画像診断の必要性とその功罪

まずテーマを語る前に、当院に先月来院した症例を紹介します。
70代後半の女性。生来ほぼ健康であったが、1~2か月前から同居されるご家族が何かおかしいと感じて、外来受診されました。この症状で医療機関を受診するのはもちろん初めてとの事でした。重篤感は全く感じられず元気。礼節は保たれており、第一印象にて精神的に何も違和感ない感じ、これは軽度認知障害か軽度アルツハイマーかと思い、一応簡易知能スケールや時計描画テストを実施してみました。驚くべきことに何を質問してもほとんど何もできない!もしここまで重度に至るのなら少なくとも4~5年はかかるはずです。しかし脳卒中のエピソードもなく、レビーらしさもピックらしさもないのです。これはただ事ではないと思い、画像検査を見なければと感じたので、画像検査の可能な脳神経外科のクリニックに紹介しました。結果は左前頭葉白質に浮腫性変化を伴った腫瘍性病変あり、脳梁を経て一部反対側に進展しており、悪性ではないかとの事でした。高齢者の場合は前頭葉~側頭葉は特に加齢による脳萎縮がみられるため、頭痛や嘔吐などの症状や局所症状がなかなか現れにくく、認知症症状が進行してやっとわかるというケースが多いのです。それゆえ、初診の場合は今までなかった認知症症状が現れたら軽度でもまずはCTかMRIの画像検査を実施したほうがいいと思われます。
脳腫瘍以外にも正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫は画像診断でなければ診断できない病気で、いずれも脳神経外科の治療対象です。
しかし、その一方で当院を受診する認知症関連の方々はすでに画像検査を他院で実施済みの方がほとんどです。中には病院でMRI以外にシンチグラムなど複数検査の連続であったというケースも少なくありません。それなのに臨床的な診察が不十分なために、肝心な臨床評価ができていないようです。
認知症診察において重要なのは1に付き添いのご家族からの詳細な問診。2に患者さん本人の詳細な診察。3に検査(血液検査や画像検査)になります。
上記症例で画像検査を依頼したのも、1と2がきっかけでした。1と2があって検査を検討する。それが本来の臨床の流れのはずです。ところが画像検査のみ熱心で、それよりはるかに重要な1や2はおざなりにされている事がこれだけ多いというのはどういう事でしょうか?画像検査の所見だけを根拠に診断は「海馬が萎縮してるから○○」とかどうして言えるのでしょうか?1や2を十分評価できずに臨床診断(病理診断ではない)や投薬処方は考えられないです。症状を正しく評価しないから、見当違いの処方になるのでしょうか?
私が研修医の頃はMRI検査がようやく始まった頃でした。それ以前の時代はCTもない時代もあったようです。それがたった20年で日本中に画像検査機器が溢れる状況になりました。今やMRI検査機器のある診療所も珍しくなくなりました。しかし検査よりも問診と診察のほうがはるかに大事なのです。
認知症は内科の病気です。精神科や神経内科や脳神経外科だけが診る特殊な病気ではありません。認知症の方はさまざまな内科的合併症を伴いやすいです。高血圧、糖尿病、血栓症、慢性心・肺・腎・肝疾患、甲状腺疾患などで
これらの合併症にもすべて対応できなければいけません。内科医としては認知症だけでなく様々な疾患を診ていきたいと考えています。



新横浜フォレストクリニック
内科・漢方内科・老年内科・神経内科

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by shinyokohama-fc | 2014-08-12 17:07 | 医療
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