻拍は心停止に至るリスクの高い危険な不整脈であり、注意が必要です。
原因薬物としては抗精神薬であるハロペリドール(セレネース)、クロルプロマジン(ウインタミン・コントミン)、三環系抗うつ剤などがある。その他にはシメチジン(ガスター)、クラリスロマイシン(クラリス)、キノロン(クラビットなど)があり、原因薬物を併用した場合(例えばセレネース+クラリスなど)はさらにリスクが高まると思われます。
私も研修病院に救急病棟でのせん妄に対してハロペリドールの静脈注射薬を使用してこの不整脈が出現したという話しを聞いた記憶があります。幸い心電図モニター監視中だったので、硫酸マグネシウムの静脈注射により事なきを得たと思います。抗精神薬の中では特にハロペリドールがリスクが高いと言われていています。
これらの薬剤を使用する場合は心電図でQTcを定期的に測定するようにしています。QTcが0.5~0.6になると心室性頻拍のリスクが高いようです。
一方でコリンエステラーゼ阻害薬(抗認知症薬)に関してはアセチルコリン作用によって、冠動脈攣縮を誘発すると言われており、特に高齢者、喫煙歴のある人、長年の糖尿病患者など動脈硬化リスクの高い患者では、心筋梗塞など急性冠症候群を起こしうると言われています。その他にも洞房・房室ブロックによる高度徐脈、QT延長症候群のリスクがあります。私の経験では60歳男性でコリンエステラーゼ阻害剤を内服していた患者が高度徐脈(30~40回/分)に至ってしまい、薬剤を中止してもなかなか改善せず、慌てて病院の循環器科に紹介したケースがありました。
正常な脈に戻るまで1~2か月を要したと記憶しています。
抗精神薬にしてもコリンエステラーゼ阻害剤にしても使用する用量が多くなれば、それに比例して心臓副作用のリスクが高まりますので、これらの薬剤を使用するにあたっては年齢や体重に応じて少量で使用したほうが良いと考えられますし、リスクを十分に説明したほうがいいでしょう。
特に心臓の自律神経が虚脱するようなケース、経年性の糖尿病やパーキンソン病・レビー小体病、多系統萎縮症などでは胸部の自覚症状が乏しくなるので特に要注意だと思われます。


新横浜フォレストクリニック
内科・漢方内科・老年内科・神経内科

JR・新幹線・横浜市営地下鉄 
新横浜駅 篠原口より徒歩1分






[PR]

by shinyokohama-fc | 2014-09-09 19:27
line

新横浜フォレストクリニック(横浜市港北区・新横浜駅)の院長が日々綴る様々な情報を発信するブログです


by shinyokohama-fc
line